7. あり得ない男
 
しかしここは怒りの気持ちを抑えて返信する。確か部活は何やってるの?とか聞かれた気がするのでそれについて説明する。
 【私は陸上部に入ってます。走り幅跳びをやってて、都大会にも出たことあるんですよー☆予選落ちだったけど(笑)】
 なんでそんな複雑な設定かというと、たまたまうちの学校で幅跳びをやってて都大会に出場したけど予選落ちした女が美人だったから、という単純なものである。絶対高橋君はこのメールを見てその美人と照らし合わせ、エヘヘヘとなっていたに違いない。断言する。そして彼からのメールが届いた。
 【俺も陸上部!ハードルやってる!都大会出たことあるんだ。スゲー!】
 ここで彼のハードル技術について説明せざるを得ないだろう。毎年十月、連合陸上略して「連陸」が行われる。 私達の学校は二年連続で優勝しており、今年優勝すると我が校初の三連覇となるのだ。だがその大会の三ヶ月前、総体が行われた。これに出場した高橋君はハードルで他校の庄司君に惜敗する。これ以降の三ヶ月、彼は「庄司には負けねぇ!」を合言葉に練習を続けた。
 そして本番。なんと高橋君は優勝したのだ!しかし一つ問題があった。勝ったのはこの物語の主役ではなく、高橋正臣君、通称マッチ君である。ちなみに本物の高橋君はというと、庄司君には先着したものの七位。庄司君に勝ててよかったね。
 【エヘヘ(*^.^*)ほめてくれてありがとう!それじゃこれから塾があるので。明日からもよろしくね☆】
 そろそろ面倒になった星也は勝手に切り上げた。しかし私もその行動に文句はなかった。このまま付き合っていたらあっという間に夜中になりそうな勢いだったからだ。
 星也が帰り際に私にこう言った。
星「このままメールしてさ、最後はどうすんの?」
私「花火大会を最終目標にしよう。そこで確実に奴を落とす」
星「どーやって?」
私「まぁその時考えればなんとかなるよ」
 その夜はとてもよく眠れた。

 次の日の夕方。私に一通のメールが届いていた。(パソコンのアドレスは持っていた)星也からのメールであった。早速読んでみると・・・

【「高橋です!突然ですが彼氏いるんですか?」って来たんだけどどうしよう?】
                                      8へ続く

HOME