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パンクを聴き始めた時は、まだ“Wheaton Calling”という歌に出てくる故郷の町にいたんですか?

J:そうだよ(笑)。

この歌の歌詞にも、自分の故郷の保守的な風土に対する違和感みたいなものが扱われてますけれども、こういったアメリカの非都市部に対する違和感のようなものは、あなたが若い頃から今に至るまでずっと持ち続けている、あなた自身の本質みたいなものなのでしょうか?

J:絶対にそうだね。それが核になってると思う。俺が育ったのは郊外の町で、暗黙のルールに支配されてるような所だったんだ。決めつけられた善悪の価値観に従って、誰もが同じものを求めて生きるのが当然とされていた。子供心に自分には適合できないって思ってたんだ。そしてパンク・ロックに出会った時、「自分のルールを作って生きればいいんだ」って教えられた気がした。要するに、人に言われたものを求めるんじゃなくて、自分が本当に欲しいものを求めていけばいいんだってね。今になってハイスクール時代のあの瞬間がこんなにも重要に思えるのは変な感じだけど、誰にでもそういう時はあるんじゃないかな。たとえ人には話さなくてもね。本当にあれは、いきなり可能性の扉が開いた瞬間だったよ。それまでの自分は、自分のために敷かれたレールに一体どうやって収まればいいのか悩んでたわけだから。

パンク・バンドの歌詞は、非常にストレートな社会批判だったり、あるいは大人は嫌いだ!といったようなものだったりもしますが、一方であなたの書く歌詞は、単純にそれをそのまま書くのではなくて、もうちょっと複雑な表現をいつも試みているようです。それは今30代になったバーニング・エアラインズの時点ではなくて、ジョウボックスの頃からそうだったんじゃないかと思うんですけれども。どうしてそういう風な傾向の歌詞を書くんだろうと自分では思いますか。

J:わざと複雑なものにしようって気があるわけじゃないんだ。俺にとっては自然に出てきたものに過ぎない。特にバーニング・エアラインズではシンプルさを求めてるよ。直接的に書こうとしてるにもかかわらず、ついいろんな方向へ行ってしまうんだ。それによってパズルのように謎めいてきて、やり過ぎたかなって思うこともあるけど、時には歌詞を組み立てるのが楽しくてそれが醍醐味のように感じることもある。言葉をいろいろ組み合わせて遊んでみて、歌うのが心地よいような歌詞にしていくのは、凄く面白いんだ。やってるうちに横道に逸れてくんで、結果的にストレートな歌詞にはならないんだよね。

そういえば、前にインタビューした時、それは音に関しての話だったんですが、ドラマーの違いという話題になって、「ジョウボックス時代のドラマーはストレートさを好まなかった、要するにバーニング・エアラインズではよりストレートな方法をサウンド的に目指してるんだ」というような話が出たことを思い出しました。何故、ジョウボックスを解散してバーニング・エアラインズを作った時、シンプルでストレートという方向性を考えたのでしょうか?

J:必ずしも「よりストレート」ってわけじゃないかもしれないけど……うーん……どうしてだろう? 自分が昔好きだったバンドのようにダイレクトなバンドがやれたらいいなと、ただなんとなく思ったんだ。いい音楽には、特にいいロックンロールにはシンプルなものが多い。歌詞でもそうだけどね。俺は個人的に複雑な歌詞に惹かれてしまうんだけど、一般的に言って、偉大な歌にはシンプルな歌が多いと思う。言いたいことをスパッと言ってるような。俺にはそういうものを書く方がかえって難しいんだけどね。複雑なものもシンプルなものも大好きだけど、シンプルさを求めるのは……人々にもっと明確に理解されたいっていう気持ちからかな、もしかしたら。本当に、こう、シンプルなメッセージをシンプルな表現方法でできたらって思って。それがバーニング・エアラインズの唯一の目標ってわけじゃないんだけどね。

逆に言うと、単に複雑にすることのみを目指すという方向性は、ジョウボックスの最後の時にもう自分の中である程度やり尽くした、という感覚を持っていたのでしょうか?

J:いや、そうじゃないけど……ジョウボックスの場合は……4人の競争心とエゴと異なった音楽観を、曲という空間に無理矢理押し込んでたようなものだったんだ。ジョウボックスの最後のアルバムは、バンドの最高傑作になった。なぜなら、複雑なものでありながら、全体に調和していたからね。でも、今聴き返してみると過密な感は否めない。詰め込み過ぎてるように思えるんだ。自分が好きな音楽、関わっていく音楽が今後、馬鹿みたいにユニゾンで単純なものになるとは思えないけど、より簡素化され、直接的なものにはなると思う。バーニング・エアラインズでは、歌として優れたものを作りたいってことに集中した曲作りをしているんだ。個人のエゴのぶつかり合いはほとんどない。よりよい歌にするために各メンバーがお互いの意見を尊重し合って作ってるよ。

なるほど。ところで今パッと思いついた質問なんですが、日本ではクラッシュの作品に対して、ファースト・アルバムが最高傑作だと言う人達と、いや『サンディニスタ!』というアルバムこそが最高傑作だと言う人達がいるんですけれども、あなたはどちらかというとどちらの作品が好きでしょう?

J:1枚だけ(笑)? 1枚選ぶとしたら『ロンドン・コーリング』だね。

わかりました(笑)。もう一つジョウボックスからバーニング・エアラインズへと変わった時の話をしたいんですけれども、ジョウボックスはメジャーからレコードを出していましたよね。今はまた自主レーベルに立ち戻ったわけですが、メジャーでやってみたことで一番学んだことは何でしょう?

J:んーと……(考え込む)。

ではまず取っ掛かりとして、良かった事の方が多かったでしょうか、それとも苦労した事の方が多かったでしょうか?

J:アトランティック・レコーズに在籍してて、楽しかった事もたくさんあったし、ガッカリした事もたくさんあったんだけど、振り返ってみて思うのは、アトランティック側が払うと言った金は素直に奪って逃げれば良かったな、ってことだね(笑)。その一方で、自分で理解できる規模でやってる方が落ちつくということを、個人的に学んだよ。自分で把握しきれない状況に圧倒されるのは好きじゃないというか……つまり、自分自身が関わったことの結果に対して自分で責任を取る形の方がしっくりくる、ってことなんだ。理解できない既成の構造の中に取り込まれてその一部になるよりはね。まぁ、全てを通して一番学んだことといえば「物事はそんなに簡単に白黒つけられるもんじゃない」ってことだね。だから用心して、自分に対して正直にやっていくべきだ。現実は必ずしもメジャー・レーベルは常に悪、インディペンデント・レーベルは常に善、という図式にはなってない。信用できるものを自分で探していくしかないんだ。

例えば、今は日本のパンク・バンドのシーンが凄く盛り上がって来ていて、この間のライヴに集まっていたバンドの子たちとかがまさにそうなんですけれども、多くの若いミュージシャンがメジャーから誘いの声をかけられている、という状況があったりして、インディーを貫くのか、メジャーと契約するのか迷っているような子たちもたくさんいるみたいなんです。そこで、先輩としてこれだけは、というアドバイスがもしあれば、みんな参考にすると思うんですけど……。

J:いや、昨日ちょうどNAHTとSOONとCOWPERSのギターの子達とそういう話をしてたんだけど、みんな本当にしっかりしてたよ。いろいろ真剣に考えてたし、それぞれに意見をちゃんと持ってた。俺が言えることといえば、十分に警戒して、自分が本当にやりたいことに確信を持て、っていうことだけだね。アトランティックに3カ月間だけ注目され、即大成功しなかったためにその後は完全に無視されたという苦い経験を経てきた者としては、熟考が大事だって強調したい。誰にだって可能性はあるというのも事実だし、あの世界に巻き込まれて、音楽を作るっていう本来の目的を見失う危険性を考えると、あの世界には近寄らない方が安全だと言うこともできる。でも、日本の若いバンドの連中と話をしてみたら、本当に自分達の音楽に対して真剣に取り組んでるってことが分かって感心したよ。ちゃんとヴィジョンを持ってる。俺なんかのアドバイスは必要ないように思うね。立派に自分達で考えて判断してくんじゃないかな。他人の経験はどうであれ、自分にとって理にかなってると思えることをするのが一番だ。彼らはきっと、理にかなった道を選べると思うよ。

では最後の質問にしますが、アルバム『ミッション:コントロール!』の中には、恋人と上手くいってない場面について歌っている曲が幾つかありますよね。あなたでも、辛い恋愛経験に涙で枕を濡らすような時があるんでしょうか?

J:(妙に真面目な表情で)あれらの歌詞は、全て真実だよ!

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