いんちきな映画レビューのパイオニア!

邦画三昧3
私的映画感想


水の女
2003/01/05

昨年の新春一発目「殺し屋1」でビルから転落死した浅野忠信。 本作でも風呂屋の煙突から転落死してくれるのだが、 こりゃ年末になると浅野忠信が降ってくるってーのは、もはや新しい風物詩?

UAです。あのシンガーUAが主人公。銭湯屋の娘UA。むかしっから大事なイベントには雨が降る「雨女」。警官のフィアンセ、犯人護送中どしゃぶりの雨の中事故死。加えて銭湯屋の父も心臓発作で突然死。いきなり天涯孤独。

傷心旅行で「風の女」と出会い励まされて銭湯に戻ると、見知らぬ男・浅野忠信がむしゃむしゃ御飯食べてる。やがてバツが悪そうに出ていくが、トラックで追い掛けるUA。

山奥の洞くつで隠遁生活を送っていた浅野忠信。「炎を見ていると安らぐ」浅野忠信に対して銭湯のボイラー係を頼むUA。やがて銭湯をきりもりしていくうちに結ばれていくふたり。しかし、実は死んだフィアンセが護送していた連続放火犯こそが・・・

いやもうUAがどんなにオールヌードでがんばっても、全部「土の女」がもっていってしまいます。ホームレスでときどき銭湯にタダではいりにきているのだが、すっごい格好ですっごいスローモーションで動き一言も喋らないで常に笑みを浮かべてる。いきなりわたしの中では今年のベストドレッサー賞受賞。

何か訴えたそうにしているのだが、散漫すぎてよくわからないなあ。 とかく雨と水のシーンが多く、撮影はさぞかし大変だったことでしょう。 ラストの金色の富士の銭湯には入ってみたいなあ。


おぎゃあ。
2002/12/08

19才のヒロイン。たったひとりの家族のバアバが死んだ。幼い頃死んだと聞かされていた母は、実は男をつくって沖縄に逃げていた。バアバの遺言は「骨を沖縄に埋めてくれ」 加えて、自分を妊娠させた脳天気な恋人も沖縄にぶらり旅にいっている。こりゃ沖縄行くっしょ。

沖縄についたヒロイン、男と逃げた母に会う気などない。骨をそっとおいて立ち去るも、行く当てもなくブラブラしてるところをパワフルな母に見つかり、しばらくやっかいになることに。男と母の間には高校生の娘一人。妹にあたるわけだが、血筋なのか妹も妊娠中。

一度は立ち去ろうとするも、妹の流産でとどまることに。しかし島ではちいちゃな事件がてんこもり。妻に逃げられた郵便局員、もたいまさこのかわいがるハムスターを事故で惨殺してしまい入籍とか。

そしてようやく沖縄一周からバイクで戻ってくる彼氏と橋桁の上で待ち合わせ。ところがタイミングよくつむじ風来襲。彼氏、登場10秒で死亡。

ヒロインはたったひとつの命を時間をかけてはぐくんでいるのに、 この実に簡単に事故や流産で大事な命が失われていくところの対比がこの映画のテーマか。実に実に奇妙な虚無感におおわれます。しかし、不思議な少年がつきまとっているのだが(多分、生まれてくる予定の子供の妖精)ウザイ。演技とかいいのだが、映画の世界観に不必要、という意味でね。そしてこの母がすさまじく小悪党。世の中ゴネ得ということをチカラいっぱい教えてくれます。

ラストはラッシュアワーのなか、実に周囲に迷惑をかけつつ助けられつつ赤ちゃん背負って職場に赴くヒロイン。今までの沖縄のおおらかな景色と違い突然殺伐とした都会の景色。その中にあってハツラツとしたヒロイン。終わりではなく始まりなんだーって感じでグー。


ピンポン
2002/11/24

嗚呼、関西上映でまっ先に観にいったのに、原作の漫画を読むまで感想は、と思っていたら
窪塚洋介と夏木マリがどうのこうのでミーハー映画みたくなって遠慮していた次第。

ペコこと窪塚洋介。卓球最強を自負し賭け卓球で小遣いなどかせぐ毎日。対してクールで全く笑わないスマイルことARATA。本当は秘めた卓球のセンスを持っているが「卓球なんて死ぬまでのひまつぶし」とあまり熱心ではない様子。

卓球で世界一になる!と意気込むペコ。しかし中国からの留学生チャイナに完敗、ついで全国トーナメントでは楽勝だとタカを括っていた幼馴染みのアクマに敗退してしまう。

やる気をなくしグレるペコ。コーチ竹中直人に才能を見初められ特訓で頭角を現すスマイル。そのスマイルに完敗したアクマの思いにふれ、卓球場のオババ夏木マリの特訓のもと再起を果たすペコ。再び迎える全国トーナメントだがオーバーワークで痛めたヒザ。 立ちはだかるは一度は大敗を喫したチャイナ、そして全国最強のドラゴン・・・

映画では「この世界では一番のステイタスはピンポン」というような世界観がより強くあふれていて、日常テイストながらも現実浮遊感が漂っていい塩梅。おかげで高校生に見えないキャストなのに違和感無し。加えて、絶対卓球ではありえない派手なジャンピングショットやらスライディングからのショットなどダイナミックな卓球の試合。 考えてみりゃピンポン球ならCG特撮でも負担軽そうだし、それでいてCGって分かりにくいし。緻密、緻密にCGを作り込むのとは対極にあって成功している感じ。 特にドラゴンの所属する卓球部の練習風景はエグすぎ。 しかし卓球とテクノはよくあうなあ。

そして夏木マリと竹中直人。竹中直人のハイテンションはもうお馴染みだが、夏木マリの艶やかさったら。「ハンサム」って感じやね。この人、CDもかなり聴ぎごたえあり。特訓されたいもんです。

なんというか、スマイルの方が主役みたいで。しかしラスト。ARATAの卓球場で子供に卓球を教えている姿がせつなすぎて。いいのかいこれでほんとに!?


千年女優
2002/11/09

おおどういうジャンルだ?
「あの人に会いたい!」物語

小さな小さな放送会社を営むヒゲの壮年ゲンヤ。社員は関西弁のお調子者カメラマンひとりだけ。 かつて一世を風靡しながら突如失踪した大女優・藤原千代子にインタビューを試みるためずっと彼女を探していたのだ。ようやくコンタクトがとれて意気揚々と取材に出発するゲン。 実はゲンが彼女に会いたかったのは他に理由があった。 彼女が撮影所から失踪する直前に落とした「大切なカギ」を預かっていたのだ。

彼女宅を訪れると現れたのは70歳ながら年相応の気品と美しさをもった千代子。 まるで受け取ったカギが彼女の心を開いたかのように語りはじめる千代子。

インタビュー・・・ストーリーは彼女の記憶と出演した映画の断片が混ざりあって、そこに傍観者であるはずのゲンジとカメラマンもからみあって目まぐるしく展開する。あらゆる物語の断片は「あの人に会いたい!」に集約されている。 思想犯として追われていた画家の男を匿い、その彼にもらったカギ。「また会おう」の言葉を信じて「あの人に見つけてもらう」ため女優のスカウトに応じる彼女。

時代劇の回想で熱くなり椅子の上で馬で駆けてるつもりになっている場面が妙にキュートで。あと第2次大戦で崩れ落ちた自宅の壁に、画家の男が残した彼女の肖像画だけ残っていたシーンはえらくハッとさせられたねえ。

今際の際の彼女の言葉で、何ゆえそこまで偏執的に「あのひと」を追い続けているのがなんとなく分かるのだが、「一途な愛」を貫いていたのはむしろこのゲンじゃないかと思うと妙に涙腺にくるものがあるのさ。

なるほど「銀幕女優の映画人生を辿る」というストーリーならば、時代劇あり大正ロマンありSFありホームドラマあり、と目まぐるしく様々なシチュエーションもってこられても違和感ないなーなんて観ている最中は考えられないほどのめりこんでしまうのさ。アニメに偏見もっている人ほど観てほしいのさ。
エンディングのテーマ曲がすこぶるかっこいいのさ。


日雇い刑事
2002/11/03

ハズレフェスタ。ということで、
エロネタ刑事ギャグコメディ

通称「日雇い」こと今奈良孝行。なんとパートタイムの刑事。同僚はこれまたパートタイムの刑事でパンクバンドマンと苦学生。打ち合わせでも事件のことはそっちのけで暴れ放題。

対する東大卒の暴力団員・阿部サダヲ。組の姐さんに惚れていい仲になってしまう。

とにかく、同じギャグ何度も何度も繰り返して延々とやってるの。 このクドいクドいギャグのとりまわし、ドリフターズのスタイルみたいで。好きな人にはたまらんかも。

最後、阿部サダヲは組長を殺して追われる最中、銃撃戦で姐さんを失い、説得に現れた「日雇い」と養老の滝で飲み明かし、翌日逮捕でエンディング、なのだが、 おいおい、最愛の人が死んだ直後にビール呑気に飲むなよ。

まあ、パンクバンドマンの「銃の撃ち方教えてやるよ。パンピー・・・ファック!!」(延々5分ぐらいやってる)と、銃で撃たれて「うひゃあ痛ってぇ〜、何しやがんだよ!オレ保険証ないのに!」では結構わらってしまったが。劇場レベルじゃないなあ。深夜放送レベルな気がするなあ。

なんと、『壊音〜KAI-ON』と同じ監督だったのか。やっぱり3分間が限度の人だわ。ウルトラマン。


溺れる人
2002/10/29

ハズレフェスタ。ということで、 動くな!死ね!蘇れ! いかん。どうも「ELECTORIC DRAGON 80000V」とかみたいな「観念の映像化」みたいなものが理解しずらくなっている。

片岡礼子と塚本晋也は夫婦。片岡礼子「ハッシュ!」のときの違いショボくれてます。

入浴中、ウトウトしてしまう片岡礼子・・・ あんまり長い風呂なので塚本晋也、様子を見に行ってみると 片岡礼子いきなり溺死
救急車を呼ぼうとするも、なぜか受話器を置く塚本晋也。死体にうっとり見とれているかと思えば唐突に「蘇れ!」とシャウト。
疲れ果てて眠りこんだ翌日、片岡礼子なぜか復活
それからおかしくなりはじめる塚本晋也。確かに死んでたぞ?「屍臭がするゥ!」と家中脱臭剤を並べたり、家を離れている間、隠しカメラを仕掛けたり。

耐えられず友人に相談する塚本晋也。
入浴中、ウトウトしてしまう友人・・・ あんまり長い風呂なので塚本晋也、様子を見に行ってみると 友人これまた溺死
救急車を呼ぼうとするも、なぜか受話器を置く塚本晋也。死体にうっとり見とれているかと思えば唐突に「蘇れ!」とシャウト。
疲れ果てて眠りこんだ翌日、友人やっぱり復活
・・・しかしこれ、当夜の再現をしただけで。友人いわく「奥さんも気絶してただけ。お前の勘違い」。 嗚呼、これがホントに死んでたらすんごいストーリーだよなあ。同じことして。おもろすぎる。

多分、冷えきっていく夫婦仲、というのを観念的に表現しようとしたのかなあ。 閉鎖された空間、ある意味みんな死んでるんじゃないかってくらい、生活感を感じさせない部屋。ベランダのここちよさ。日常を非日常っぽく見せている映像はすごく好きで、「穏やかにダメになる」って雰囲気がグー。そう、雰囲気はグーなんだけどストーリー的にはもっとひねって魅せてほしかった。

しかし塚本晋也、松田美由紀とか瀬戸朝香とか劇内で美人の嫁さんに恵まれてるなあ。


ボディドロップアスファルト
2002/10/25

ハズレフェスタ。ということで、 前半ポップでファッショナブルでイイ感じなのに、監督後半で飽きたのか?失速中途半端ムービー。

ひきこもりのヒロイン。「わたしなんかいなくなったほうがいい?」と自ら問う毎日。しかし原稿用紙に向かっているときだけは自分の思い通りの世界がつくれる。ここで一念発起、自分の理想の恋愛を小説にしたためて投稿、これが話題をさらい、一躍売れっ子小説家に。

せっかく華やかな世界にとびこんだのに現実の恋はうまくいかない。以前から気になっている編集者に思いを打ち明けても、逃げた奥さんの話をされて断られ、偶然知り合ってひとめぼれした白人男性は待ち合わせ場所にはあらわれず(車に轢かれて死んでたが)。

腹いせに、自分の書いた小説の主人公が思いっきり不幸になる続編を書いてみると、その主人公がなぜかノートパソコンから顔だして「こっちの世界にきなさい!」とひっぱりこまれて。そこではとりあえず変な特撮にヒロインがキャーキャー驚きわめくだけでなんかよう分からんうちに神様とやらがでてきて現実世界に戻ってきて、まあメデタシメデタシ。って、えええ!これで終わり!?

この前半のヒロインの鬱っぷりひきこもりっぷりの描写が、ちょっと長めで退屈かな〜と思いつつも、なんかグッと迫るものがあってかっこいい。いやほんっとかっこいいのよ。アスファルトを這うようなカメラワークとか街の中で佇むヒロインとか。それが途端に軽快なサンバにのせてカラフルに展開するあたり「こりゃ傑作では?」と思わされたのだが。

特にこの外国人が。どうみても外国人なのに「イエ、ワターシ、ニポンジンですよ」。って「カタクリ家〜」の忌野清志郎の逆バージョンか!自分にしか分からない待ち合わせ場所を得意げに案内してる様など、イイ人風なのになんというか、シャクにさわる。 そのシャクにさわる外国人がこれまた道路に落ちている5円玉を「御縁があるから5円玉〜」などとフザケタこといいながら拾おうとして、やけに理屈っぽいヒップホップ野郎達の乗った車にハデに轢き殺されるあたり、ダークなのに可笑しくスカッとしてしまい背徳的。

しかしせっかくポップな軽快なノリを生み出してきたのに、後半の急激な失速感。小説の主人公がキッチンドランカーになり鬱な毎日を過ごす描写を長々としたためだろう。そこから無理矢理の特撮描写もってこられても、テンションさがってるからとてものめりこめません。

ぜひ監督にお願いして、うしろ半分をすげかえてほしい次第。


富江 最終章 〜禁断の果実〜
2002/10/17

ハズレフェスタ。ということで、 とほほホラー「富江 最終章」。
これ観たあとだと宝生舞の「富江」よくできてるなーと思った。結局一番最初の菅野美穂バージョンが最優秀、といわれる富江ファイナルいってみよー。

母に先立たれ父と二人暮しのいじめられっこ宮崎あおい。ある日アンティークショップで安藤希こと富江と知り合う。友だち・・・というよりは姫様と召し使い、というような感じだが、まあとりあえず仲良しになる。

宮崎あおいハウスに遊びにきた安藤希こと富江。父はそれみてびっくり。何十年も昔に友人にとられた初恋の人・富江があの日とかわらぬ姿で現れたのだから。そして父も娘もとりこにしてゆく富江。やがて「初恋をやり直すにはアレが邪魔よ」と、父に宮崎あおい殺害をほのめかす富江。しかしさすがにダディ、カチンときたか、富江のほうをバラバラにして川に捨てる。

だが富江を慕う宮崎あおい、河原を探すと、なんと喋るナマ首発見。ひそかに持ち帰り育てる宮崎あおい。しかしナマ首の分際で傍若無人でわがまま放題の富江に、次第に疲れ果てる宮崎あおい・・・

どうして宮崎あおいがここまで安藤希に入れ込むのか分からない。宣伝文句に「ロリータ・レズビアン」とか謳ってるんならもっとそれっぽい際どい描写とか入れて、「こういう仲だからナマ首でも愛してるの」と納得させてもらわないと。 基本的に怖くもないし、盛り上がりもあまりないし、ドラマ性も特にないし、凝ってはいるけどみんなとりあえずなんかしてるーという印象しかなくて。アクションシーンがおままごとみたいなのがいけないかも。 しかーし「Pain」のパー券売りも登場してるのだが、安藤希ともどもセリフ読みがヘタねえ。

まあ宮崎あおいもいいかげんカワイコブリッコしてないで、「害虫」のころのかみそりデカダンス少女に戻ってほしい所存。

しかし安藤希ってどう読むの?


壊音 KAI-ON
2002/10/11

ハズレフェスタ。ということで、 いんちきビデオクリップ羅列祭りその名も「壊音」!

奇妙な学校の授業光景から始まる。女子も男子も学ラン着用。なんか「1999年の夏休み」風で高まる期待。仲間3人娘(でも学ラン)が屋上で突き抜けるような青空の下、消火器を吹き散らしておおはしゃぎしている映像がすごくよくて。

しかーしこのあと5分〜10分くらいの退屈なビデオクリップが延々といくつもいくつも続く。 まあなんというか、 今にも何か始まりそうな予感ばかりをダラダラと敷き詰めて結局なにも起こってなく、これだけ派手なのに予感のない部分ではひっそりストーリーは展開している、しかしそのストーリーすらあってないようなもの
という、ほんとーにしんどいしんどい映画。

ただパソコンに向かって何か作業、派手なエフェクトの終わった瞬間「遺書」の二文字がモニターに映っていた場面だけはハッとした。しかし本当にダラダラ長い。30分くらいに濃縮したら目まぐるしくて面白かったかも知れないのに。作った本人は観てみたのかな?

まあ「ヴァーチャルマリファナ体験ムービー」ということで。ダウナーダウナー。


笑う蛙
2002/10/02

宣伝とかチラシとか見る限りではサイコサスペンスかと思わせる本作品ですが、 実は奇形なホームドラマコメディ。
ラスト長塚京三のいっちゃってる笑顔が可笑しくも怖い、その意味でサイコサスペンス?

長塚京三は銀行の支店長。しかしホステスに貢ぎまくり金を横領して逃亡生活。田舎の実家の空家に潜伏しようと忍び込むが、実は妻の大塚寧々は引っ越してここに住んでいた。ばったり出くわす二人。

法律的にはまだ夫婦、ということで困ってるから、一週間かくまってやるから離婚届けに判子を押してくれ、と交換条件を持ち出す大塚寧々。しかしこの家で個人英語塾を営んでいる大塚寧々。かくて押し入れの中でトイレはバケツ、という長塚京三的ではないライフスタート。

お客さんが来ているときやら英語塾のときやらは息をひそめている長塚京三。 しかし、生徒のひとりのおマセさんの「お父さんとのセックスはどんな感じ?」というやりとりで長塚京三、寧々にすでに子持ちの恋人がいることを知る。

当然、その石材屋の恋人も遊びにやって来て夜の営みも。長塚京三のどやしつけたいがしかし見つかったら逮捕、と悶絶する様が可笑しくも悲しくて痛くて。こっちが悶絶してきます。
ただ偶然のブッキングの多さは辟易。ホステスが訪ねてくるあたりは蛇足な気もしたが。まあこのあと寧々とちょっぴり仲直りする部分につなげるには、あったほうが自然なのか?

寧々の英語塾に通ってる中学生の小娘が妙にいやらしい格好で。 この後登場する母(再婚したがっている)も下ネタ会話してるのだが、なんかねえ「オンナばっかりのときは結構過激な会話してるよ」というその部分を盗み見てる感覚がしてしまう。

そしてラストは母とその恋人のいんちき骨董屋と兄嫁夫婦がなぜか寧々ハウスで再婚するだダメだのと親族会議。この骨董屋のいけしゃあしゃあ振りがもう憎らしくも可笑しくて。そこでまた偶然のブッキングで刑事登場。失踪した長塚京三らしき人が水死体で発見されたとのこと。刑事帰宅後、長塚京三登場で親族会議の内容も二転三転。みんなの欲やらなんやら見え隠れして笑えます。 そして骨董屋の提案で密告しないようにみんなで記念撮影。もう泉谷しげるの懐かしいエンディングテーマがささります。

往生際の悪さや、威厳を保とうと虚勢をはる様がもう可笑しくも悲しい。
ただサスペンスを期待して観にいって、コメディだったのがショック。
渋い長塚京三が好きだ、というファンの人には本作はきっとショック。


DRIVE
2002/09/16

偶然が重なり予想もつかないとんでもない展開になるところは「裸足のピクニック」に通じるかも。

異常なほど几帳面な堤真一。両親は自殺しているという悲しい過去が。製薬会社の社員なのだが、社の車を運転中、突如覆面の三人組に乗り込まれる。「あの車を追え!」の台詞に走り出すも、その性格ゆえ制限速度40Km・赤信号を厳守、当然車を取り逃がす。

実は大杉漣率いる四人組の銀行強盗、一億円を強奪するも、仲間の筧利夫が裏切って金を一人占めして逃げているところだったのだ。破戒僧の寺島進・両親の仕組んだ裏口入学のせいでグレた安藤政信・なにか影のある大杉漣。これも縁だとレストランで食事していると、唐突にやってくる松尾スズキ。口止め料をよこさないと密告するぞ、と脅す松尾スズキ。しかし思わず堤真一がこぼしたワインが引き金になり、偶然に偶然が重なり思いもかけないストーリー展開に。あげく破戒僧はなぜかロックシンガーに、安藤政信はなぜかプロ野球選手としてスカウトされる。

そのころ裏切った筧利夫、墓地に停めておいた車に乗り換えて逃亡する予定だったのだが、運悪くキーを原っぱのまん中に空いている穴に落としてしまい拾おうとするが腕が抜けなくなってしまう。しかもそのまんま夜になってしまうのだが、目の前で切腹する武士の亡霊や旧陸軍の兵士やらでおお賑わい。筧利夫すんごくいい悲鳴っぷりです。

いやーしかし実際これ説明しづらい。もう展開がこんなんだし。前半は目まぐるしい展開で笑わせて続けてくれます。破戒僧のライブ説法やら松尾スズキの首筋に「ぷすっ」っていうのやら堤真一の育ての母親のマシンガントークが見どころかも。終盤は大杉漣がちょっぴり切なくさせてくれます。

だけど最後は武者の亡霊と一騎討ち。なんでじゃ!ここは私的には蛇足な気もしたが。とにかく観終わったあとの気分のスッキリよさげ具合は他にはないねえ。

しかしほんっとチョイ役なのにスタッフロールではベストポジション。恐るべし柴咲コウ。


バネ式
2002/09/02
漫画「ねじ式」のような不条理な前衛的なところを狙ったようだが、 アイドル乙葉の大きなバストを楽しむ、
結局はもうただそれだけの映画かも。

主人公の男、職場で激しい頭痛に見舞われる。どうも「電波が刺さる」らしい。おかげで妻の顔すら忘れたり味噌汁頭からかぶってみたりと混乱する毎日。ふと何かに導かれるように入った古い薬屋で、老婆に「電波のお医者さん」を見つけなければ治らない、と告げられる。

「電波のお医者さん」を探すために、ラジオ放送局をいきなり訪ねる男。受付にはなぜかアンミラの制服を着た乙葉。放送局の主任に連絡すると、主任はこのクレーマーを亡き者にしようとたくらみ、乙葉に男を応接間に案内するように告げる。

かくして乙葉のナビゲートの元、異次元空間のごとき巨大迷宮の様な放送局の中で、男は妄想とも悪夢ともつかない様々な奇妙な世界を垣間見ることになる・・・

ありゃりゃ、粗筋だけだと大層面白そうではないか! こういう不条理ものは好きではあるのだが、うーん、「不条理を意識している」という感覚が見えかくれ。不条理具合が中途半端なのが原因かも。「狼少年」くらいイカなくちゃね。ラジオ局の中では実の兄と思われる人物が八百屋を営んでいたり(棚に死んだ母の頭髪をカツラにして売っているあたりは猟奇的でくるものがあったが)なぜか風俗営業を営んでいたり(ちょっとトウがたっているのは人脈の限界だったか?)「電波病」に効く豆腐を売る豆腐屋がいたり。 だけど主人公の喋りが軽〜いのりのコント調なのが痛いねぇ。ナンセンス世界をちゃかしたら、ただ登場人物がだらだらヘンなことしている、という空気しか生まれなくなる。いや真剣にやってもどうだったか怪しいものだが。

豆腐屋の伊東四朗が思いっきりやってくれてるのだが、やっぱりこの人はすごいねぇ。ラストは電波の女医をようやく見つけ、セクシャルな治療で完治。脳からバネが生える副作用はあったが。

チラシの紹介文とかポスターが秀逸なので、あえて観ないで「いったいどんな映画なんだろう?」と想像してワクワクするのが吉。あ、ちなみに「アナジリ」ってラジオ用語でアナウンサーが番組終了の言葉を決めることだそうな。ア、なるほどね。


クロエ
2002/08/18
「黒江」ってこりゃまた「悪魔ちゃん」みたくごきげんな名前だねぇ

プラネタリウムに勤める永瀬正敏。このファンタジー施設に永瀬正敏。はにかみ屋らしく不器用な生き方してるのだが、ある日金持ちの叔母が道楽で描いている絵の展覧会にイヤイヤ出席、そこでやはりイヤイヤ出席して退屈そうにしている「黒江」ことともさかりえと出会う。

少女マンガのような胸キュンな恋に落ちるふたり。やがて結婚。それはもう友人達に囲まれ幸せな結婚式を挙げる。幸せな新婚生活。しかしある日突如倒れるクロエ。

「肺の中に蓮の花が咲く」という奇病。花が育ち切れば命はない。片方の肺は切除したが、もう一方にも転移。絶望的かと思われたが、「他の種類の花をクロエのそばに置くと、蓮のつぼみが縮む」ことを発見した永瀬正敏。やがて楽園のように花に囲まれたベッドで眠るクロエ、その部屋に狂ったように花束を増やし続ける永瀬正敏・・・

この奇病がストーリーの核になるのかと思ったが、正直実在する病気を出すと重苦しくなるから無理矢理この「肺に花が咲く」という病気を作ったのかな。確かに周りの人間の反応は、実在する治療困難な病気の患者に接するのと同じ態度なんだけど、なんとなく現実感を損なわせているのに成功。闘病がメインテーマではないんだ、本当のテーマはこっち!と注意をむける意味では成功しているけど、なんの前フリもなく唐突に体内に花に咲かれたんじゃねえ。

この最初の出会いのとこが妙にいい画で。永瀬正敏といとこの娘が長いこと話しているのだが、そのバックに退屈そうに椅子に座っているともさかりえが映っていて。背景として機能しているキャラクターが急にストーリーに絡んでくる雰囲気がグー。あと急な場面転換が妙にいい感じ(お酒を美味しそうにあおった直後に、すでに救急車に乗せられているクロエとか、ラストとか)。

少女マンガのような恋物語の流れる端々で突如グロテスクな描写があらわれて。 アイススケート場で転んで脳漿を氷にぶちまけてるおっちゃんとか、借金の返還をせがむ男を逆ギレして血祭りにあげる塚本晋也とか、クロエの手術シーンとか、刺殺される塚本晋也やキタノやら。 映画中に「前衛絵画アーティスト・キタノ」が登場するのだが、映画としては「北野武監督」に影響受けてるのかしら。

しかしこの叔母の展覧会で永瀬正敏と話すときのともさかりえの口元をゆがめたニヤリとした笑い方がすごくキュートで。たまらん。もっとそのニヒルで皮肉めいた蓮、もといハスにかまえた笑い方をしてくれ!と思うのだが後半はノーマルな笑顔。まあこれはこれでキュートなんだけどね。

暗黒ファンタジー。みどころはたくさん。


記憶の音楽Gb
2002/08/08
ピアノチックサイキック耽美系SFと無理矢理なジャンルづけ。
舞台は多分、近未来の日本。少年サイこと松岡充は幼い時の高熱で耳が聞こえない。父親と二人で暮らしている。ある晩、ピアノ公園(公園のまん中にグランドピアノ!)でピアノを弾き狂う男と出会う。サイは触発されて「幼い時の記憶の音」を奏でてみる。その音に引き寄せられてピアニスト少女黒澤優が登場。自分の奏でる音に疑問を感じていた黒澤優。次第に惹かれあう二人。

観念を映像にしたような前衛的な映像で、こりゃアルコールが少しでも入っていたらトリップ必至だねぇ。その前衛的な映像の合間にふと、同じ聴覚障害の少年と筆談で交流するサイ。この緩急のつき具合がもう脳をシェイクシェイク。 また大江千里が大学の講議で音楽について語っているのだが、なかなか面白い。こんな授業受けてみたいよまったく。

しかし終盤になって刑事が登場するあたりから、唐突に結構なスピードでストーリーが展開していく。 前衛的映像を受け付けない人のフラストレーション一気に解消。街で起こる奇怪な死亡事件。死体には「Gb」というイレズミ。

脳に機械チップを埋め込み、聴覚障害者が音を聞けるようにする政府プロジェクト「Gb」。しかし聴けない音を聴こう聴こうとする脳は、細胞・DNA単位の記憶の音をチップの力を借りて拾ってくる。この音こそがすべての人間細胞に働きかける音。すべての人間を支配できる音。音のドラッグ。その音を聴いた者は快楽の内に死亡。その危険さ故、プロジェクトはとん挫したはずだが、この音を拾ってくることができるサイを巡り、暗躍する科学者達・・・

ビデオクリップをつなぎ合わせたような映像は、 ある意味ミュージカルを観ているみたいでグイグイ引き込まれる。このような手法は最近あちこちで見られるが、こちらは成功した例のようだ。

で、ラストなんだけど、ようわからん。場内も半分は釈然としてない様子。サイの拾ってきた音をみんな聴いて、研究所は壊滅状態になるのだが、サイ自身生きてるのか死んでしまったのか。それならそれでいいのだが、なぜ黒澤優が晴れやかな顔をしてるのだ?あのメロディーさえ確認できたら、サイの生死はどうでもいいですか?


マンホール
2002/08/04
さてこちらも北海道発信映画。とはいうものの、なんだかスタイリッシュな雰囲気さ。札幌のどこかにあるという「願いのかなうマンホール」を探し求めて旅立つ大スペクタクルアドベンチャー(ウソ)。

安田顕は警察官。過剰な正義感に燃える新米警官。パトロール中に女子高生の三輪明日美がひったくりにあうのを見かけ、チャリンコでバイクに追い付き逮捕。横山めぐみといい、日本の警察の脚力ったら。

しかしカバンを拾うとそそくさと逃げ去る三輪明日美。実は家に内緒でデートクラブで働いていたのだ。家では体面ばかりにこだわる教師の父。崩壊寸前の家族。

しかしそのデートクラブで事件が起こり、駆け付けた安田顕と三輪明日美がばったり出くわす。逃げる三輪明日美が落とした生徒手帳から住所を割り出す安田顕。正義感から実家まで押しかけ両親と話をするが世間体ばかり大事な父は家出した三輪明日美も知らんぷり。

しかしそのことを知った三輪明日美、「安田顕はストーカー警察官」というホームページ作って警視庁に匿名で連絡。おかげで謹慎処分の安田顕。しっかし自分のことは棚にあげて実名ネット公開はムゴすぎ。

またばったり出くわす二人。 プライバシーもお構いなく「正義のため」とつっぱしる安田顕を叱りつける三輪明日美。 「すまなかったー!」と安田顕。しかし三輪明日美、 ちょっと自分のこと棚にあげ過ぎ。 そして唐突にふたりで願いの叶うマンホール探し。古い記憶を頼りに見つけたのは遊園地のそばのマンホール。 このマンホール内部が圧巻で。こりゃいろいろ願いも叶いそうだわ。

軒並み登場人物の描き込みが秀逸で。デートクラブ常連のきたろうの哀愁とかふがいなさとか、ちょっとハスに構えた先輩警官、そのお相手のノイローゼ気味の女性、交番に入り浸り主任警官に迫るオペラなおばさんとかデートクラブを仕切るこれまた頼りがいありそうななさそうな人のよいあんちゃんとか、タクシーの運転手とか。細部までめちゃめちゃ凝ってるねぇ。やたら含蓄が深そうなのに、肩ひじはらずに観ていられるので、終わったあとでフッと考えされられるような感じがいいねえ。様々な人の生き方縮図のオンパレード。しかし あの三輪ひとみの妹主演でタイトルも「マンホール」だしなんとなくホラーかと思ってたよ

そして一年後、またばったり出くわす二人。父が(教師なのに!)登校拒否になったおかげで家族円満の三輪明日美。融通のきかない正義漢からナイスにこなれた安田顕。遅刻しそうな三輪明日美を二人乗りで送る安田顕。サワヤカフィナーレ。

わたしゃ北海道が好きになったよ行ってみたいよ!


パコダテ人
2002/07/24
「害虫」で、触れると大ケガしそうなカミソリのような鋭さをたたえていた宮崎あおい
「パコダテ生まれの、ぴの☆ぴかるデス!」なんてあどけないやらブリッコやらぶちかましてくれてます。

函館の街興しの目的もあって作られた(のであろう)本作。実家は銭湯を営んでいる宮崎あおい。ある日突然キツネみたいなシッポが生えてきた宮崎あおい。こいつは隠さなくては、と四苦八苦。特に好きなクラスメイトの男の子に知られちゃいけない、とがんばっていたら友人に彼を盗られる有り様。

落ち込んだりもしたけれど家族のはげましで私は元気です突如開き直り、自らワイドショー番組に出演、ハコダテで大ブレイク。一躍トップアイドルに!しかし売り上げを伸ばそうとするゴシップ新聞社の陰謀で 「キタキツネだから寄生虫を持っている!接触危険!」と触れ込まれ手を返したようにすさまじいすさまじい迫害にあう。雪で閉ざされて閉塞しているのか、マスコミ煽動に大変弱いハコダテ人。

しかしその報道に大混乱する腰痛シップ薬の大企業の幹部たち。このシップの秘密とは・・・

まあなんちゅうか、火曜日の夜8:00に放送されているドラマの(「イグアナの娘たち」シリーズね)ノリ。想像はついていたが。しかし国家権力とか巨大企業の暗躍とか新人小説家がハラハラさせるシチュエーションに好みそうな感じですな。しかし自衛隊が取り囲んでアレは人権侵害でしょうそれとも北海道ではOKですか?道は治外法権摘要ですか?

クライマックスの市役所のあんちゃんの「実は俺もパコダテ人だ!」ってシーンはなかなかで。あと街中から迫害される宮崎あおいをひとり励ます彼との牧歌的なシーンがグー。 しかし街興しのための映画かも知れないが、マスコミに煽動されてこのすさまじい差別、 わたしゃ函館人が恐くなったよ行きたくないよ!

実はパンクなスタイルながら、妹思いのお姉ちゃん役の松田一沙がいちばんキュート。この人主役の映画できんかな。


UNLOVED
2002/07/17
上映終了後に館内に響き渡るため息とブーイング。違うよみんな。これは恋愛ドラマを描いた映画じゃない! 宇宙人のシュールな会話を楽しむギャグコメディーだ!
むかーしどこかでこんなふうな雰囲気の作品を観たことがあると思ってたが、これ ウッチャンナンチャンの番組の企画でやっていた、出川哲朗の監督作品の雰囲気にそっくりだ!
普通の人間ならこの状況のこの台詞はありえないだろう!が怒濤の連発。 究極の監督の自慰映画!

森口瑤子は公務員。職場の昇級試験もかたくなに拒み地味な暮らしをひたすら愛する森口瑤子。打ち合わせに訪れたエリート仲村トオル。いままで見たことないタイプの森口瑤子に惹かれてつきあうことに。しかし仲村トオルの豪華なデートに面喰らう森口瑤子。やがて森口瑤子の住むアパートに引っ越してきた松岡俊介。なんか向上心の乏しさに同類の親しみを感じたのか、惹かれる森口瑤子。
「あなたの前だとあるがままの私でいられる」このことに至福の喜びを感じる森口瑤子。どうなるこの三角関係?

最初は「お金になびかない」凛とした女性かと思っていた森口瑤子だが、どうも「常に自分がイニシアチブを掌握していないとイヤ・優位でないとイヤ」という性格が顕著になってくるあたりからギャグコメディー本領発揮!
とにかく「自分は悪くない」と主張・説得するときだけの一生懸命さと論理武装がパラノイアですっごいの。このたたみかけるような言葉のマシンガン、気味悪いを通り越してもはやギャグにまで昇華されている。
しかしカケラほども相手に気づかいをするのがイヤ、というのは「あるがままの自分でいる」こととは少し違うんじゃないか?そりゃ楽チンだけどさ。

仲村トオルもやる気があるのかないのかあえてやってんのかすっさまじい棒読みです。

最後は一念発起して(こやつも極端で自分勝手なんだけど)勉強しようとする松岡俊介を 「分相応がいいの!」「もとのあなたに戻ってぇ!!」って諭すけどほんとにいいの?戻って?仕事もせずにゴロゴロ寝るだけのあなたに

どうも含蓄とかよりも「うんいいよいいよこれ泣けるよね」と監督ひとりが大喜びしてそうな雰囲気が。 とにかく仲村トオルの二人に対する最後の邪悪な一撃が恐ろしいぐらい痛快で爽快で愉快で小気味良い映画。


うつつ
2002/07/11
スケジュールの都合で「KT」「うつつ」どちらかしか観れない状況に。決して 佐藤浩市の濃い濃いヴィジュアル2本立ても見たら胸焼けするから という訳ではない。ちょうど中国映画に興味が出て「遊園驚夢」を観たのだが、なぜか主演が宮沢りえ。「WASABI」の広末涼子のように、他国の映画で日本人が主演はってると嬉しくなる(「WASABI」自体のデキはいまいちだったが)。
「遊園驚夢」で宮沢りえの銀幕映え一流ぶりを目の当たりにしていたので期待していく訳だが。

佐藤浩市と大塚寧々は夫婦。そこそこ平凡な日常だがそこそこ幸せ。ある晩大塚寧々は同窓会で不在。佐藤浩市は会社の帰り道、雨にでくわす。そこに真っ黒い和服で真っ赤な傘を差し出す宮沢りえ。同じマンションの住人か、妻の友人か。甘んじて部屋まで送ってもらうが、なんかノコノコついてきちゃうよこの人!

突如宮沢りえいわく「あなたの奥さんが私の夫と不倫してるの」次々と証拠の発言。佐藤浩市、否定しきれずパニック。 「だから私もおんなじことしてやろうと思って・・・」抗いがたい宮沢りえの魔性の色香。ずぶずぶはまっていく佐藤浩市・・・

なんか序盤の宮沢りえのパラノイアっぷりにめちゃめちゃワクワクしたんですけど。なにせ、宮沢りえの証言以外に妻の不倫の証拠がなにもない。いっちゃってる宮沢りえの妄想?このまま宮沢りえ暴走和風ミザリー状態だったほうが面白かったかも。ちなみに着物で押し通して欲しかったかも。

なんか突然奇妙な特撮が入るけど、ホラー的な展開をしないならあんまり意味がないような気がして。突如壁からしたたるドス黒い粘液とか、寧々銃殺の妄想とか。う〜ん撮影進めていくうちに二転三転したのかしら。

最後はコントみたい。妻にも夫にも同じことしてましたー。って見知らぬ男が「あなたの夫が私の妻と浮気してるから、私たちもしましょう」って言われてすぐノル? なんか私の偏見かも知れないが、女性はこういうシチュエーションにはノラないような気がするんだけどなあ・・・観ていて冷めてしまった。

しかし崖のシーンの宮沢りえは絵になってるなあ。もっともっと銀幕でていきましょうよ。 まあなんというかテレビの「世にも奇妙な物語」みたいな感じですな。 劇場レベルにしてはちょっと弱いかも知れないかなぁ。

密かな見所はチョイ役なんだけど大杉漣。


とらばいゆ
2002/07/03
なんかアルバイト情報誌みたいなタイトルですが、タイアップですか?

女流棋士の瀬戸朝香。今回のリーグで最下位だと階級ダウン。しっかし連日連敗。気の弱いサラリーマンの夫・塚本晋也にも八つ当たりの毎日。「階級ダウンしたら離婚するから!」となんだかトホホな夫婦の危機。

一方、妹であり、これまた女流棋士の市川実日子。しかも姉より将棋が強い強い。このリーグで階級アップを狙っているが、余裕があるのか同棲している彼氏にウソついて元彼氏と連日デート。それがバレて痴話ゲンカ。しかもなぜか姉夫婦も巻き込んで大騒動。

さて、リーグ最終日はよりによって姉妹対決。さあ勝負の行方は!?離婚の行方は!?

しっかし、なんで彼とケンカして、まっ先に姉の家に行くのだろうか。仲がこんなにも悪いのに。あと、姉妹ゲンカのシーンが迫力ありすぎで、メインの大勝負の対局シーンがひどく地味に見えてしまうところも残念なところ。しかしこの姉妹のガラの悪さ。棋士なんて礼儀作法とかキッチリ身についているのでは?などと勘ぐるのは不粋?

あと気味悪いのは実家の母。「戻んなさい!」とあれほど怒鳴っておきながら、なぜああも突然コロッとにこやかな態度にかわるかなあ・・・「ランドリー」の小雪の妹みたく、こういうシーン見るとヤケにうすら寒くなってくる。過敏かなあ。

まあなんというか、こういう自立女性作品をとやかくいうと、フェミニストのかたがたに偏見を持っている!とか言われそうだが、映画として見どころがよく分からないです、もしかしたらないです

まあなんというか、塚本晋也がフツーの人の役もできることを確認するぐらいですな。 海獣シアターの塚本晋也なら例え瀬戸朝香でも殺しちゃうぞ♪とか言いかねん。


ガンクレイジー〜GUN CRAZY
2002/06/29

ぶっとび美女復讐ガンアクション。しかも二丁拳銃ですよ!ヒロイン二人とも!わたしゃマシンガンとかバズーカとかよりも、両手に拳銃、ってのが妙に好きで。

菊川怜

第一話は米倉涼子が主人公。なんか「ダンボールハウスガール」の感想はあちこちでアレなんですけど、まあ本作はなかなか。日本の最果てにある街。ギャングのボス鶴見辰吾がとりしきっていた。鶴見辰吾の首にかけられた懸賞金目当てに賞金稼ぎたちが次から次へとやってくるのだが、みな返り打ちにあっている。そこへハーレーでやってきた米倉涼子。鶴見辰吾の首狙いのようだが、賞金目当てではないようだ。彼女と鶴見辰吾の過去の因縁とは・・・

一旦酔いどれ刑事や日系兵士が味方につきそうになるのだが、金目当てに裏切り裏切り。結局は米倉涼子の孤独な戦い。

でもなぜか鶴見辰吾、ラスト近くになると、割と平気で町中をウロチョロする。あれれ?銃の腕前もさることながら、米軍基地内部に屋敷があり、なかなか出てこないところが警察を困らせていたポイントでは?他の賞金稼ぎもいるだろうに。油断しすぎ。

しかしラスト鶴見辰吾の「なぜここまでする!」には脱力。自分はあれだけ好き勝手にやってきて、君が言うか?

せっかく米倉涼子というべっぴんさんがガンバッテいるのに、どうも鶴見辰吾ばかり印象的だ!



第二話は菊川怜が主人公。法の番人・正義の味方。憧れの弁護士になった菊川怜。しかし現実は非情。殺人を犯したギャングのアリバイ偽装を強要され、断れば命の危険が。その時颯爽とあらわれた永澤俊矢。ギャング達を撃ち殺し、ガンを掲げながら「こいつは法で裁けないものを裁く。こいつの裁きは一瞬だ」

その時から法の無力を感じ、ガンの魅力にとりつかれた菊川怜、再び街で見つけた永澤俊矢を付け回し、正義の名のもとに殺し屋家業に足を踏み入れる・・・

なんか、このアウトローに転じていく過程に、ミョーにワクワク。 しっかし菊川怜、知的な風貌なのに、一旦口を開くと山瀬まみ系のふぉごふぉごした喋り方になるのが痛いところ。がんばってとりつくろってるけどね。

この二人も、恋とか師弟とか、そういうのとは別の絆でつながっているようで(こういうの好きだなあ)。しかし勢力拡大のため、菊川怜の親友も勤めているビル爆破。そこで始まる菊川怜の復讐。

こういうガンアクションものは、ヘタに飛んだり跳ねたりっていうのをあんまりしないほうが逆にカッコいいねえ。だから菊川怜の方が渋く見える。しっかしこの懐かしいような新しいような雰囲気「ヤヌスの鏡」とか作ってたプロダクションのようなノリだなあ。

しっかしよく考えれば、「西部警察」とかで石原軍団は、この映画同等のクオリティの番組を毎週毎週茶の間に届けていたんだなあ。とにかくありったけのエッセンスを凝縮して詰め込んであるので、ボリュームたっぷりおトクな感じ。


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