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QSR

音色あれこれ

APianoの位相が美しく、ステレオではよく響く音。 但し、モノラルで扱う場合は、プログラム自体を組替えた方が無難。 また、優しく演奏しないと音割れするのは、ベーゼンドルファーのサンプルだからかな…。 Bassは若干硬く、極低音までよく鳴る音。 AGuitar、Clean Guitarは、なかなかよく出来ていると思うし、Dist Guitarは、エフェクト込みのものが良い。 Brass、String Sectは、やや演出過剰気味だが、クラシックに耐える音もいくつか搭載されている。 ソロのTrumpetが比較的オケに映える音をしていると思う。木管やサックスは若干、数不足の感が否めない。 Synth Lead、Synth Padなどは、綺麗で繊細な音をしており、やや迫力には欠くが、音抜けは悪くない。 Voxはクセの少しあるものとあまり無いものと両方あり、使い勝手がよい。 Drumsは一部、DM5から譲り受けた波形を持っており、なかなか良質で面白いと思う。

エフェクト

リバーブは、あまり深い感じはしないが、透明感が高く綺麗で、きらびやかな音をしている。 Chorusの質もそこそこいいと思う。 Delayは、基本はしっかりとしていて出音は悪くないが、パラメータの自由度が若干低く、もうひとつ応用が利きにくい。 Lezlieは詳しいことは分からないけれど、色々な音を加工するのにいいと思う。 Overdriveも結構悪くない。

基本的には4つのバスを持っていて、5つの大きな枠組みを選ぶことによって、 バスの特定の場所に、どういったエフェクトをアサインできるかが決まる。 プログラムではレイヤーごとにバスと送り量を、ドラムプログラムではインストごとにバスと送り量が指定できる。 マルチパートの設定では、パートごとに1つのバスを選んでどのくらい送るかを選べる(この時、プログラム内の設定は無視される)。 基本的には、若干大きめの値を使った方が、思った効果が得られることが多いような気がする。

出音の傾向

全体的に繊細だが太く、透明感が高い。低音が若干強めに出る気がする。 ミックスさせると、妙に抜けが良く、それぞれの音が存在感をしっかりと主張してくる。 他音源とミックスさせたると、奥から前にストンと抜けてしまう印象が少しするので、 ミックスが難しい場合もあるかも知れない。

シンセサイズ

4つのサウンドをレイヤーして音を作る(ステレオのサウンドは2レイヤーを使うことになる)、割と標準的なタイプ。 波形の質はかなり良い方だと思う。 フィルターはレゾナンス無しのLPFで、効きも今ひとつ。マトリックスモジュレーションも一応搭載している。 変わった波形も結構入っていて、それらの波形とEG、LFOを駆使して、色々なニュアンスを出しているROMプログラムも少なくないので、 どちらかというと加算シンセなノリかも。

操作性は、ページをめくるボタン、チャンネルを選ぶボタンはついているので、極端に悪いということはない。 但し、既存のドラムプログラムを組替える場合、内部の仕組みが複雑であるために、 現在のプログラム内容を把握するのは骨が折れる。

他、長所と感じるところ

ROMプログラムでも十分に良質のプログラムが為されている。 エディットバッファがパートの数の分、およびミックスの分がしっかりと用意されていて、いずれもダンプアウト可能。

他、短所と感じるところ

エフェクトパッチはバッファのダンプアウトができない。 バリューダイヤルの操作感が悪い上、ページをめくるなど1単位の操作もダイヤルで行う必要のある場面が多い。 パンが7段階しかなく、1でもずらすと、かなり中心からずれた場所に定位する。 パンが発音中に動かせないので、ロングトーンを左右に揺らすような表現は一筋縄ではいかない。 パンを設定するとすべてのレイヤーがそこに定位してしまうため、ステレオ音色やドラムプログラムがモノラル化してしまう。 データのストアの時に、保存先の名前が見えない。 ミックスモードでプログラムをいじった場合、保存先として100以上の値が自由に選択できない (エディット中のプログラムが元々100以上ならデフォルトでは同じ番号になるが、値を増やそうとした途端に99になってしまう)。 そんなに深刻ではないが、ユーザー領域のファクトリー設定復帰に、エクスクルーシブを読ませる必要があるってーのは、今時のシンセとは思えん…。

向いていると思われること

綺麗な空間を演出した、多種多様なジャンル。 特に、ポップ・ロック系には即戦力になると思う。 オーケストラなどのアクセントとしても。

私の使い方

PC2R導入以前のメイン音源だったこともあり、使い道は多岐。 まず、APianoとTrumpetを良く使うし、クロマティックパーカッションの類でも良く使うかな。 他、Drumsや小物類や、Synth Leadでも使うことあり。

使い方Tips

ベンダーレンジの設定が必要な時や、チューンが必要な時などは、GMモードにしてRPNを使うと楽。 本体のプリセットがよくできていて、下手にいじらない方がいいこともしばしば。 ミックスモードでエフェクトパッチをいじった場合、 エフェクトパッチのチャンネルとして選択しているプログラムをしっかりと保存して、 必要に応じて(バッファではなくプログラムを)ダンプアウトすること。 ステレオ音色をどうしても右か左に振りたい場合、プログラムのエディットで左右の音量比を変えて対処する。 発音中にどうしても左右に動かしたい場合は、 特定のCCで左右の音量比を変えられるようにマトリックスで指定する。 ちなみに、作成中などミックスモードで誤ってパンポットを指定してモノラル化してしまった場合は、 一旦プログラムモードに切り替えてからすぐにミックスモードに戻すと良い。

注意用語
エディットバッファ

編集した内容を一時的に保持している場所。Rolandでいうところのテンポラリに相当する。 QSRでは、ミックスエディットバッファと、ミックスモードの各パートのプログラムエディットバッファ、 プログラムモードのプログラムエディットバッファの3種類が、MIDIでダンプアウト可能になっている。

サウンド
プログラムを構成する最小単位。他のシンセではToneやElementなどとも呼ばれる。
プログラムモード
QSRにおけるシングルティンバーモードのこと。 ちょっとしたエディット等が、ミックスモードより若干やりやすい気はするが、本質的な差はあまり無い。
ミックスモード
QSRにおけるマルチティンバーモードのこと。 現在編集中の内容はミックスエディットバッファに格納されており、任意の名前をつけて保存可能。
メーカーサイト

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