Memorial






【 PAMPHLET 】

 このパンフレットは、1993年の"ぴあ・デヴューレヴュー"というライヴ・イベントで貰ったんじゃないかな。あまりよく覚えてません(笑)音楽評論家の平山雄一氏がライナーを書いてくれています。簡単なプロフィールと本人のコメントも。ちなみに、平山さんと林アキオのコメントは以下のようなもの。



「時代を超えるハイ・テンション」 Text by.平山雄一

  聴いた瞬間に判断できるアーティストがいる。才能の大きさ、バック・グラウンドの深さ、音楽を通じて送り出すメッセージの鋭さなどが一挙に耳を占拠してしまう。時代はあまり関係ない。時代を超える水準に達しているからだ。滅多にいない。林アキオは間違いなく、このタイプのアーティストだ。

 衝撃の出会いは前作に収められていた『抱きしめたい』という曲だった。はっぴいえんどのアルバム『風街ろまん』に収められているこの名曲のカヴァーは、林のイメージの喚起力の強さを物語っていた。カヴァーを通してオリジナリティの大きさを感じるというのは妙な話だが、逆に林らしいのかもしれない。期待に期待を重ねて待った新作『High Tension』は見事な傑作に仕上がった。
 オープニングの曲の『RIDE』は冒頭に書いたとおり、アッという間に人の心をとらえる。センスの良いメロディーを中心にして、アレンジの細部に至るまで林の神経が行き届いている。彼はメロディーと詞の作家だけでなく、音楽すべてに独自のヴィジョンを持つコンポーザーなのだ。しかも、『RIDE』からはビートルズやドアーズの香りがしてくる。ロックの深層にある良質な部分を、林は確実に受け継いでいる。
 シングル・カットの『小さな世界』も面白い。狙っていないくせにすぽっとストライクに入ってしまうような快感がある。最近、あふれ返るヒット狙いのシングルの対極にありながら、実はとてつもなくキャチーなところが林アキオの最大の特徴なのかもしれない。おいしいところを煮詰めて作った超甘のジャムではなく、皮まで丸ごとのホロ甘のマーマレードだ。

 少し閉じていて、ハードで明るい。早い話が頑固なポップ・メーカーということだ。♪Baby 「さがす」なんてもう古過ぎる言葉は誰も使わないらしい(「Modern Life」より)なんてサラリと歌う背中には、ミュージシャンのプライドがはっきり刻まれている。林アキオは音楽を通じて世界を見る。音楽で世界のすべてを歌おうとする。音楽家というのはそういった人物を呼び表す言葉だ。



「最初に出来上がったのは"High Tension"という曲」 Text by.林アキオ

 『最初に出来上がったのは"High Tension"という曲。これまでなら、アルバムの全体像は一曲二曲と仕上げていく過程で徐々に鮮明になっていくものだったが、今回は違った。"High Tension"が出来上がった時、もちろん漠然とではあったけれど、アルバム全体のイメージがボクには見えた。サウンドは壁のように存在し、POPなメロディーがその上を流れる。いいぞ、と思った。物理的、精神的プレッシャーが上手く作用した作品でもある。ボク本来のゆっくりとしたペースで作っていれば、こんな風な仕上がりにはならなかっただろう。"High Tension"がイメージを導き、高い緊張感=High Tensionが前に進めた』 。








【 POST CARD 】

'94のNew Year's Card。要するにDM。