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その8・女王蜂の夜 【TEXT TOP】
〜GoodMorning,Vietnam!

退職軍人の恐怖の捕虜拘束は数時間にわたった。

マイクロバスが再びホーチミンに戻ってきた時、既に日は暮れていた。

壮絶なプレッシャーの中でのツアーを終えたハヤブサ氏と俺は、軍人の恐怖を拭い去るべく夜のホーチミンに繰り出すことにした。

時は週末。

さらに発展途上国・ベトナムにおいては我々はいわゆる外人である。
そして「外人の夜のプレイスポット=ディスコ」というものは、もはや定説といっても過言ではない。
そこで俺たちはこの定説に忠実であるために、ディスコに向かうことにした。

ガイドブックによるとホーチミン市内には多数のディスコが混在し、いずれも週末の夜は大盛況である模様。
そこで我々は「若者の夜のプレイスポット」との記述が記憶に新しい「QUEEN BEE」というディスコで踊り明かすことで意見を一致した。

その店の外観はネオンでちりばめられており、我々の気分も一気に高揚した。

しかし店内に入るや否や、我々はある異変に気がついた!

「おや?まるで音楽がかかっていないぞ??」

しかし、そんな我々の疑問も尻目に我々は店内奥のソファーに案内され、怪しげなマスターに店の説明を受けることとなった。

もちろん我々は英語がてんで駄目である。
しかし、不意に飛び込んできたベトナムなまりの英語は我々の目を覚ますには十分なものであった!

「One Girl For 20$!!(20ドルで一人の女の子が同席させられます)」

もうおわかりであろう!なんと、「地球の歩き方」において「若者の集まるディスコ」と紹介されている「QUEEN BEE」の実態は
何を隠そうキャバクラであったのである!!

この予期せぬ事態に純朴な俺は動揺した!

しかし俺の相方であるハヤブサ少年の目は、まるで研ぎ澄まされたナイフのごとく光輝いていた!!

「Two Girls , Please!(それじゃあ二人つけてくれや!)」

まるで中小企業の課長クラスに手馴れたハヤブサ氏の英断により、この夜俺は不覚にもキャバクラデビューを果たすこととなってしまった。異国の地で!

数分後、二人の女性が我々のもとに登場した。
名前は「フン」と「ヌン」
もちろん挑発的な衣装をしている。
そしてハヤブサの目は光り輝き狂乱の夜は始まった・・・・・

続く

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