Curlyからのお知らせ

まず初めに、かなり突然の発表になってしまったことを心からお詫び申し上げます。本当に申し訳ありませんでした。

でも個人的には、突然の心境の変化ではなく、ここ数年、ずっと私の胸中に常にうごめいていたことで、三十路を前にして、やっと重たい腰をあげたという感覚です。


今日まで、私は好きなことばかりして生きてきました。高校生の時から東京で一人暮らしをし、大学院まで通わせてもらい、文学や音楽を探求する・・・。どれも大好きな事でした。それゆえ、傍から見れば、頑張ってやっていそうなことも、実は格別大変だと思ったことはなく、殊更、音楽ともなると、まったく苦痛を感じずに、「努力している」という感覚とは無縁でやってきました。「私は努力を知らずに生きていくのか。」そんなことをこの2年間ずっと不安に思っていたのです。


そんな考えのもと、今回私は司法試験へチャレンジすることにしました。

プロフィールにもあるように、以前から医学の道に進みたかったことは皆さんもご存知のことと思いますが、6年間の学生生活を強いられることで断念。さらにここでまた、好きなこと、興味のあることを選んでは繰り返しになるのでは、という思いがよぎり、縁もゆかりもない、法学を選んだというわけです。きっかけはきわめて不純ですが、どうせ何か目指すなら一番上を、ということで決意したのが、国内最難関の、司法試験だったのです。


しかし意外にも、始めてみたら、実に熱くなれる自分に気がついて、それからは猛勉強の日々が続いています。そして、これまでいかに自分が世間知らずなお嬢さんだったかとも思います。合格してもいないのに気の早い話ですが、世の中には声をあげられない人たちが沢山います。我が国日本は、ますます強者のためだけの国づくりへ進んでいると思います。私は、弱者救済の憲法の理念に触れるたび、心をふるわせ、そんな人々を、不断の努力の結果としての、法律の智慧で、少しでも救ってあげられるなら、こんな素敵なことはないと感じるのです。


さて、以上のことはしかし、単なる私だけの欲望にすぎません。Yokoをはじめ、江部ちゃんやあっき、そうし、アーミン、ヒロキさん他、スタッフ、ライブハウスの皆様には、これまで多大なご支援を賜ったにも関わらず、お詫びの申しようもありません。そしていつも「Maximaの曲を聴きたい」と思って集まってくれていたファンの皆様には、さらに申し訳なさでいっぱいです。ごめんなさい。ほんとにすみません。


ただ音楽は私の一番の友達。私の歌は私自身。私自身が私の歌です。一時的に優先順位を下げるけれど、辛いこと厳しいこと、人間関係の機微、いろんなものを吸収して、いつの日かもっといい歌を歌える機会が得られればと思っています。そして、私のパートナーであった、Yoko。彼女は本当に素晴らしいミュージシャンです。まだまだ秘めたままの、凄まじい才能があると確信しています。その才能を眠ったままにしないよう、これからもどうぞ彼女を見守ってあげてください。


どうか、全ての愛すべき方々がお元気でいらっしゃることを願っています。

最後にお世話になった皆様方には、直接ご挨拶を申し上げなければいけないところ、大変恐縮ではございますが、略式ながら書中にて報告かたがたご挨拶申し上げます。皆様のご健勝心よりお祈り申し上げます。 ありがとうございました。


2006年2月11日 亡き祖父の生まれた日に

カーリー・ラブ(平松まゆき)