KIMU'sColumn

目を閉じるともう一人の僕の悪魔のようなささやきが、頭の中にこだましてきた。

『お前はそれでも関西人か!お前はそれでも関・西・人か!』

僕は耳をふさいだが、その声は止まらない。

『バンドのリーダーが夜中にわざわざ訪ねて来てくれて、サービスよろしく大暴れしてボケまくってくれてるのに、お前はそのまま眠れるのか?おう?眠れるのか!』

そうや!俺は関西人や!おしょうがスゴすぎて忘れとった。
これでも小学校の頃は、吉本入り候補 学年No.1の称号を担任から与えられていた強者だったはずだ。
あの頃のプライドはどこへ行った?いつからこんな腰抜けになったんや!大人のフリをしていた自分が恥ずかしい。

俺はやる。今夜こそやってやる!

僕は雷に撃たれたように部屋を飛び出し、よーじ宅へ突入した。
全裸にエプロンという姿で…。

「コラァ〜、お前ら今何時やと思とんねん!」

テーブルの上にかけ上がり、仁王立ちで叫んだ。

「眠いんじゃ、俺は!真冬にこんな格好させやがって!もっと静かに遊べ、静かに。じゃあな!」

言葉を失いストップモーションのようにア然とするおしょうとよーじ君。

僕はエプロンをなびかせ、闘いを終えたモハメド・アリのように肩で風を切って、よーじ宅を後にした。

背後からおしょうが絞り出すような声でつぶやく。

「き、木村〜。お、お前ええ奴やな〜。」

勝った。一瞬だが僕は確かに勝ったのだ。

久しぶりの、そして懐かしいほどの満足感に浸りながら、僕は部屋に戻った。


しばらくして二階ではドンチャン騒ぎが再開されたが、その時の僕には、もはやそれは心地良い子守唄のように響くのであった。


諸君、人生手抜いたらアカンよー。何事も努力すれば必ず報われる。
大事なのは自分を見失わないことだ!



今日はこれにて…



−次回予告−

おしょう高校時代の壮絶エピソード発掘!
クラスメートの足立くんが仕掛けられた恐怖の罠とは。
「部屋に野良犬が。。。」



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