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最終回・天空の城・ホーチミン 【TEXT TOP】
〜GoodMorning,Vietnam!

朝、俺たちは目覚めた。
アイスクリーム売りのラッパがなんだか今日はパズーのそれにきこえる。
今日の夕方には俺たちはもう日本にいる。
そのことを考えると、全てがいとおしく思えてきた。
この日、勢い余った某ハヤブサ氏はホテルのフロントレディに軽く恋心を抱いていることをいきなりカミングアウトした!
そして俺はお土産を妹の友人(可愛い)に買うという離れ業を見せた。
しかしそんな傍若無人なパズー伝もこの日は終始ウェッティなムードの中培われていった。

一通り市内を見て回り飛行機の時間に間に合うよう俺たちはホテルのロビーに戻った。
ハヤブサ氏はロビーに着くや否やフロントレディの方へ行き
「You are always smiling,why?(君はいつも笑っているね。何故だい?)」
というあまりにも完璧なくどき文句でいきなりこのベトナム人女性をナンパし始めた。
これに圧倒された俺もこれに対抗し、いきなり
「You are pretty!(君、かわいい!)」
と稚拙な英語で切り出した。
しかしこの発言により気まずい空気が流れ始め、ハヤブサ氏のモクロミ(メルアドゲット)は見事に失敗する結末となってしまった。
そしてもちろん俺は帰国後サモハンキンポーの鉄槌を下される破目となった。

やがて時間が過ぎていき、俺たちが空港に向かわねばならない時間となった。

ホテルの前に見慣れたフォードがやってきた。
例のオカマ・ガイド、ギャン、最後の登場である。
彼のフォードは俺たちを乗せ空港に向かっていった。
心なしか車中ではオカマ言葉も少なめだったようにも思われる。
ギャンの本気で寂しそうな態度に俺たちも泣きそうになっていった。

空港に着いた。
ギャンとの別れの時だ。
もう二度と会うことがないことくらいは、俺たちにもわかっていた。
時間が押しているらしく、すぐに登場口に向かわねばならないようだ。
最後に俺たちはギャンと固い握手をした。
この握手の力のはいり具合は人生最強レベルであった。
そして、ギャンは最後にこういって空港をあとにした。

「また、ようこそベトナムへ!!」

やがて飛行機は飛び立った。
ホーチミンがどんどん小さくなっていく。
俺たちがホーチミンにいた時間は多分、パズーの父親がラピュタを見た一瞬と同じ意味を持つだろう。
数時間後俺たちは雲の上から、日本に戻ってきた。
最後にハヤブサ氏と抱きしめあい俺たちは帰路についた。
あの時、俺たちが天空の城にいたということが理解できたのはそれからしばらく経ってからのことである。

「ラピュタは現代人が忘れかけている宝島の象徴なんですよ」
                                   −宮崎駿談
ホーチミンはあの時確かに俺たちにとってのラピュタであった。

                                          終わり


さよならホーチミン                              帰国、一回りでかくなった男たち

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