小鳥くんは今日も元気に空を飛んでいます。




でも、今日はちょっと寄り道。

川から程近い野原で、羽を休めることにしました。



そこにいたのはお花さん。

お花さんはいつも笑顔。

「あら小鳥さん、こんにちは。今日もいい天気ですね。」

太陽に照らされて、ごきげんです。




小鳥くんは、お花さんをみて、本当にきれいだなぁ、と思いました。

「やぁお花さん。ずいぶんときれいな、…花びらだねぇ。」

でもはずかしくて、素直には褒められませんでした。

「うふふっ…。ありがとう小鳥さん。今日はどちらまで?」

お花さんの笑顔は本当にまぶしくて、小鳥くんはずっと見ていたくなりました。

「えっ?きょ、今日は特に用事もないんだ。よかったら、一緒に話さない?」





小鳥くんは、今まで出会ったいろいろなできごとを話しました。





ヒナ鳥のころに体が小さくて、ごはんを他のヒナに取られてばかりいたこと。

一度カラスにさらわれて、けれどお父さんが助けてくれたこと。

初めてミミズをとった時、勢い余って土を食べ過ぎて、3日間下痢で苦しんだこと。

水浴びしていたら友達の髪がぺしゃんこになって、まるでスネ夫みたいになったということ。

歌っていたらやたらとハモッてくる奴がいて、そいつのさらに上をハモリ返してやったこと。

関節を鳴らしすぎて指が太くなってしまったこと。





お花さんは、小鳥くんの話を聞いて、笑ったり、ドキドキしたり、はしゃいだりしました。

いつも地面に立っているお花さんには、それらの話はどれもキラキラ輝く宝石みたいでした。





そして、小鳥くんも不思議な気持ちになっていました。

小鳥くんは、自分たちの仲間、それも男の子としか喋ったことがありません。

お花さんはとても表情豊かで、真剣に話を聞いてくれます。

下ネタばかり言う同年代の男の子とは全然違う感じがしました。





「今日は楽しかったわ。また明日もおはなししましょ?」

気付けばすっかり夕暮れ。

小鳥くんも帰る時間です。

「うん、じゃあまた明日。ばいばい。」

帰り道、いつもより足取りが軽やかでした。



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