邦画三昧2
なんかねぇ、監督さんが「結婚式・運動会のハト飛ばし屋って職業、面白くない?」ってな思いつきをして、それでどうしてもそれをシチュエーションにした映画がとりたかったのかしら? それでいろいろ味付けをして散漫としてしまったのかしら? 祖母の営むコインランドリーで、下着泥棒を見張る係の無垢な青年テルこと窪塚洋介。ここには写真が趣味のおばさんやら連戦連敗のボクサーやら、なんでよりによってコインランドリーで?ってなぐらいに、さまざまな人間関係が描かれている。そこで一見さんの小雪。乾燥機に洋服を忘れてしまう。それを見つけた窪塚洋介、わざわざ後をつけて届ける。しっかし、よっぽど人恋しかったのか小雪、ある意味ストーカーを部屋に招く。 しっかしなんにもおこらなかったのがショックだったか小雪、リストカット失敗で血染めの洋服をまたまた乾燥機に忘れてくる。 しかしこのコインランドリー、いきなり差し押さえられてしまう。主題にもなっている店いきなりロストのあたり「世界の終わりという名の雑貨店」に通じるところもあるが、とにかく窪塚洋介、田舎にかえった小雪にわざわざ洋服を返すため、ヒッチハイクでひろってくれた内藤剛志と共に旅にでる・・・ もう脚本的にはツッコミどころ満載。万引きで懲役1年!?店の過失では?触れただけで壊れそうなガラス細工に法外な価格をつけて、ケースもない棚に飾るなっっつーの。あと小雪ちょっと転職しすぎ。小雪の妹、なんでそんなに情緒不安定?病んでるよ精神かなり。内藤剛志もいくら気にいったからって家も車も財産も全部プレゼント、って私もこんな人に気に入られたい。 しかし窪塚洋介の号泣シーンや、差し押えられたランドリーのドアをこじあけ「僕のだ」といってお気に入りの椅子を取り出すシーンとか、出所した小雪をハトの編隊飛行でお出迎えとか、パーツ単位で観るとグッとくるシーンがいっぱいあって。 やっぱり、現代を舞台にしたファンタジーではインカムについてはふれないべきなのか? とにかく、小雪・窪塚洋介・内藤剛志といった役者達の魅力で随分救われている映画。 あれ、しかしよくみると、淀川河川敷じゃないのかここは!!うち近所やん!ガスタンクだってあるし!!
「いいひと」っぽさブリでは大沢たかおと名勝負の田辺誠一、今回は見事な号泣も魅せてくれます。ゲイのことを会社にひた隠しにしていて、優柔不断ゆえか同僚の女の子にアタックされてもなかなか断りきれずにいる。その恋人の高橋和也。ペットショップのトリマー。おかしな客ばかりやってくるのだが、それなりに充実したような毎日を送っていた(ゲイであると自覚した時点で孤独を覚悟しているのだが)。 そんでもってヒロイン片岡礼子。歯科技師なのだが生きる喜びとか見い出せないようで、カルい男となしくずしのセックス。 たまたま片岡礼子とこのカップル、そば屋でブッキング。傘パクられて困る片岡礼子に、お人好し田辺誠一がうっかり傘を貸したことから、この猪突猛進娘に実家の兄夫婦もろともふりまわされることに・・・ おいおい、そば屋で傘借りて、返しがてら突然「子供ほしいの」って、映画とはいえ ちょっと無理がないか?この出会い。 なんというか「計算されつくした自然さ」というのか、実に緩急ついた日常がヘンにリアルで。久々にストーリーがどんな展開になっていくのか?という部分でワクワクした映画。最初は片岡礼子を恋敵にしていた高橋和也も、次第に姉弟のようないい感じの友人になっていって。 それで田辺誠一に恋こがれるつぐみ嬢。片岡礼子のせいで彼が振り向いてくれないんだわーとばかり、実家にこの3人の子供計画暴露、ブチ切れて上京する兄嫁秋野暢子。 しかしこの「手をつなぐと楽しい、一緒にごはんを食べると楽しい、その延長で子供がいればなお楽しい」 という主張。映画の主人公達3人が魅力的なので「なるほど新しい時代の子作り思考やな」と思いがちだが、劇中の秋野暢子「甘っちょろい!」の一喝。実際はやっぱりそうなんかなあ。 恋は必ず終わるもの・友情はずっと続くもの、というのが分かるような気がして。夫婦として子供をもつより、異性の友だちと子供を育てるほうが実はシアワセなのでは?とか思えてきて。劇中の3人は前向きに見えて、実は人間不信のような、一種のあきらめの境地に達しているのか?と感じてしまう。あーわからん。まあわたしにゃ縁遠い話だし。やっぱりわからん。 でも映画自体は実にフットワークの軽いコメディなので、サクサク観れるのさ。落ち込んで家に閉じこもっている片岡礼子を2人が訪ねてくるシーンがめちゃコミカルなのにジーンと来てすごくいいのさ。
新宿駅のホームから、女子高生50人が横一列に並んで手をつなぎ、「いっせーの!」で快速電車にダイブ。文化祭の催し物よろしく息のあった彼女達、 レールと車輪でスライス破片はホームのお客さんにプレゼント!あるいは頑丈ボディの体当たりにスイカ・トマトみたくエクスプローション! 50人もの娘たちが次々と延々と。このいきなりの大槻ケンヂの歌みたいな始まりでしばし唖然。 事故として片付けたがる警察。しかしそこに「コウモリ」と名乗るクラッカー嘉門洋子から「翌日の集団自殺者の予定人数分だけマークの増えるサイト」の存在を知らされる。 そして病院や学校で次々と連鎖自殺。現場には 人間の皮膚を延々と縫い合わせてつくった奇妙なオブジェ。 この集団連鎖自殺の真実とは・・・ さとう珠緒も宝生舞も、登場即自殺であら出番おしまい?という扱いで。しかしお二人とも相変わらずいま一つ銀幕に映えない演技で。そのわざとらしいリアクションはヒーロー戦隊ものヒロインなら大喝采ですなアラすでにそちら出身でしたかーな感じで。
劇中、突然悪の親玉ローリーがオルガンにあわせて歌うのだが、この曲が妙にカッコいい感じ。曲名は「スーサイドキッス」。一文字違いでエラい有り様ですな。 しかし事件を追っている刑事の石橋凌、帰宅したとき背後で全身血まみれの娘が「おかえりなさい♪」のシーンはふわぁぁぁでしたな。ビジュアルより「あんたもやられたか」という喪失感が。
肉片舞い散るこのスプラッターな映像。上映している梅田スカイタワーでは、「人体の不思議展」も同時開催。
ある日ふと寝つけなくてテレビをつけたところ、着物でアコーディオンだの演奏しながら乱舞するレトロな女性バンドの映像が。 かなり気にいって「なんじゃこのバンドは!CDはでてんのか?バンド名は?」と気になっていたのだが、これ「ヴァミリオンプレジャーナイト」という番組のコーナーのひとつで。 そのヴァミリオン、歌ありコントありアニメあり、しかもどれひとつとってもハイクオリティ、ときているもので、これゃ毎週続くんかいな?と要らぬ心配をしていたところ、案の定アっというまに終了。本作はその総集編。
ファッショナブルエロティックグロティックナンセンスエンターテイメント。「大人用」ポンキッキ。 あちこちで絶賛されているのだが、やはりフーコンファミリーがキテる。もうドラマ仕立てなのに、やはりこいつらベースはマネキンなのかというシチュエーションとかあったり。爆笑の後「その方法があったか!」という感動もひとしお。NHKとかでやってる海外ドラマが大層マヌケに思えてきます。 関西弁のゾンビ姉妹がコックリさん、とか主婦がタマネギ拾うぐらいのシチュエーションをやたらダイナミックな演出で描いてみたりとか、やたらしょぼくれたエイリアンとか、もう根っこの部分から徹底的にキテるからスキがないねえ。 まあ、なんでこんなのが総集編に入ってんだ?ってなヤツもあるのだが(私の好みでないだけかも)観ておくべし。ホンマ観ておくべし。
同時期に、同じく音楽をテーマにした映画だと思って「ヘドウィグアンドアングリーインチ」も観たり。しかしコンセプトはまるっきり違うみたいで。 作曲家のSUGIZOと絵本作家の柴咲コウ。二人は兄妹。幼い頃、目の前で両親を辻切り山口小夜子に斬首されたショックで口がきけなくなった柴咲コウ。このアート兄妹、家に閉じこもりっきりで二人で傷をなめあって生きていた。ときどきサーカスに行くぐらい。 しかし柴咲コウ、ある日キッチンで油断していたところ、コンロの火がドレスに燃え移り、 おにいちゃん今日のディナーはお肉の丸焼きよわたしのー状態で死亡。 凄惨な死体を発見したSUGIZO、ショックで絶叫、それ以来死んだように眠るばかりの生活。 しかしある日突然おとづれる妹の美砂にそっくりの女性ミサ。 なんと妹の書いていた童話絵本に登場する伝説のバイオリン弾きを探してここに辿り着いたという。 なにげにリストカットの痕のあるミサ。ミサにバイオリン教えながら徐々にSUGIZO人間らしさをとりもどしていく・・・ 現実逃避ぎりぎりファンタジー。
デザインセンスや美術が特に秀逸で。トラウマ引き起こされるにもかかわらず毎度毎度遊びに行くサーカスとか、鳥の巣みたいなベッドやオペラハウスのような自宅とか、カタナから火花散らしながら突進してくる山口小夜子とか。あと妹の童話絵本の秀逸さったら。売ってないかなあ。 柴咲コウが「晩ごはんオムレツでいい?」と書いたメモを差し出すところは妙にキュートで。とても「バトルロワイヤル」でウリャーと叫んでいた人と同一人物とはとても思えないねえ。サーカスの映画でトラウマ引き起こされてクライ&ダッシュかますとこもグー。 しかしあの死因は無しでしょう。この映画の教訓は「キッチンでは舞台衣装のようなフリルのドレスはやめとけ」ですな。 近所のガキンチョ達がこの家の扉に「変態兄妹」とラクガキしているのだがセンスあるわ。
一番気になったのはむしろ脇役ナツコこと蒼井優。薄ら不幸な存在感がグー。「リリィシュシュのすべて」で援助交際を強要され、挙げ句鉄塔からダイブして自死という理不尽死亡キャラですが、本作でもやっぱり理不尽死亡キャラでした。 いきなり中学生のヒロイン・サチコこと宮崎あおいの母りょうのリストカットシーンでスタート。その話に加え、小学生時代、担任といけない関係らしかったこともあり、クラスも噂でもちきり。サチコは学校にいづらく街をさすらう。そこで知り合う万引き少年とホームレスのギュウゾウ。3人で気ままに過ごす時だけ満たされるサチコ。 だが母に新しい恋人。自宅にもいづらくなり、万引き少年と旅に出ようと約束。 しかし万引き少年失踪。彼のアパートには見知らぬ男の死体。よりどころのないサチコ。クラスメートのナツコの励ましもあり復学。ようやく学校生活にもとけ込めそうになるが、母の恋人にレイプされかけ、ナツコに救われるサチコ。一生懸命はげますナツコ。学校でもサチコをかばうナツコ。 そんなナツコの気づかいがむしろ癪に触ったのか、サチコ火炎瓶を自作。深夜、丘の上からナツコハウスめがけてギュウゾウと次々にロングシュート!生存率ゼロな業火。 またもや蒼井優、理不尽に死亡。 ノリでやっちまったが激しい自責の念。サチコは小学生時代の担任を求めヒッチハイクの旅に・・・ コピーでは「少女は軽やかに疾走する。」とあったが、ひたすら堕落というか・・・ナンバーガールのテーマも一部分しか出てこないしねえ。とりあえずシチュエーションが用意してあればノッちまって、取り返しがつかなくなってから後悔する、という若さ故の過ちを犯しまくり。「10代の暴走」という点で「リリィシュシュ〜」みたいだが、なんかねぇ。 この映画、なにが一番秀逸だったかって、予告編だね・・・
いやヘンな映画っていやーヘンな映画なんだけどね。
高校生の一砂こと小栗旬。幼い時に父に叔父叔母一家にあずけられ、まあそこそこ平凡で退屈な日常を送っていた。
だが直後、あやまって指を怪我した美波の血をみた一砂、失神。血のイメージが自分をおかしくさせることに気付く。噛み付きたい、血を吸いたい・・・生い立ちに鍵があるのでは、と学校さぼって実家を探し訪ねる。そこには生き別れた美しい姉、加藤夏希こと千砂がいた。 千砂から吸血鬼の家系であることを告げられた一砂。一度覚醒した以上、血を欲する衝動発作は治らない。もうあの日常には戻れない。
かくて世間から隔離され美しい姉と二人っきりで暮らし発作の度に姉の血を吸いながら生きる倒錯的で官能的なライフがスタート。 なんつーか片思いの連鎖、という感じが切ないわあ。やはり吸血鬼だった母を思いつづけ、千砂に母の面影を重ねた父。その亡き父を慕いつづける千砂、その千砂に焦がれ吸血の研究を続ける若い医師、暴言を吐かれても一砂を想う美波・・・ 誰も傷つけないようにと、自分を気づかってくれる人を遠ざけ遠ざけ、むしろ傷つけている一砂。お互いに気づかい故にお互いに傷付く。この「賢者の贈り物」のようなシチュエーション(貧しい夫が時計を売って髪飾りを買って帰ると、妻は髪を売って時計チェーンを買っていたってヤツ)がこたえるなあ。 なんだか吸血は言い訳で別のところで一人立ちを怖がってる一砂、という感じがヘンに痛い。
ヘンに切なくなる映画。ヘンなんだよとにかくこの切なさ。
さよならのブルース ブルースってあるけど、ブルースじゃないよ。タイガースとかのGSがメイン。 R指定なのはなぜ?冒頭のアダルトビデオ撮影シーンか、それとも 映☆画次郎そのもの!? 憧れていた殺し屋になった「ムダ撃ちのテツ」。職務質問必至の全身黒づくめ赤シャツにサングラスがトレードマーク。初仕事で敵のヒットマンをどうにか倒し意気揚々として引き上げるも、暗黒街のボス・映☆画次郎に死体を始末しなかったことで激怒され、やむなく死体をバラバラにして捨てることに。 いっぽうボス映☆画次郎。カバンいっぱいの麻薬の取り引きを企てるが、警察にマークされないため輸送を素人に頼もうとする。そこでなぜか白羽の矢がたったGSバンド「ドンキース」。しかしドンキースの面々は一獲千金を狙い、ワザと誘いを断って、次に依頼をうけたヤツからカバンを強奪しようと目論む。 しかし偶然町で見かけたドンキースのボーカル娘に恋してしまうテツ。バラバラ死体をつめたカバンと麻薬の入ったカバン。これらがいったりきたりすりかわったりでドタバタ騒ぎ。 そしてドタバタ騒ぎのすえ、なぜかいつの間にかドンキースのボーカルとして「東京・ア・ゴーゴー」など歌っているテツ。 いや〜よくもこれだけ古めかしく撮れたものだ。画質がレトロでホント昔の映画を観ている気分に。 しっかし、映☆画次郎がひどいの。七三分けにガリ勉メガネとサンバの衣装。彼も「狼少年」の弟並にクドいクドい。 一瞬ハードボイルドな面を見せるも、アッケラカンとした救いも何もあったもんじゃないラスト。 これほど「とほほ・・・」という言葉があてはまるエンディングはそうそうお目にかかれず、さぞかし観劇者は脱力感にさいなまされることでしょう。 無理矢理レイトショーにしなくてもよかったんじゃないのか?
うわ〜どうしようこれも。 雑誌ライター稼業の市川実和子。酔った勢いで同僚をラブホテルにひっぱりこんだ翌朝、携帯電話に「兄が腐乱死体で見つかった」という連絡を受ける。なんとひきこもり極まってアパートで餓死。 葬儀を終えて遺体発見現場のアパートへ。部屋には、床にしみ込んだ腐肉の処理をする特殊清掃業者と、コンセントが差し込んだままの掃除機。使った形跡もないのに差し込んであるコンセント。特殊清掃業者にダイイングメッセージである可能性を告げられ、兄の死んだ原因を探ろうと決心する。 しかし彼女の体に異変が。「死の匂い」を嗅ぎ分けてしまったり、兄の幻覚を見たり。そこで大学時代に愛人関係にあった心理学の教授に「兄の死んだ原因」を探ってもらおうとするが・・・ 「シャーマン(巫女)として覚醒する」という感じの話なのに、たたみかけるようなハードなセックス描写。主要男性登場人物と次々にしています。いきなり胸をはだけて「ホラァ!吸いなさい!」とたたみかけるあたり、体当たりの演技って、そこの部分なの市川実和子!?
古来「神聖巫女娼婦」といって、交わることで福を授ける、という宗教文化があったそうですが、 そっちに気をとられるあまり、この映画の訴えたいところメインテーマをきっと捕らえきれてない私。 アディエマスの主題歌がマッチして迫力満点。 でも現代社会に適応したタイプのシャーマンとは。なるほどの着眼点。兄や教授のキャラもナイスでいろんな、いろーんな意味でオススメ。
うわ〜どうしようこれ。 謎に満ちた旅人、国男。「この世にいながらにして、あの世をみたい」という欲求のまま、全国を行脚する。
あの世気分 です。 人魂らしきものを見た国男、「あの世」への手がかりだと思い、後をついていく。やがて辿り着いた村には狂人の姉とその弟が暮らしていた。弟は学友に連れられ、まるであの世のような世界を垣間見る。 正直、ストーリーは断片的にしか伝わりません。でもそんなもんかまっちゃいられません。これでもかこれでもかと押し寄せるファック&キル。そして、 弟のクドいクドい痛がり芸。驚いた時や怪我した時、やたらオーバーアクションで長時間うめいてくれます。何度も何度も。 ああそうか。「キャラが居る風景」「誰へともなく語りかけ」といった、空気というか、雰囲気は「ピストルオペラ」も踏襲してるな。 ただ、あちらは江角マキコや永瀬正敏といったスタイリッシュにキメてる人がやってるけど、こちらはクドさ濃さMAXキャラ達がやってるので、もうなんというか このアヤシサ、あの世気分 です。 最後グレてるのよこの子ら。グレ方もキテる。 衣装や風景(ホントに、どこで撮影したの?)が「あの世」って感じで。めちゃめちゃ面白くはないのだが、現実逃避したい時なんかはオススメ。
なんかめちゃめちゃ豪華。こんなヘンテコ傑作があったのか! 時代も時間も空間も超越したライブバー「スローターハウス」。毎日大変な客入りでにぎわっているのだが、街を騒がせているギャング一味がこの店を襲撃するという噂が。警察も機動隊も捕まえられない凄腕ギャング一味。
そこで店のマスター、用心棒を募集。さっそくやってきた三上博史こと「ビリーザキッド」。あの西部開拓史から抜け出してきたビリー。雇ってもらおうと店を訪ねるのだが、すでに
日頃は店員として働く用心棒たち。店にあつまる奇妙な常連客との奇妙な交流の日々。 ガールポップバンド「ゼルダ」のライブセッティングを心を一つにして成し遂げ、深まる連帯感。 そして「ゼルダ」のライブ当日、満員の観衆の中、変装していたギャング軍団がついに暴れ出す。駆け付けた機動隊も全滅させられる。ギャングと相打ちになりながら一人、また一人と倒れていく用心棒・・・ 設定とかキャラクターとかがハチャメチャでマンガチックと思いきや、映画としてキチンと成り立っているんだなあ。なんだか映画の面白い本質をついているような。常連客たち同士の不可思議なやりとりも克明に映像化しているのだが、それがまた「奇妙な状態がこの世界では常識」というような感覚を与えてくれて、グイグイ引き込まれてしまう。 ギャング一味の真行寺君枝がドえーらいべっぴんさんで。「世界の終わりという名の雑貨店」ではコマの母役でなんかしょぼくれていたが、こんなにカッコいい一面もあったんだなあ。あと日本語ペラペラな白人の少女が弁説まくしたてまくりでいい塩梅。オーラタニ?今も活躍してるの? 良い悪いは別として、室井滋がミニスカでローラスケートすべらせるマニアックな映像もこの映画ならでは。
「発狂する唇2」とも言われている本作。しかし中身は、 話は死刑囚でヒロインの中村愛美の懺悔から始まる。 ちょっとイッちゃってる中村愛美、いきなり警視庁に包丁持って突入し「娘が誘拐されたんです!」と連発。自宅に戻り、刑事が張り込みで逆探知のセッティングをする最中、夫の阿部サダヲ帰宅。 「妻の狂言ですよ、僕達に子供はいません」と阿部サダヲ。しかし唐突にあらわれた霊媒師。「犯人は女よ!」との予言に刑事も不法侵入を許す始末。降霊の儀式で使い魔を呼び寄せ、娘の居場所を探しあてる。 娘が捕われているという家までタクシーを走らせる中村愛美。その家に潜入するためにたまたま通りかかった選挙カーのウグイス嬢を襲いその制服を着て潜入。結局家にいた人も殴打・昏倒させて潜入するから変装する意味はないのだが。 娘を探そうとするも、突如尿意をもよおす。なぜかこの家にはトイレがない!?慌てて駆け出し外で用を足すところ、選挙の立候補者「亀山パンチ」に見つかり選挙カー内でレイプ・妊娠・そしてナゼかそれ実は宇宙人の子!復讐を誓う中村愛美・・・ とはいうもののこの後もストーリーはメチャメチャになっていくので 美人にヘンなことをさせ、それを見て楽しむ というのがメインテーマなのか? 白目ひんむいてみたり、ゲロ吐いてみたり、車に轢かれてケイレンしたり。 阿部寛が相変わらずテンション高くて、つまらなさに眠りそうなところを救ってくれるのだが、 あの三輪ひとみ が出演しているというのに、普通の人の役だったので大層ガッカリでしたわ。
うわ〜どうしようこれ。誰もが思うのでは?
若い家出のカップル。女の子は昔の事故の後遺症で片足が不自由。家には戻りたくない、といって二人でバイトなど探しているが、男の方は「うる星やつら」の諸星あたるのごとくキレイなお姉さん見つけてはニタニタヘラヘラ。 しかし男の方はAVギャルにナンパされベットインの挙げ句、所属事務所に連れていかれAVギャルのスカウトマンとして雇われる。なんじゃこりゃ!それで女の子の方は、たまたま街で知り合ったパー券売りの娘に なんか、ホンマうま〜いこと仲間にひきこまれる。 だんだんと家出カップル二人の距離は離れていき、ケンカ別れしてしまう。 最初の頃は女の子の方、パー券売りの娘とうまいコンビネーションで 援助交際の斡旋 で稼ぐが、警察の取り締まりで稼ぎ口奪われ上納金が出せず、 二人で援助交際のフリをしてオヤジだまくらかしてその金でどこか遠くへ行こうとするが、
パー券売りは財布盗んだのがばれて、レイプされ、ヤケになって 映画、っちゅーよりドキュメンタリーやね。 しかしパー券売りのあの娘のセリフの棒読みっぽいのはなんだろう。むしろ、リアリティあり。
何があった!?松坂慶子!! いやそりゃヌルマ湯映画「卓球温泉」の頃からマッドな人だとは思っていたが。 リストラされた沢田研二、家族集めて山奥にラブホテルみたいな名前のペンションを建てる。 誰もこない山奥なのだが、大きな道路が開通すれば繁盛するはず、と日夜夢見て精を出す。 ある日深夜に突然の来客。初めてのお客さんで喜ぶべきはずなのだが様子がヘン、どこか思いつめた様子。翌日 どうみても自殺に見えないような自殺方法で絶命しているお客さん発見。 「警察沙汰になるとお客さんなんてきっと来てくれない」と嘆く沢田研二。 こっそり埋める旨、提案。 ひと悶着の後、どうにか死体を埋めたのもつかの間、早速お次のお客が。お忍びの関取、若い恋人を連れてきて即 腹上死。 パニック起こす長女、警察に届けろと喚く長男、一度やっちまったので度胸のついている妻とじいちゃん。 こんな調子でおかしな客ばかりやって来るのだが・・・ スプラッタコメディミュージカル。 何人も埋めちまったため、一家にとって死体の処理が、徐々に日常の一部になっていくところが最高に可笑しい。 予算でできそうにないシチュエーション(断崖のシーンとか)に入ると、 突然クレイアニメに切り替わるのだが、 私的には 最高に興醒め。 また、ストーリー展開が面白いので、ミュージカルシーンになると「早く終わらないかなあ」と思ってしまう時点でミュージカル映画の立場なしですか? 「大霊界」とかギャグかましてただけあって、丹波哲郎がいい塩梅。そして忌野清志郎のあのおもしろさったら!「リチャードデース」って! でも無理矢理に家族愛をとってつけようとする濱田マリのナレーションがうざい。最高にうざい。 家族一致団結して死体遺棄、 って時点で、どんなに家族愛ヒューマニズム唱えても駄目だろう。狂いきって欲しかった。でもトータルではかなりオススメ。
乙女文学のカリスマ、嶽本野ばら、何者ぞ!(男性だとは!知らなかった・・・) 雑誌ライター稼業を営むものの、不器用にしか生きられない西島秀俊。要領よく調子よく、がモットーの雑誌記事がうまく書けない。ライター辞めて事務所を引き払おうとしたところ、大家から「住民がいなくなると消防条例で建て替えが義務づけられる。家賃はいいから雑貨店でも開いてよ」と頼まれ、なすがままに店を開く。入り口の看板には『世界の終わり』。 一方、女子高に通うコマこと高橋マリ子。周囲との違和感を感じ、級友とも心を閉ざしてしまう。「学校、友達、いつものおしゃべり、どんな言葉も私には届かない」。自宅でも継母との確執で居場所のないコマ。 ただ、お気に入りの洋服を着ているときだけ勇気が出る気がするコマ。そんなときふと目についた『世界の終わり』。毎日いろんな洋服でこの店に通うコマ。この店がコマの唯一の居場所。 毎日自分に宛てた手紙を書き、毎日それを読んでいるコマ。毎日誰に聞かせるでもない言葉をレコーダーに録り続ける西島秀俊。恋愛とか友情とかというのとはどうも全く別の次元で共鳴する二人。 だかある日突然大家が死去。『世界の終わり』は立ち退きを要求される。「居場所がなくなる」と泣き崩れるコマに「二人でどこか行っちゃおうか」と西島秀俊。世界の終わりかも知れない風景の絵葉書をもって二人は旅に出る・・・ いやもう キレイキレイ。 音の方も、ピアノの伴奏だけのBGMに登場人物達の丁寧でしっとりした語り口調。なにを隠そう私は 「花とゆめ」とか「月刊少女コミック」とか「りぼん」とか 読み狂っていた時期があったので、このキレイさたまりません。 西島秀俊の雰囲気とか、高橋マリ子(ちょっと見た目トウがたってる気もするが)のバレエとか、連れ戻しに来た探偵松尾スズキのニヒルなセリフとか、これぞ乙女文学なのか!? 「思春期」とかとは別次元の 乙女時間 というものの存在を感じさせられるような気が。コマからも勿論だが、変わってしまったコマをとりまく級友達からもそれが感じさせられる。なんかココロに大事なものがあるけどそれが何なのか分からなくて、その何か、を見つめているときは残酷なくらい外界の事は黙殺して。しなやかなんだけど脆くて。
「非・バランス」の派谷恵美が今回はイジメッ子。
宮中音楽で有名な東儀秀樹が主役です。これほどしかめっ面がいい人は田村正和以来です。
南の島にシナリオハンティングに来た「高橋」こと東儀秀樹。 映像は、執筆する「高橋」と、小説の「タカハシ」の活躍が平行。 南の島に来たのに部屋に閉じこもりワインを浴びるほど飲み黙々と執筆する「高橋」と、 島での暮らしを満喫する「タカハシ」。 しかし偶然知り合う娼婦のマリアこと奥菜恵。やたら東儀秀樹にからむ奥菜恵。「高橋」は小説に、島の儀式のダンサーとして奥菜恵を登場させる。だがやがて自分が書いているはずの小説の「タカハシ」の体験と「高橋」の実体験がシンクロし始める。すべてが交わるイーキノックスデイに何が起こるのか!?
いやーよーわからん。執筆にのめり込みすぎて自分の体験なのに「タカハシ」の体験と錯覚していた、ということなのかな?ただ、 しかし全般的に他人の海外旅行のビデオ見せられているみたいで、いまひとつストーリーにのめりこめなかった。ただ奥菜恵は、そこはかとなくやらしい雰囲気もってる人なので、娼婦とかの役がぴったりだと思った。「REDSHADOW〜赤影」で「これでお城は安泰じゃ!」なんてほざいてちゃだめ。 やはり見どころ、というかクライマックスは 奥菜恵がぜんまい人形みたいにカクカク踊る ところでしょう。 いや〜 台無し? いや 失笑? ・・・おつかれさま。 雰囲気や空気は秀逸なので、ここはひとつ映画の中の東儀秀樹のようにワインでも一本空けて難しいコト考えられない状態で観ると吉。
「千里眼」で大爆笑させてくれた黒木瞳、今回はうらぶれた主婦を熱演。 今回この映画はわりとテレビCMとか雑誌の紹介とかプロモーション活動に力をいれていたようだが、 すべて避けてきました。 CM流れたらすぐテレビきりました。もう先入観ゼロです。 6才になる娘の親権を巡り、離婚調停中の黒木瞳。一応は自分が引き取り育てることになるが、引っ越し先は川沿いのやたら湿気の多いアパート。娘と二人きりの生活につかの間の幸せをかんじる黒木瞳。 しかし天井のシミから雨漏りのごとく水がしたたる始末。加えて上の階から激しい足音、娘が拾って来た子供物のカバンはなぜか捨てても捨てても戻ってくる。どうもそのカバン、数年前に行方不明になった幼稚園児の持ち物と一致するようなのだが・・・ しかし周りからはノイローゼ扱い。このままでは娘の親権は夫に奪われてしまう。だが偶然知り合った弁護士が話を聞いてくれて協力、騒ぎは解決したに思われたが・・・ 演出はかなりのものでしょう。ゾクゾク連発。なにせ先入観ゼロだからホラーってことも知らなかった。いちばんゾクッときたのは捨てたはずのカバンがなぜか手許に戻っていたとき、娘は得体の知れないものとは思わないで、中身が気になってあけようとするあたり。 でもあのラストの「10年後」ってやつは・・・ 「蛇足」という言葉の重みを まざまざと思い知らされましたとさ。 ホラーとしては中々に秀逸だが、宣伝で謳っているヒューマニズム性はそれほどないのでは?
「作為のあるドキュメンタリー」という雰囲気をもつ本作品。 そういう意味では「ブレアウィッチプロジェクト」 に通じるものがあるのか!? 島暮らしの高校生いしのだなつよ。姉はギター片手にクルマで全国を歌いまわるポッポちゃん。ラジオから聴こえてきた姉の曲に、私も歌いたいと思い立ち、夏休みにフライングしてギターと共に家を飛び出す。机には置き手紙。宛先は船乗りの父である。 大阪道頓堀などで弾き語り、そこそこ好評を得るも、酔っ払いに抱き着かれたり警官に追い払われたりと 前途は多難。そこで知り合う売れない若い絵描きの兄弟(描くのは弟だけだが)。ヒッチハイクなどしつつ共に旅を続ける。 一方、姉のポッポちゃん。奇妙な紙芝居のおっちゃんと「ストリート紙芝居+ギター」。しかしおっちゃん、突然別れを告げどこぞへ旅立つ。やがてとある港町で偶然出逢う姉と妹。こうして奇妙な出逢いの4人は、和歌山を舞台にチョッとした、ホントーにチョッとした冒険を繰り広げる。
「センチメンタルイナカアドベンチャー映画」
その淡々とした流れがなんとも心地よくて。
個性的なヤツラを集めて日常タッチ描けば映画になっちまう、という例かもしれないが。 まあなんか、アッちゅう間に終わるあたり、 「ELECTORIC DRAGON 80000V」 に通じるものがあるのか!?(と、無理矢理ジャンル違いの映画と共通項でくくる試み2連発)
ルックス的には妹が上なのに、姉のポッポちゃんの方が「ピクミン愛の歌」でブレイクしてるとこがグー。
釈由美子?アイドルじゃん?とか言う人いそうだが、鬼気迫る迫力の演技でなかなか圧倒してくれます。 「ミカド」を守るタケミカズチ一族。帝政の崩壊により国を追われ、鎖国政策をとる隣国に落ち延び、そこで殺し屋家業を営む。その一族の生え抜き「雪」こと釈由美子、二十歳になった日、実は母を殺したのは育ての親・嶋田久作であることを母の側近から告げられる。 怒りのあまり嶋田久作に飛びかかるも、帝都物語の加藤ばりに強い久作。ボコボコにされて逃げ出す。 追っ手に追われて逃げついた先が伊藤英明の営むガソリンスタンド。伊藤英明は「幸せだったときを取り戻すため」テロリストをしていたが、死者を出した罪悪感にさいなまされていた。 という感じで、もっとスケールの大きな話になりそうだと思っていたが、結局は仲間割れに終始したような感じ。こじんまり。
当初はストーリー性を希薄にしてアクション重視という考えの映画かと思った。
なんたって
冒頭であらすじを字幕にして垂れ流し、はしょる
ぐらいだから。
まあでも釈由美子のアクションはまあまあカッコいい。カタナを握る上腕筋のたくましさもグー。
飛び蹴りなんかも結構華麗にキメてはる(結構吹き替え入っているのは御愛嬌)。まあ水野美紀には(胸のデカさ以外)かなわないが。
昔やってた少女アクションドラマ「スケバン刑事」シリーズとかみたいな放送なら大人気でしょう。 一番残念なのはテロリストのボス佐野史郎。知る人ぞ知る、 実は佐野史郎のカタナさばき、かなりの腕前 なのだ。「チャンバラアクション映画」と聞き、久しぶりに見る事ができると期待していたのだが。
新春一発目の映画は、 ジュテームでコマンタレブーなファンタスティック・ラブコメディー「アメリ」 フランスでは、相手の幸せのためなら不法侵入が許されるらしいぞ。 いかんぞぉ、ぬるま湯に浸っては、ということで18禁「殺し屋1」。しかし「BROTHER」並に感想難しい。 舞台は新宿歌舞伎町。SM大好き「ピアスのマー坊」こと浅野忠信au-byKDD。 究極マゾヒストの浅野忠信au-byKDD、SMのヤリスギで全身傷だらけ。 行方不明の親分の「責め」の味が忘れられず、一所懸命探しまわる。
しかし実は親分は、殺し屋「泣き虫イチ」に始末されていた。
普段はバイト先でもミスするとすぐに泣き出すイチ。密かに格闘技の達人イチ。
学生時代いじめられ続けていた反動で、恐怖が極限まで高まると、ターゲットをいじめっ子に見立て、号泣しながら工業用のブレードのついた靴で蹴りまくり、まったくバラバラの肉片にするイチ。 この究極マゾと究極サドの、命を掛けた恋愛スペクタクル! 観ていて「痛いなあ」と思わせる映像の連発。 スプラッターシーンが多く、実にリアルな内蔵が飛び交うので、食前食後は控えるように。 男女平等、ということでしょうか、 女性の頸動脈もかき切りまくってます。
なんだろう、ブラックユーモアというんだろうか。
ラストのやりとりはなんかいい。これほど一見壮絶な対決に見えて、対決からかけはなれた対決シーンがあっただろうか。泣き崩れるイチを抱き起こしてまで「かかってこいよ!」 浅野忠信au-byKDDのオカゲでかろうじて観れるスタイリッシュな雰囲気。 映画1回分の時間(あるいはおこずかい)しかない人は 「アメリ」にしとき。
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