●スパイキャッチャーJ3(東映) 音楽:菊池俊輔 |
主題歌「スパイキャッチャー」作詞:水木かおる/作曲:伊部晴美/歌:叶 修二 |
挿入歌 |
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空飛ぶシボレー・コルベット・スティングレイ
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テレビ・映画音楽に興味のある人で「菊池俊輔」の名前を知らない人はモグリだ。彼ほど大量の劇伴音楽を作り続けている作曲家は他に類を見ない。時代劇をやっても社会派をやっても和風の匂いがない,職人と芸人の両面を持つヘヴィ級の器用人である。1970年代初頭から子供アニメ・特撮モノで「菊池節」と呼ばれるほどの個性を見せることになるのだが,大人向けのミステリー・アクション第1弾が河津祐介主演のこれ。後の「キイハンター」「アイフル大作戦」〜「Gメン75」へと続く。主題歌は仲間のギタリスト伊部晴美の作で,ヨーロピアン・スパイ・ミュージック風ロカビリーでカッコイイ。叶修二のはりあげ声が決まっている。 |
●ウルトラマン(円谷プロ,TBS) 音楽:宮内国郎 |
主題歌「ウルトラマンのうた」 作詞:東京一/作曲:宮内国郎/歌:みすず児童合唱団&コーロステルラ
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それいけ!われらのヒーロー!!
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♪「胸〜に,つけ〜てる,マークは流星…」日本人で,この歌い出しを知らない人を探すのは困難だろう。♪「光の国からぼくらのために…」ウルトラマン・シリーズの永遠のテーマは,人間が心に光を見出しつづけること。それまでのヒーロー像を根底から覆したかに見える神のような存在だが,実は一段高みに上ったのだと思いたい。様々なアイデア,よく練られたストーリー,スケールの大きいスペクタクルから,日常に潜む恐怖まで,宮内国郎の音楽はドラマに寄り添い,最大の効果を上げている。 |
●キャプテン・ウルトラ(東映・TBS) 音楽:冨田 勲 |
主題歌「キャプテンウルトラ 」作詞:長田紀生/作編曲:冨田 勲/歌:上高田少年合唱団,マイスタージンガー&ボーカルショップ
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主題歌2「宇宙マーチ」作詞:長田紀生/作編曲:冨田 勲/ 歌 :マイスタージンガー.ボーカルショップ |
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つーきもかせいもはるかにこーえーてーええーー
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宇宙開拓時代を迎え,地球人を襲う未知の事件に,相棒のロボット・ハックとキケロ星人ジョーと共に,3機分離合体の愛機シュピーゲル号を駆り,敢然と立ち向かうキャプテンウルトラ。若手SF関係者を迎え「ウルトラマン」の後番組として東映が制作
した「本格宇宙活劇」である。その設定はあまりにも早すぎたのか,マグマ大使,ウルトラマンの次の巨大ヒーローを望んでいた子供たちにはそっぽを向かれてしまった。しかし宿敵バンデル星人や個性的な怪獣に,巨大化せず知恵と勇気で立ち向かうキャプテンの姿は,少数の宇宙SF少年の心に深く刻み込まれているだろう。富田勲はこの頃から宇宙や未来的なものと縁があるらしい。素晴らしいスケール感の主題歌は,それまでのマーチ,児童合唱,流行歌風の歌を何光年も超えていってしまっている。 |
●ウルトラ・セブン(円谷プロ,TBS) 音楽:冬木 透 |
主題歌「ウルトラセブンのうた」歌詞:東京一/作曲:冬木 透/歌:みすず児童合唱団&ジ・エコーズ |
挿入歌「ウルトラ警備隊のうた」 |
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アンヌ,ぼくはM78星雲から来た宇宙人なんだよ
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シンフォニック。重厚なオーケストレーションと軽快なボーカルハーモニー。楽器の音色やリズムを目立たせるアレンジが,宮内ウルトラマンの音楽と好対照をなす。ドラマの要所で引用されたクラシックの曲も効果的だった。番組開始当初は,まだウルトラ一族という設定がないもので,セブンは単なる銀河系辺境の観測員にすぎない。そんな彼が,自分の命を犠牲にして人を救った地球人に感動し,地球の守り手として働くことになるのだが,組織の不条理,異文化間の誤解,侵略と被侵略の逆転…等の世界の成り立ちに疑問を投げかける物語の中で,悩めるヒーロー像を初めて見せてくれた。その矛盾の上で少年達が感情移入できるほど,完成度の高い作品だったのだ。勇壮なテーマ,不安をかきたて,カタルシスに至る,後の円谷作品の中核をなす冬木音楽は,ここで完成している。 |
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