小説

著:やまももけんじ

『 方舟がキミを運ぶね 』

第二十章 ライト&シャドウ

目次はこちら

第二十章 〜 ライト&シャドウ 〜
P.13 

お祭りの帰り道、カンナを家まで送って行った。向こうの山ではまだ唄や祭囃子が聞こえる。提灯が山並みをまるで燃やすように照らしていた。

「初めて友達とお祭り行ったよ。た、楽しかった?」

本当は言って欲しかった。
いや、言って欲しくなかった?分からない。なんて聞けばいいか分からなかったけど、僕は「楽しかった?」っていう言葉しか思いつかなかったんだ。

うん、楽しかった。友達と行った初めてのお祭りだから。

「そうだよね・・・そう・・・僕も楽しかった。・・・さ、三人だから・・・」


もうすぐカンナの家が見える山道の入り口。

「ね、カンナ・・・」

虫とカエルの声が溢れている中、カンナが振り向く。

次のページ