← 以降の作品

道中らぷそでぃ
Songs created by Yosuke Fukuda (c)2003 Yosuke Fukuda

「東海道」は、江戸時代に江戸と京を結ぶ、重要な道路でした。上方と江戸の文化交流は、この街道を中心に行われたことでしょう。道中には五十三の宿場が設置されていました。宿場をひとつずつ渡り歩くことで京や伊勢に向かったものです。
1日40km、約14日で歩いてしまったらしいという説もあり、現代人の我々にとっては到底考えられないものです。とはいえ、一概に快適な旅とは言えず、まず保土ヶ谷の権太坂でそのあまりのキツさに行き倒れになった者もあり、箱根の山は「天下の剣」、大井川は増水も多く足止めを相当喰らう…それでも旅を好み「講」を構成…いわゆるツアーを組み、共に旅を悠々と楽しむ習慣もあったそうです。このあたり、今も昔も大きく変わらないのかもしれません。

旅への人々の思いと移り行く空気感、そして私自身の憧憬を込めて、小唄の名曲「お江戸日本橋」のモチーフを借り、ラプソディックに創作しました。

●2007年3月 第3回「風雅」にて初演 演奏・京都西山高等学校吹奏楽部/指揮・鶴田栄治
■楽譜 ウインドアート(レンタル)
■音源 ワコーレコード(ウインドアートニューコレクション2007)



吹奏楽のための「風之舞」
Songs created by Yosuke Fukuda (c)2003 All Japan Band Associasion

私は以前から、”Hokusai Impressions”というテーマで作品を創り続けています。”Hokusai”とは、江戸期の高名な絵師・葛飾北斎のことです。
北斎、広重、写楽、歌麿…彼らが世間に打ち出した「浮世絵」は、日本風俗を浮き彫りにした色使い、バランス感覚、デフォルメ、そして何よりも描かれている世界観がとても独特です。19世紀末のパリ博覧会に、日本から出展された「富嶽三十六景」の「神奈川沖浪裏」を観たドビュッシーは、触発されて交響詩「海」を生み出し、ゴッホは浮世絵の模写を試み…
想像力を掻き立てる浮世絵の持つパワー…彼らが残したものは、強烈な「日本のオリジナル」なのだと思います。鎖国下にあった江戸庶民文化の成せる業…という事ではなく、もともと日本人に「文化を築き上げる力」を持っているのだと思います。それが強烈に発揮された江戸期、私はタイムスリップしてでも体験してみたいものです。
私も及ばずながら、そして生意気にも「日本のオリジナル」をテーマに常日頃より創作しております。尊敬する葛飾北斎の浮世絵にうかがえる「オリジナリティ」に、少しでも近づけたら…という、あまりに過大な目標を持ちながら…
「風之舞」(かぜのまい)のタイトルは、当初は写楽の「歌舞伎絵」や、歌麿の「美人画」に魅せられ、以前から「粋(いき)」の世界を、吹奏楽で創りたかった、という感心がありました。「架空の歌舞伎舞台」を繰り広げるという発想から創りはじめたものの、いざ出来上がってみれば、「風ニ舞フ」というさらに大きなイメージを感じ、これで題名が決まりました。
そして発表から5年が経過してもなお、各方面のコンサートレパートリーとして続けて取り上げられ、2009年には新たな展開を迎えることになり、尽くせぬ感謝の限りです。

※『彩シンフォニエッタ』第4曲目としても構成される。

●第14回朝日作曲賞受賞
■楽譜 全日本吹奏楽連盟
■音源 2004年度コンクール課題曲参考音源, 2004年度全日本吹奏楽コンクールライブCD (ビクターエンターテインメント)



春の牧歌
Songs created by Yosuke Fukuda (c)2001 Yosuke Fukuda

あまり大きくない編成で、メロディの歌える曲を作ってみようと、やはり教材的な観点で発想した曲です。
冬から春に変わる頃の空気には、独特の緊張感を感じます。ヴィヴァルディの「四季〜春」で見せる開放的なサウンドは、サクラの花が満開になった頃をイメージします。それよりも「…そっと近寄ってくる気配」という、淡い時期が好きです。

●2005年3月 八王子市立陵南中学校吹奏楽部により初演 指揮・福田洋介
■楽譜 未出版
■音源 ワコーレコード(第3回風雅)



ロマネスク組曲
Songs created by Yosuke Fukuda (c)2000 Yosuke Fukuda

1.行進曲風序曲Overture Marziale
2.コラールChorale
3.鐘のスケルツォScherzo de Callion
4.壮麗な行列Marche Gloriuese

スクールバンド向けの教材として、何か作ってみようかと、楽曲というよりは「テキスト」としての発想がありましたが、作っているうちに、なんだか感じの良い雰囲気が漂いはじめたので、組曲としてまとめました。ロマン派の楽曲に近い言葉を使用した気がしたので、題名に「ロマネスク」を使用しました。子供には子供らしく、大人には色っぽく演奏してくれればと思います。式典などで使えたらまた効果があるかもしれません。

●2005年6月 浜松市立蜆塚中学校吹奏楽部により部分初演 指揮・鈴木珠美
■楽譜 未出版
■音源 未出版



KA-GU-RA for Band
Songs created by Yosuke Fukuda (c)2004 Brain Co.Ltd.

日本の風俗・郷土文化に大きく興味があります。また日本の「古来からの文化を守り抜く」努力により、ともすれば三百年から千年以上昔の「原風景」を垣間見られる場所。または瞬間があるというのも不思議であり、素晴らしい事だと思だと考えます。
そういった風景を心の中に一度しまってみると、現代人の土着性がまだまだ残っている事にあらためて気づきます。必死で新しいものに飛びつく我々ですが、基本的な血の流れは変わっていないのでしょう。

日本の民俗音楽、もしくは風俗文化の原点ともいえる「神楽舞」の持つ神秘的、あるいは土俗的は世界観にインスパイアされて「KA-GU-RA」を作曲しました。
神社でよく見られる巫女舞。1年の豊作を祈願する田楽。健康・隆盛を祈願する獅子舞…軽快な太鼓のお囃子に乗せ、ひょっとこやおかめ・きつね等の仮面を着けて舞うのも勿論「神楽舞」です。神秘から笑いまで、人間の持てる感情・感覚を全て織り込んでしまう力があります。

実在する神楽のフレーズを曲に持ち込む事はしていません。あくまでも風景としてとらえてみた「KA-GU-RA」です。

●1999年JBA(日本吹奏楽指導者協会)作品公募「下谷賞」において「佳作」受賞
●第3回響宴にて初演 演奏・川口市アンサンブルリベルテ吹奏楽団/指揮・近藤久敦
■楽譜 ブレーン(レンタル)
■音源 ブレーン(響宴III)



FU-GA-KU II
Songs created by Yosuke Fukuda (c)1997 Yosuke Fukuda

言うまでもなく、葛飾北斎や安藤広重など、多くの絵師が挑んだ「富嶽」。その雄雄しくも繊細な画に魅了され、"Hokusai Impressions"シリーズの中でも2曲作っています。
どこまで行ってもまだ見える、そんなデッカイ富嶽の景色は、絵師にこだわりをもたらしたと考えています。富士の裾野から見上げた時の存在感を、エネルギッシュかつ華麗に音化してみたい、という狙いがありました。
わりと大き目の吹奏楽編成で、演奏技術も結構要求している部分があり、コーダ部分も相当シンドイかもしれませんが、可鍛に演奏してくれると信じ、このままにしてあります。

●2007年3月 神奈川県立西湘高等学校吹奏楽部により初演 指揮・鈴木匠
■楽譜 未出版
■音源 未出版



楓の詩 Lyric of Red Maple
Songs created by Yosuke Fukuda (c)1997 Yosuke Fukuda

紅葉の時期になると決まってどこかしこに出掛けたくなります。枯れて行くのに木々の葉の色はなぜあんなにもキレイなのでしょうか…ずっとずっと不思議で仕方ありません。枯れていく姿が「燃えて」見えるような色合いに、何か詩的な情感を感じて創った楽曲です。
ちょうどスクールバンドの指導を始めた頃で、メロディをじっくりと歌えるような曲を提供したいという発想もありました。冒頭のフレーズは頭の中にぐるぐると巡って仕方なかったほど、鮮烈に「音」として現れた珍しい体験をして生まれた、秋に寄せた小品。

●'96管楽合奏のための作・編曲コンテスト(日本吹奏楽学会主催)において「オリジナル作品賞」受賞
●2006年10月 たけはら吹奏楽団定期演奏会にて初演
■楽譜 未出版
■音源 ワコーレコード(第3回風雅)



祝祭の詩 Festive Ode
Songs created by Yosuke Fukuda (c)1993 Yosuke Fukuda

母校である都立豊多摩高等学校在学中・高校3年生の時に、第10回定期演奏会を勝手に記念して書き上げた作品で、初の吹奏楽作品。様々な影響を受けながら作曲というものに取り組み始めていた時期の習作で、いま聞くとなかなか恥ずかしいものがありますが、当時の自分にあった音楽のスピード感はすでに真似ができないと実感しています。
バーンズとC.T.スミスの影響が強いフレーズとハーモニー感の中で、モチーフを設定してファンタジックな音展開を試みた内容。出来上がってみればかなり込み入ったスコアになったもの、当時の仲間達が果敢に演奏してくれたことには心からの感謝。若々しい混沌と開放がいっきに祝典的気分へと結実する、ドラマチックな作品です。

●1994年3月 都立都立豊多摩高等学校吹奏楽部により初演 指揮・中村匡児
■楽譜 未出版
■音源 未出版