夏季講習は短期間でみっちりできるから、利用するとすごいためになると聞いた。期間は二週間程度なのだが、なんと3万円以上とられた。(それなりの勉強教えてくれるのか?)と多少不安に思いつつも、苦手の社会ともおさらばだ、と期待も持てた。
  教室に入ると、だいたい15人ぐらいの人がすでに着席していた。私と阿世知君は後ろの席に座り、授業が始まるのを待っていた。
 話を聞くと、初めの一週間は国語、数学、英語の三教科を学び、残りの一週間で社会、理科をやるのだという。
 国語、英語はすんなりと授業が進んだ。だが問題は数学である。
 別に生徒に問題があるわけではない。先生に問題があるのだ。 どういうことかというと、この先生は必ず授業で2回は間違える。板書の間違えを生徒に指摘され初めて気付くという、なかなかの強者である。
 はじめは笑ってすましていたが、次第に怒りを覚えた。
 そして夏季講習を始めて一週間が過ぎた時、アンケート調査をやらされた。質問の内容は、授業はわかりやすいか、教え方はどうか、一番近くのコンビニはどこかなどである。
 授業はわかりやすいか?という質問に対し、私と阿世知君は迷わず「わかりづらい」を選択した。事実なので仕方ない。
 だが次の、教え方はどうか?について、私は数学教師のことを赤裸々に書くべきか悩んだ。いくらなんでも少しかわいそうである。だが阿世知君は迷わず「数学の教師の教え方がまちがっている」と書き提出した。私は今でも彼を尊敬している。
 最後の一番近くのコンビニはどこか、という質問。これはとても困惑した。なぜなら二人とも最寄のコンビニは、超がつくほど無名のコンビニだったからだ。私の場合は「ショップ&ライフ」、阿世知君に限ってはほぼ自営業に近いコンビニ、「かせ」(コンビニの名前)である。私は馬鹿にされたくないので「ファミリーマート」と書いた。彼は「かせ(酒・タバコ)」と書いた。私は今でも彼を尊敬している。

                                           3へ続く




HOME