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現在のシクスのメンバーについて、どんな人物なのか簡単にひとりずつ紹介してもらえますか?

Mikee:ジャスティンはレイドバックしていて、ひとりでいるのが好きで、いい奴だよ。たぶん自分のことを詩人というよりシンガーとしてみていると思う。自分の声を使うミュージシャンであって、詩人だとは思ってないんじゃないかな。俺とはかなり違うね。ギタリストのダンは、多作な人で、メロディックな音楽にインスパイアされている。どちらかと言うとジャスティンもそうだけど、このバンドのメロディックな部分に貢献してくれているんだ。ダンはこのバンドのオリジナル・メンバーで、ソングライターとしても素晴らしいと思うよ。曲を沢山書いているし、アレンジにもかなり関わっている。彼だけが曲を作ってるわけじゃないけど、とにかく色んなリフを作り出しているよ。ピンはフレンドリーで賢くて、妙なギターを弾く。ジェイムズは才能豊かでクールな奴だ。出会ったばかりの頃はあまり仲良くなかったんだけど、彼も徐々に落ち着いてきて、上手く付き合っていけるようになった。今では友達だよ。そして、ダン・フォードは本当に凄い奴で、いつでも音楽のことばかり考えている。音楽に関しては、何をするにしても、全身全霊を注ぐんだ。彼の音楽に対する理解度は信じられないほどで、俺が何かリズムを口ずさむと、それを紙に書いてドラムで叩き出すんだ。どうやったらそんなことができるんだろう? 彼の中には特別な音符があるんだろうな(笑)。俺達のオリジナリティにかなり貢献しているメンバーで、そのドラムのスタイルは独特だ。まるで唄を歌っているようにドラムを演奏するんだ。

じゃあ改めて、あなた自身のことについて聞いていきたいと思います。シクスの個性は、あなたのヴォーカル・パフォーマンスに負うところが大きいと思うんですが、あの独特な歌い方をどのようにして確立したんでしょうか?

Mikee:ありがとう。14歳の時に始めたデス・メタル・バンドでは、俺の出来ることと言ったら、ただ唸るだけだったよ。それ以降、もっと人のしゃべり方とかに注目するようになって、自分の口だけでなく体のあらゆる部分を使って歌うようになったんだ。体の筋肉はどれも、違うサウンドやテクニックを作り出すのに役立っている。これまで色んなことを自分なりに考えて、それで今のような歌い方になったんだよ。何か思い浮かんだら、それを試してみて、上手く利用できるようにするんだ。

例えば、詩の朗読とか演劇に影響を受けたり、そういうものを学んだりした経験などはないのですか?

Mikee:いや、歌に関してなら、声の出し方とか息の吐き出し方とかを正式に学んだことはあるけどね。ノドを痛めないようにと思ってさ。俺にはトマス(Tomasz)っていう親友がいて、実は彼がヴェルヴェット・アンダーグラウンドとかニック・ケイヴといったクールなアーティスト達を紹介してくれたんだけど、彼自身も詩人で、よく一緒につるんでるし、俺は彼のことを本当に尊敬している。2人ともジム・モリソンやジョニー・キャッシュやレナード・コーエンが好きで、俺は特にレナード・コーエンが大好きなんだけど、とにかく自分が何を言いたいのか熟考して、隠喩的表現でそれを語るんだ。そうやって何かを言うと、色んな意味に捉えられる。そうすれば、聞いた人がそれぞれ個人的に解釈して、自分のこととして捉えることができるだろ。それが俺のやりたいことなんだ。自分自身を見つめて、自分に正直でいるべきだと思う。

そういう独特のヴォーカル・スタイルとヘヴィ・ミュージックを組み合わせようという方法論はどういう風にして思い付いたのですか?

Mikee:自然と思いついたことをやっているだけなんだ。音楽を聴いて、自分が何をすべきかを考えれば、自然に起こることなんだよ。オリジナリティの話をすると、曲の初めから終わりまでただ叫んでいるようなヘヴィ・ミュージックには耐えられない。そんなの誰もがやっていることだ。だから、俺はその先にあることを考えるし、自分自身を深く見つめて、自分には何ができるのかを考え続けるんだ。今までにやられたこと以上のものって、もっとあるはずなんだよ。まだまだ色んな音楽を作れるはずさ。でも、大勢の人や多くのバンドが、その点に関して間違ったアティテュードを持っているよね。もうオリジナルな音楽なんて書けないとみんな思っているけど、そうじゃないんだ。ただ自分の内面を深く見つめて、同時に他人のやっていることも観察してみれば、絶対にそうできるんだよ。俺はそう考えてる。

なるほど。あなたのヴォーカルは多くの声色を使い分けていますが、自分が多重人格ではないかと思ったりすることはありますか?

Mikee:俺が人間を観察する限り、誰もが多重人格だと思うね。誰もが色んな面を持っているはずだよ。自分の声に関しては、どんな声を出すにしても極端な形にしている。落ち着いた声にする時は物凄く落ち着いたものにしたり、そうやって極端にしているんだ。アクセントも変えてみたりするしね。普段、自分がしゃべっていないようなアクセントを使って、どうやって曲を作ったらいいかを考えたりもするよ。そういったワイルドなアクセントをヘヴィ・ミュージックに取り込みたい。俺がフィクションの物語を書いたとして、それは非現実的なことだからこそ、現実的なんだ。ただ自分の内を見つめればいい。俺の言っていること理解できるかな? つまり、物語の中で使われているのは声であって、その声は現実のものだってこと。全ては本物であって、そこにまやかしはないんだよ。

バンドには、さらにもうひとりシンガーがいるわけですが、ヴォーカリストを2人置くことの狙いについて解説してもらえますか?

Mikee:当初は、そこから作り出される幅の広さやカオスを狙っていた。2人の正反対な人物が一緒にやることで何が作り出されるかを見てみたかったんだ。2人の違った人間、6人の違った人間が一緒に何かをしたらどうなるか、ということをね。まあ正直、たぶん俺がいちばん他のみんなと違った個性の持ち主だとは思うけどさ(笑)。ミュージシャンというのは、それぞれ独自の波に乗っているんだ。ジャスティンはジャスティンの、俺は俺の波に乗って、それぞれ何か面白いものを求めて、そこから何が生まれるか試しているんだよ。大勢の人を一軒の家に詰め込んで何が起こるか観察しているようなものだね。そんなことは実際にはしないだろうけど(笑)。

では次に、作曲についてお聞きします。アルバムには、あなたがほとんどひとりで作ってしまったようなトラックも入っているし、一方で他のメンバーの思い入れが深い曲も入っていたりするようですね。つまり1曲が作られるまでに様々なパターンが見てとれるんですが、それをどうやってバンドとしてまとめていくのでしょう?

Mikee:確かに、アルバムには俺が全く関わってない曲とかも入ってる。“Peep Show”っていう曲なんだけど、あまり好きじゃなかったから、ジャスティンに歌詞を書かせて、ヴォーカルもとってもらったんだ。逆に“Can't We All Dream”は俺がひとりで歌ってるし、“Tupelo”のヴォーカルは俺がメインでとっている。“When The Forest Speak”の語りも俺がやっているし……まあ、そうやって色んな曲があるわけだけど、それがひとつにまとまることでシクス独自のサウンドになるんだよ。ただ、昔は色んな方法で曲作りをしていたけど、最近では、他のメンバーが曲を作って、そこに俺がヴォーカル・パートを付け加えていく方法がほとんどだね。良い曲になるまでそうやっていくんだ。

その過程で議論をすることもあったりするんですか?

Mikee:そう、その通り。色んな話し合いや言い争いがなされるんだ。誰かがあるパートを作ったら、「その後はこうしようぜ」とか話し合って、曲の構成を考えていく。基本的にはそういう感じだよ。

さっきから何度か名前が出ているニック・ケイヴの曲“Tupelo”のカバーもアルバムに収められていますが、これなどは、あなたから他のメンバーに「カバーしよう」と提案して説得した感じでしょうか?

Mikee:そう、俺が提案したんだ。ニック・ケイヴのナンバーを全部で5曲ほど提案したんだけど、メンバー全員で“Tupelo”がいいんじゃないかということでまとまってね。この曲はファースト・アルバムの前に出したEPにも入っていたんだけど、そっちはバンドが望んでいたような出来じゃなくて、もっと良く出来るはずだと思っていたからミックスし直してアルバムに収録したんだよ。これは、トマスの家で初めて聴いたニック・ケイヴの曲の内のひとつなんだ。

参考までに、他にあなたがやりたかった候補曲も教えてください。

Mikee:“Do You Love Me”と“The Mercy Seat”と……あとは確か『THE FIRSTBORN IS DEAD』から3曲だったと思う。その内のひとつが“Tupelo”だね。ただ、この曲をレコーディングした時にアルバムを無くしちゃったから、曲のタイトルを忘れちゃった。大好きなアルバムなんだけど。君はニック・ケイヴ好きなの?

何回かインタヴューしたこともありますよ。もう、かなり前のことですけど。

Mikee:そりゃあクールだね。ちなみに、友人のトマスも先日ニック・ケイヴにブライトンの駅で遭遇したんだって。トマスが自分の書いている本の話を彼にしたら、彼は凄く面白く思ってくれたみたいで、トマスは喜んでいたよ。ニックは曲作りのためにパリに向かう途中だったらしいんだけど、彼みたいな人が電車で移動するなんて、普通の人と変わらない感じでクールだよな。

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