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第36回(2004年度)サントリー音楽賞は,西村 朗氏へ


 財団法人 サントリー音楽財団 (堤 剛・理事長)は,わが国の洋楽の発展にもっとも顕著な業績をあげた個人または団体に贈る「サントリー音楽賞」の第36回(2004年度)受賞者を,西村 朗氏に決定した.

 選考は,今年1月10日,選考委員9名により第一次選考を行い「候補者」を選定,ついで3月15日,最終選考会を開催,おなじく選考委員9名により審議の結果,西村 朗氏を選定,翌16日,理事会で決定をみた.

 受賞者には,賞金700万円が贈呈される.

 選考委員は,磯山 雅,伊東信宏,岡田暁生,岡部真一郎,白石美雪,楢崎洋子,沼田雄司,船山 隆,三宅幸夫の9氏.

贈賞の理由と略歴

西村 朗(にしむら あきら)

Photo 贈賞理由

 西村 朗氏は現代日本を代表する作曲家のひとりで、2004年度もエネルギッシュな創作活動を展開した。
 当該年度に日本で初演されたのは『室内交響曲 第2番』(2月11日・いずみホール)、『秘水変幻〜横笛と二十弦箏のための〜』(3月20日・紀尾井ホール)、『夢幻の光』(7月24日・紀尾井ホール)、『涅槃と輪廻〜萩原朔太郎の詩による二つの歌曲〜』(11月5日・津田ホール)、『風媒〜ハープと室内オーケストラのための〜』(11月11日・紀尾井ホール) などである。オーケストラ作品においては西村氏が初期から追求してきたヘテロフォニーの手法がより高次の局面に向けて充実してきた。一方『夢幻の光』においては雅楽から新しい響きをひきだした。さまざまな表現媒体を駆使して、確実に自己の音楽観を現実の響きにしてゆくプロセスを見るにつけても、氏の強靭な意志力と、それを実現する高度な技術力に驚嘆せざるを得ない。
 また、いずみシンフォニエッタ大阪音楽監督、いずみホールにおける現代音楽シリーズ「新・音楽の未来への旅」の企画監修、東京音楽大学教授としての教育活動、ならびに日本作曲家協議会理事としての社会的活動など、日本の音楽界に対する西村氏の多大な貢献も高く評価すべきである。さらには『ピアノ協奏曲 第3番〜シャーマン〜』(3月1日・ドイツ/ロイトリンゲン) の新作初演をおこなうなど、活動の範囲を海外にまで広げていることも見逃してはならないだろう。
 以上のように、西村 朗氏は凝縮された、かつ息の長い作風によって群を抜いた存在であり、これからの創作活動にもさらなる実りが期待できる。

略 歴

 1953年、大阪市生まれ。東京芸術大学および同 大学院に学ぶ。西洋の現代作曲技法を学ぶ一方で、在学中よりアジアの伝統音楽、宗教、美学、宇宙観等に強い関心を抱き、そこから導いたヘテロフォニーなどのコンセプトにより、今日まで多数の作品を発表している。93〜94年、オーケストラ・アンサンブル金沢のコンポーザー・イン・レジデンンス。
 94〜97年、東京交響楽団のコンポーザー・イン・レジデンス。
 近年、海外においては、ウルティマ現代音楽祭 (オスロ)、「ノルマンディの10月」音楽祭 (ルーアン)、アルディッティ弦楽四重奏団、クロノス・カルテット、ELISION、ハノーヴァー現代音楽協会等から新作の委嘱を受け、ウィーン・モデルン音楽祭、「ワルシャワの秋」現代音楽祭、MUSICA・ストラスブール音楽祭、ブリスベイン音楽祭、ミュージック・フロム・ジャパン等において作品が演奏されている。
 また2000年より、いずみシンフォニエッタ大阪音楽監督を務めている。
 現在、東京音楽大学 教授、(社) 日本作曲家協議会 理事。

主な受賞

 日本音楽コンクール作曲部門 第1位 (1974)、エリザベート国際音楽コンクール作曲部門 大賞 (1977・ブリュッセル)、ルイジ・ダッラピッコラ作曲賞 (1977・ミラノ)、尾高賞 (1988・1992・1993)、中島健蔵音楽賞 (1990)、京都音楽賞 [実践部門賞] (1991)、日本現代芸術振興賞 (1994)、第31回エクソンモービル賞 (2001)、 第3回 別宮賞 (2002)。


◆これまでの受賞者一覧は,サントリー音楽財団 のホームページをご覧ください.

問い合わせ:サントリー音楽財団(03-3589-3694)


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