ワイヤーロープの取り扱い

ワイヤーロープは劇場や会館の吊り用、人吊り用と舞台機
構でも使用されてます。


ワイヤーロープは最初から正常運転するよりも、軽荷重・低速運転でロープをなじませてから
正常運転に入る方が、ロープの寿命は長くなります。
使用前に実用荷重よりも少し重い荷重を数時間かけてロープの初期伸びを取れば、更に寿命
を延ばすことができます。
ロープの使用にあたっては、次の過荷重運転、高速運転、衝撃や振動を避けるように注意し
てください。

@過荷重運転
 過荷重運転はロープを加速度的に劣化させます。能率を上げるためには、1回の吊荷重を
 大きくするよりも、回数を多くする方がロープの実作業量は多くなります。つり荷重を大きくす
 る場合には、ロープを大径のものにするか、破断荷重の大きいロープを使用します。

A高速運転
 速度を上げますとロープとシーブ(滑車)とのあたり、摩擦が変わったり、振動を起こしたりし
 てロープを傷めます。速度を上げる必要があるときは、各シーブの回転を軽快にし、できれ
 ばゴムライニングを施して、ロープの跳ね上りや振動を少なくするようにします。

B衝撃及び振動
 急に始動したり速度を変えたりしますと、ロープに大きい衝撃がかかるとともに、ロープが振
 動してシーブやドラムをたたくばかりでなく、時にはロープの通過部周辺にある構造物などに
 触れることがあります。このような状態が繰り返されますと、ロープは疲労して遂には破断事
 故を起こします。特に、古いロープの場合は衝撃に対して弱くなっていますので、十分注意を
 要します。ロープの破断事故は衝撃が原因となっていることが最も多いようです。

 キンク・形くずれ
  
ロープを解いているときや引延し中に、左の図(1)のような輪ができたら、作業を中止し
て、これを直してから作業を再開してください。

そのままにして作業をしますと、(2)、(3)、(4)のようなキンクとなり、それを直しても(5)
のようになり、元通りにはなりません。

ロープにキンクが生じる原因は、このようにロープの解き方が悪い場合のほかに、次の
場合がありますので十分注意してください。

@ロープがしごかれて、よりの長さ(ピッチ)が変化した場合。
Aロープを一旦地面上に環状に解いたのちドラムに巻き取るために、横引きした場合。

キンクはロープの形くずれの最悪状態で、ロープの致命傷です。一旦キンクが生じます
とその損傷は永久的で、外観は直ったように見えてもそこが弱点になってロープは早く
傷んできます。


ワイヤーロープの点検

ロープは定期的に点検し、損傷や劣化の状態を常に把握し
ておき、取替時期を失しないようにしなければなりません。

ロープの主な点検項目
@磨耗の程度
全長を通じて最も擦られる部分、また目で見て最も細くなっ
ている部分の直径を数箇所測定する。

A断線の有無
断線の本数とその分布状態を調べる。

B腐食の程度
赤さび程度か、腐食にまで進んでいないか調べる。

Cグリースの状態
グリースが残っているか調べる。

D形くずれ、その他異状の有無
キンクの形跡、つぶれ、きず、くぼみ、浮き、よりもどりなど
について調べる。

E継ぎ箇所の異状の有無
継ぎ箇所の差込み末端素線が飛び出していないか、抜け
かかっていないか、またクリップがずれていないかなど調べ
る。

Fロープの端末部の異状の有無
ロープと取付金具との境目で、ロープのずれ(すべり出し)
はないか、断線や腐食がないかを調べる。

調べた結果、正しい状態に修正できるものは手直しする。ロ
ープの寿命は仕事量によって決まりますので、使用頻度も
重要ですが、それとともに使用回数を記録しておくと、寿命
判定の参考になります



 
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