バンドマスターの愚痴


その1 吾が音楽人生の巻 


その1の4、プレイヤーとプロデューサー


『ペンタゴン』の活動が終わりかけの時期、
ワシは音楽部の副部長として忙しなく動き回っていました。
前出の『Sonic Boom』や『Cat’sEye』といったバンドが卒業したことで
良い意味「次に目立ってやろう」というバンドが大挙結成されたからです。

ただし悪い部分も多々ありました。
限られた部員で色々なバンドが結成された為、
パートによっては、
数バンド掛け持ちで弾かなければならない者が増えた訳です。
メインのバンドはどこなのかハッキリしない「ナアナア」なメンバーでは
見た目だけはカッコ良くても、
中身(精神面)は期待出来ないバンドが多かったです。
当時でいえば、皆“楽しめればそれで良し”という感覚だったのでしょうが。

更に苦労したのは練習場の割り振り。
2ヶ所の練習場を同時に使う場合、
掛け持ちメンバーの居るバンドはカブらせる訳にもいかない。
曜日の希望もあったりで、まるでパズルをしているよう。

しかし、これまで学園祭のみであった発表の場を
6月「サマーコンサート」12月「銀河祭」、週末不定期のミニライヴと増やしたことで、
学内に「音楽部は頑張ってる」、と “思わせる” 事に成功。
更に、
学園祭のスポーツ大会や冬の駅伝大会には大挙“選手”を投入。
今まで、ある意味虐げられてきた立場を覆せたのでした。

これだけ音楽部の事に労苦しているのに、
自身のバンド活動はというと、理想とは程遠い出来で、ライヴでも前座のチョイ役。
バンド数が増えたのは“ウケる音楽が演りたい”の裏返しでもあって
ワシの求めるインスト音楽など、
他のメンバーには受け入れ難いものだった訳です。

実は、『近日参上!』のギターに抜擢したギタリストは泰雄という後輩なのですが
コイツはヘビメタ・ハードロックが大好き。
ドラマーに抜擢した隆夫(コイツも後輩)もパンクロックが大好き。
翌年入部した秀樹はクラシック〜ポップス。

そこで、
“どうせ目立つのはメロを弾くギターなんだから ギターの趣味に合わせてみようか”
という案に辿り着きました。
ヘビメタ・ハードロックのインストを演ろう、というワケ。
この案は意外とすんなり成功して、バンドのカタチも整ってきて、演奏もマシになってきました。
ところが、演奏中、折角盛り上がった観客が、曲間には素に戻ってしまう為、
ステージ自体はやっぱり前座のチョイ役止まりでした。

2回生の秋には部長に就任。そして3回生に進級すると、ある意味大きな転機がやってきます。





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