KIMU'sColumn

抱腹絶倒
ノンフィクションコラム

JohnnyGuitar
KimKimの
「おしょう伝説」
Vol.6



「としなりの憂鬱」


ある日の監獄ロック。

ライブハウスでのリハーサルを終え、いつものごとく喫茶店にて本番までの時間つぶし。

店内にはおしょうの豪快トークが炸裂し、おしょう歴20年の氏永が絶妙の突っ込みを入れる中、 突如、物憂げにとしなりが僕に囁きかけてきた。

「木村〜。あんな〜俺今日革パン持って来てへんねん。」

「なんで!?」

「実はな、こないだのライブでケツ破れてもうてん。」

「え〜っ!革パンのケツが!?」

「しっ!大きい声出さんといて〜や。」

「せやかて革パンやで〜。普通破れへんぞ!ガハハハ。あんな股広げて弾いてるからや! あれはなんぼなんでも広げすぎやで〜。しかし破れるか、革パンが!ハハハハ。」

「どうしよう、今日のライブ。」

「しゃーないがな。無いんやったら。時間かかるやろけど縫うしかないやろ。今日は許してもらい〜な。」

「うん。」

さて本番。

結局他のメンバーに切り出すタイミングを失ったとしなりは、何事もなかったかのように、 革パンではなくジーンズでステージに登場。

もちろん黙っているはずがない。…彼が。

「おぇ〜っ、としなり!なんじゃその格好は!」

「え!?あっあ〜、あの〜革パンちょっと忘れてしもて。」

「何を〜!監獄は革パンと決まっとるやろが!アホッ!」

しかしライブは既に始まってしまっている。

もちろん、どんな格好をしていても、もし仮にステテコをはいていたとしても、彼のドライヴベースは鉄壁である。

演奏もお客のノリもバッチリだった。




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