小鳥くんは今日もお花さんのところへ。
「はい、お花さん。これ、あげる。」
「あら、これなぁに?」
「水玉で作ったネックレスだよ。ちょっとこっちに頭を向けて。」
小鳥くんはこれを作るために、朝早起きして葉っぱについている朝露を集めたのでした。
「うん、よく似合うよ。」
「ほんと?ありがとう…。」
お花さんの笑顔を見ていると、ほんとに早起きして頑張って作ったかいがあったなぁー、と小鳥くんは思うのでした。
「…ってなかんじでねー。だからそいつは円形脱毛症になったんだよー。」
小鳥くんは、ついこの間結婚した友達の鳥の話をしていました。
「へー、婿養子はたいへんねー。」
その話で思い出したのか、お花さんはこんな話をし始めました。
「ねぇ、小鳥くん?この間近くの川に来ていたお魚さんが言ってたんだけど…。」
初めて「くん」付けで呼ばれた小鳥くんは、もうドギマギしちゃって後半あんまり聞こえてないようでした。
「…え?ああ、来てた来てた。笑点でしょ?ついに円楽さんがこの地を踏むとは…。」
「もうっ、ちゃんと聞いてよ!たしかシャケさんっていう名前で、『うみ』から来たんだって。」
「あーシャケ?こん平さんにあげたら喜ばれるんでない?なにせ鞄にはまだ若干の余裕が!あ、でも今はたい平か…。」
「…。」
小鳥くんは今まで感じたことのない怒気を隣から感じて、我に帰りました。
「ハッ!ど、どうしたのお花さん。そんな顔して…。」
「なんですか?私は普通ですけど…。それともあれですか?私の顔が変だと?」
お花さんは怒ると敬語になるんだな…、とか思っている小鳥さん。残念だが今はそんな余裕はないぞ!
「な、なんで怒ってらっしゃるんですか?」
「もー!小鳥くんが訳わかんないことばっか言って話を聞いてくれないからでしょー!もう知らない!」
「知ってー!そして許してー!」
小鳥くんはありとあらゆる手段を用い、なんとかごきげんななめを真っ直ぐにしました。
「へー、シャケ!海!いやー、いい話題をお持ちでらっしゃる。続きが気になってしょうがない!」
「むー、しょうがないなぁ…。 特に続きもないんだけどね。小鳥くんって『うみ』って見たことある?」
「海かい?んー、話には聞いたことあるけどねー。説明が難しいかなぁ。」
「えー、どんなんなの?どんなんなの?どんなんなの?どんなんなの?どんなんなの?どんなんなの?」
「ちょっ、今話すから落ち着いて!考える時間をください。」
「はーい、わかりましたー。」
うみーは広いなー 大きいなー
月がのぼるし 日はしずむー
小鳥くんは歌が大好きです。
お花さんも、小鳥くんの歌を聞くのが好きでした。
「小鳥くんは、ほんとに歌が好きだねー。」
「うん、歌を歌っていると、とても楽しいんだ。ね、一緒に歌お?」
二人は、日が暮れるまで、こうして歌っているのでした。
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