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7.フィルターを開閉させよう(CUTOFF FREQ、BREATH VCF)
音づくりの決め手となるのが「フィルターの開閉」です。仕組みの部分で「明るさ」などと言う曖昧な言葉を使ってきましたが、ココでその意味が明らかになると思います。
また、アナログ音源ではこの「フィルターの開閉」が大変重要ですので、実際に音を出して効果を体感しながら、しっかりと頭に刻み込んで下さい。
7−1.フィルターって何?
まず、いきなり全然違う話になりますが、コーヒーって作ったことありますよね? インスタントじゃなく、豆使うヤツ。まぁ、ちょっと違うかも知れないけど、それを想像してみて下さい。
同じだけの量のお湯とコーヒー豆を用意し、ドリッパーでコーヒーを作るとします。フィルターの種類によって、ドリッパーから出てくるコーヒーはどんな色になるでしょう?
●目の粗いフィルターを使った場合は・・・
このように濃いコーヒーが出来上がります。眠気ざましには最適ですね。
●普通のフィルターを使った場合は・・・
まぁ、普通のコーヒーです。普段のガブ飲みにいいですね。
●目の無茶苦茶細かいフィルターを使った場合です・・・
薄〜いコーヒーです。寝る直前のお茶には最適ですね。
と、このようにフィルターの「目の粗さ具合」で濃いのやら薄いのやら出来ました。
音源の「フィルター」も同じことなんです。VCOで鳴っている音が「コーヒー豆とお湯」だと思って下さい。で、フィルターを通って出てきた音がコーヒーだと。
フィルターの目が粗ければ粗いほど・・・つまりフィルターが開いていれば開いているほどVCOで鳴った音がそのまま出てきますし、フィルターが閉じていればいるほどVCFで「濾過された」音ということになります。
音からある成分を濾過してしまえば当然その音は細くなってしまいますよね? 「太さ」が売りのアナログ音源なのに「細く」してしまっていいのかという疑問が聞こえてきそうですが、これは各コーヒーの説明にあるでしょ? 「眠気覚ましに・・・」とか「ガブ飲みに・・・」とか。
ようするに「時と場合を考えて必要なものを必要なだけ」と考えればいいワケです。
それから、濾過される成分のことを難しい言葉にすると「倍音(ばいおん)」といいますので参考までに。
7−2.フィルターの開閉をしてみよう
「目の粗さ」を音源では「CUTOFF FREQ(カットオフ・フリケンシーの略)」といいます。
VCFパラメータ・グループの中にある「FREQ」というのがそれです。通常は「フィルターのカットオフ値」とか「カットオフ」とか言いますので、通ブリたい人はそう言うように心掛けましょう。
この「カットオフ値」は当然数値で表わします。先ほどのコーヒーの例で言えば、目が粗くなればなるほど数値は大きくなり、目が細かくなればなるほど数値は小さくなる。
これも覚えておきましょう。
そして、この講座で作った音色のカットオフ値は最大の「99(EWV2000は100)」・・・つまりVCOで鳴っている素の音が聞こえているわけです。
ではここでカットオフ値を「吹きながら」下げていってみて下さい。だんだん細くなって・・・細くなって・・・数値が「0」になったら音が出なくなりましたよね? これは先のコーヒーの例で言うと「プラスチックのフィルターを使ってしまったので、お湯と豆はドリッパーの中でたまって下に落ちてこない」という状況です。つまりVCOは音を出しているけどVCFで止ってるっちゅーことですね。
まぁ、どのみちあまり数値を下げ過ぎても「補助音」ぐらいにしか使えないと思うので、その辺りのサジ加減は適当に。
7−3.ブレスによるフィルターの開閉
とりあえずカットオフ値を「99(EWV2000は100)」に戻して下さい。この状態で息を強弱・・・つまり音を大小させてみて下さい。
・・・なんか気持ち悪くないっすか!?( ̄▽ ̄;)
音量を大小させても音色は全く同じで変化しない。これって単にスピーカーのボリュームツマミを大小させてるだけみたいで、到底管楽器らしさが感じられませんよね?
じゃあ、どうすれば管楽器らしい音量変化が得られるのか。
実際生の管楽器を吹いてみるとわかるのですが、音が小さい時は倍音が少ない・・・つまり音が細いんです。逆に音がデカいと倍音成分が多い(音が太い)。まぁ、楽器によって差はありますが大抵はこういう風になってます。そこで、音源でこれをシミュレートするために「BREATH VCF」を使います。
BREATH VCFは、EWV2000と3000mはそのものズバリ「BREATHパラメータ・グループ」の中にあります。3020mは「MODパラメータ・グループ」の中の「BRTH→」にあります(表記は「BRTH→VCF」ね)。
では、VCFのカットオフ値を「0」にして、BREATH VCFの値を「99(EWV2000は「100」)」にして息を強弱して吹いてみて下さい。
・・・ね? 今度は随分自然な表現になったと思います。
さっきと同じように「BRETH VCF」の数値を「75」とか「50」とかに設定して吹いてみて下さい。たぶん気付くと思いますが、強く吹いた時に設定した数値の音が出ています。つまり、フィルターの「開きの上限値」をこの「BREATH VCF」で決めるワケです。
例えば、BREATH VCFの数値を「75」にした時は、
息 :なし→弱−−−−−−−−→強
フィルター:全閉→閉−−−−−−−−→全開
数 値 :0 →1−−−−−−−−→75
このように音が出ているわけです。
7−4.「CUTOFF FREQ」と「BREATH VCF」を組み合わせる
では、「CUTOFF FREQ」と「BREATH VCF」は同時に設定は出来ないのでしょうか?
答えは勿論「出来る」です。
では各々の数値をどのように設定すると、どのような効果が得られるのか、以下の表を見て下さい。
もうお分かりですよね?
文字を赤くした部分・・・つまり数値を「CUTOFF FREQ < BREATH VCF」で設定するのが一番効果的で自然な表現となります。
息の強さが最小の時に「CUTOFF FREQ」の値の音が出て、息の強さが最大の時に「BREATH VCF」の値の音が出る。
例えば、
CUTOFF FREQ:20
BREATH VCF:82
と設定するとします。その時の関係を先ほどと同じように記すと、
息 :なし→弱−−−−−−−−→強
フィルター:全閉→閉−−−−−−−−→開
数 値 :0 →20−−−−−−−−→82
となります。
また、ここでは一応数値を「CUTOFF FREQ < BREATH VCF」にするのが一般的としましたが、作る音色によってはあえて不自然な効果を狙うこともあるかもしれないので、頭の片隅にでも覚えておいてください(ほんとにあるかは知らん)。
まぁ、「素直でクセのない音色」をつくる場合では「BREATH VCF」のみを設定し、「CUTOFF FREQは0のまま」で全くかまいませんし、フィルター効果が一番自然だと思います。
実際私の今まで作った音色のほとんどは「CUTOFF FREQ」の数値が「0」で「BREATH VCF」だけでフィルターの開閉を行なっています。
7−5.フィルターとブレス感度ツマミの関係
この章で解説した通りEWIの場合、「フィルター効果は息で開閉させるのが一般的」となりました。すると当然「ブレス感度ツマミ」の役割も大きく関係することになります。
ブレス感度ツマミの設定値が低い場合はフィルターがなかなか全開になりづらく、逆にツマミの設定値が高い場合はすぐにフィルターが全開になってしまいます。
「楽だからブレス感度ツマミは高めに設定してるの〜」とか「ブレス感度ツマミなんて適当に設定しておけばいいや」とか横着すると、効果的なフィルターの開閉が出来ず、せっかくの表現力が損なわれてしまいますのでブレス感度ツマミは「自分の息量・息の強さ」に合わせてしっかり設定しておきましょうね!
【チェックポイント】
とりあえずここでは「BREATH VCF」にのみ数値を入れることにしましょう。そしてフィルターは全開でもいいのですが、あまり派手な音にならないよう「80」にしときましょうか。
7−6.まとめ
これで自然なフィルター変化が出来るようになりました。これにリバーブでもかければ即使える音色になった状態です。実はここで「1VCOの音色が完成」となります(説明しやすくする関係で、VCAやVIB/BENDの説明がまだですが)。
この章でいじった数値の部分をパラメータシートにしておきます(表内が、赤→いじった部分、白→いじらない、緑→関係なし)ので、間違いがないかチェックしてみて下さい。
チェックしたら音色を保存して次の章へいきましょう!
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