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その5・船上のチャンピオン 【TEXT TOP】
〜GoodMorning,Vietnam!

川岸についた我々はギャンに一人の男を紹介された。
メコン川の観光は巨大なボートにより行われるため、オカマかつ無免許のギャンでは役不足というわけだ。
つまり、それは海軍一等兵(メコン川専門ガイド)に捕虜たる俺たちを明け渡すことを意味する。
何にせよ俺達はオカマの恐怖からひと時でも解放されるという事実に狂喜乱舞した。

さらにギャンは、このメコン川専門ガイドについて
「彼はとっても日本語ぺらぺらなの」
と自信満々に言い放った!

「今度こそ期待できる!」

即座にそう思った我々は、車酔いの胃のもたれも何するものぞ、このガイドに元気いっぱい挨拶をした。

「グッドモーニング・ベトナム(オカマ口調は無しの方向で!)」

ところが、その時俺は信じられない事実に気づいてしまった!

−「こいつは・・・似ている・・・トカシキに!!!」

そして次の瞬間、ハヤブサが恐怖の叫びをあげた!

「トカちゃんだ!!!!」

「トカシキ(通称トカちゃん)」とは言うまでもなく日本が誇る元ボクシング世界チャンピオンのことである。
それが何故ベトナムに・・・!??
俺達はこのメコン川の投げかけるミステリーに戸惑いを隠せなかった。
そして帰国後日本のメディア(東スポ)に報告すべく、このトカシキとバッチリ記念撮影をしておいた。

ジャブ!ジャブ!

やがて我々は船に乗り込んだ。
船上ではトカシキによるメコン川周辺の島々のガイドが繰り広げられた。
しかしである!
やがて俺達は一つの事実に気づいてしまった!

「こいつ何言ってるか全然わからねえ・・・」

そう!このトカシキにはネイティブの俺たちにすら聴き取れない程の速度でしゃべるという重度の欠陥があることが判明したのだ!
しかし俺達はNO!といえない日本人。
そこで離島の果樹園にたどり着くまで彼の話にフムフムとうなづくという馴れ合いをみせざるを得なかった。

やがて果樹園にたどり着いた。
果樹園では見たこともない珍しいフルーツが我々に支給され、甘いものに目がない俺は、興奮気味にそれらに飛びついた。
ところが何故かトカシキも一緒に食べていた!皿は二つしかないというのに!まさにチャンピオンならではの暴挙である。
しかし寛大な俺たちはあえて突っ込むこともせずトロピカルなフルーツにご満悦であった。

特に最高だったのが小型バナナであった。
俺たちは一瞬、この夏の海計画が一人の肥満児(通称デブオ・現在HIPHOP雑誌Bの編集長)のせいでご破算になったことを思い出し、この小型バナナを「デブオのバナナ」と名づけ持ち帰ることにした。

その数時間後、俺たちはギャンのもとに帰還した。

そして再びアラニス・モリセットのかかるフォードに乗り込んだ我々はホーチミンへの帰路を急ぎ、3日目の夜は何事もなく更けていくと思われた。
しかし・・・
部屋に戻り俺がまさに眠りにつこうとした午後10時、ハヤブサがある一つのミッションを開始したのだ・・・

「彼女に手紙書くわよーん」

そしてこの号砲とともにこの夜、一人の男のラブレターが力強く書き始められた!!


水平                  ドラゴンと戦う勇者

続く

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