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第4回 (2004年度) 佐治敬三賞は「三井 (みい) の晩鐘」に決定


 財団法人 サントリー音楽財団(堤 剛・理事長)では,わが国で実施された音楽を主体とする公演のなかから,「チャレンジ精神に満ちた企画で,かつ公演成果の水準の高いすぐれた公演」に「佐治敬三賞」を贈っている.その第4回(2004年度)受賞公演は,「三井の晩鐘」と決定した.

 選考は,応募のあった2004年実施公演について,今年1月10日,選考委員9名により第一次選考を行い,引き続き3月15日,最終選考会を開催,おなじく選考委員9名により審議の結果,「三井の晩鐘」が選定され,翌16日,理事会で決定をみた.
 選考委員は,磯山 雅,伊東信宏,岡田暁生,岡部真一郎,白石美雪,楢崎洋子,沼田雄司,船山 隆,三宅幸夫の9氏.

 受賞者には,賞金200万円が贈呈される.


公演の概要

04.10.24(日)17:00 イシハラホール 主催:イシハラホール
「三井 (みい) の晩鐘」
浄瑠璃/豊竹呂勢大夫 三味線/鶴澤清治 ソプラノ/松岡由佳 ヴァイオリン/豊嶋泰嗣 ヴィオラ/篠崎友美 チェロ/菊地知也 コントラバス/吉田 秀 クラリネット/加藤明久 パーカッション/中村 功 演目:「三井の晩鐘」(原作/梅原 猛 作曲/猿谷紀郎 構成・脚色/石川耕士 文芸協力/茂山千之丞 浄瑠璃作曲/鶴澤清治 演出/鵜山 仁 演出協力/石川耕士 美術/倉本政典 照明/井口 眞)

贈賞の理由

 イシハラホールにおける「三井の晩鐘」は、希有の公演だった。その成立には、非常に多くの才能が寄与している。
 まず、梅原 猛氏の絵本『三井の晩鐘』があり、これを梅原氏本人が翻案した原作台本に基づいて石川耕士氏の台本が作られ、その浄瑠璃部分を当代きっての太棹の名手、鶴澤清治氏が作曲し、さらにそれを含み込む形で猿谷紀郎氏によるスコアが書かれ、そして中村 功、豊嶋泰嗣氏といった第一線の音楽家たちが集められて、これを上演する。これだけのものが、既成の組織に頼ることなく、一つの小さなホールの主導によって創りだされた、ということに瞠目する。
 そして、実際に出来上がった作品の質も高かった。まず浄瑠璃とオーケストラ楽器は、溶け合うのではなく、むしろ並置されるのだが、しかし対立するのでもなく、微妙な形で浸透しあう (太棹の節は、間接的に弦楽器の動機に反映する)。鶴澤氏の演奏を核としながら、それを包みこむ猿谷氏の音楽も、「龍の女」の言葉にならない望みを子音を省いた母音のみによって表象する、という卓越したアイディアをはじめとして、圧倒的な存在感を示した。結果として、いわゆるオペラでもないし、単なる和洋混淆でもない、全くユニークな舞台が生まれた。
 これは、大阪という都市の文化的蓄積についての深い理解があってはじめて実現した公演である。「チャレンジ精神に満ちた企画でかつ公演成果の水準の高いすぐれた公演」を顕彰するという、佐治敬三賞の精神に、まさしくふさわしいものであったと思われる。


第5回 (2005年度) 「佐治敬三賞」応募を受付

 「佐治敬三賞」は,「佐治敬三氏の音楽への深い愛情と理解およびチャレンジ精神,パイオニア精神を承継し,新しい世紀のわが国における音楽公演活動の一層の振興を願って,氏の名を冠した新しい賞として制定した」もので,「毎年わが国で実施された音楽を主体とする公演の中から,チャレンジ精神に満ちた企画で,かつ公演成果の水準の高いすぐれた公演に贈られるもの」としている.

 選考の対象は,毎年1月1日から12月31日のあいだに,国内で実施された日本人を主体とする音楽公演で,応募のあったもので,「清心,独自,冒険の意欲,あるいは若々しさに満ちた企画であり,かつ公演成果の高いすぐれたもの」としている.
 賞は,応募のあったもののなかから選定され,賞金200万円が贈られる.

 2005年1-6月実施公演の応募受付はすでに終了している.2005年7-12月実施公演の応募については,2005年4月1日から5月31日まで,サントリー音楽財団で受け付ける.
 応募要項・用紙は,《サントリー音楽財団のホームページ》からダウンロードすることができる.

問い合わせ:サントリー音楽財団(03-3589-3694)


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