ギターの練習
ここでの内容は個人的な感想であり、
効果や効能を示すものでありません。
ギターの練習 |
中学・高校生の頃であれば(誰もが)、1曲の譜面を覚えるのにさして時間はかからなかった。例えば「エリーゼのために」なら1日、「アルハンブラの想い出」でも1〜2日、ロック曲で有名な「BURN」でもリードパートで2日あれば覚えられた。だからといってそれが即、弾けるということではないけれど。 まだ弾くための技量が乏しいから、譜面を暗記できても、その曲を弾くための技量を上げる訓練に要する時間はかなりかかっていた。
技量が増すと共に、新曲にトライする時、それまでの経験で培った(?)技量である程度はカバーでき、新しく訓練を要する部分は相応に少なくなっているから訓練に要する時間は少なくなっていく。
しかしさらに歳を重ねてくると、譜面を覚えるということ、そのものにすごく時間がかかってくる。若い時なら3回もじっくり読み返せばほとんど覚えられたものが、この歳になってはたとえ数小節ずつであっても3回程度では頭に入らない。
◆ 何年か前にまたギターを弾き始めて、それ以降でやっていることがある。
(この齢による)集中力が続けられる15分間を1クールとし、1クールやればそれから時間を置いて、もう1クール。それでその日の練習は終わり。午前中に1クールやれば午後から1クール、夕食と風呂を済ませての1クールであれば寝る前に1クールと、時間を置いてすること。
それとそれ以上はしないこと。それ以上やっても身につかなく、だらだらと時間を過ごすだけになる。時には全く取り掛からない日もあり、毎日欠かさずということでもない。
ただ、これはこれから新たに覚えようとする曲の、1曲分についてである。もし新曲が2曲あれば、15分ずつやって、それから時間をおいてまた15分ずつ。日に合計1時間で2曲ずつ覚えていける。4曲であれば2時間、6曲であれば3時間ということに。
1曲の演奏の練習の場合も同様で、15分程度で1クールを切り上げ、時間を置いてもう1クール。その日にそれ以上はやらない。
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岡崎倫典さんの曲 |
今、取り組んでいるのが岡崎倫典さんの「BaysideResort」。ひょんなきっかけから倫典さんの「麻衣」という曲に取り組んだことがあり、その後、「春からの招待状」、そして今は「BaysideResort」に取り組んでいる。いずれも楽譜『岡崎倫典/BaysideResrot』の中の曲である。
私はアーティストに心酔するということができない性質なので、これら3曲は楽曲に心酔して・・・ということである。
で、話を戻して、楽譜をひと通り暗譜し、曲がりなりにも通しでなんとか弾けるようになるのに、「麻衣」で1ヶ月、「春からの招待状」で3ヶ月、「BaysideResort」ではなんと半年もかかってしまった。岡崎倫典さんのオリジナルは右手のピッキングが難しく、仮に楽に暗譜できたとしても弾けるようになるには多少なりと訓練時間を要するかと思うが、私の上記の所要日数は暗譜と訓練を平行してでのものである。
もしこの次も取り組むとしたなら、今度は1年かかるのかも。いや、1年というのは、もはや永遠の時間であるかもしれない・・・。
まあ、それでも私が特に好きな3曲は暗譜もでき、弾けるようになったことだし、今後はこの3曲を機会あるときにちょこちょことと弾き続けられたらいいなと思う。
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小さな手 |
岡崎倫典さんのオリジナル曲では、ところどころに手の小さい人には指が届かない個所が出てくる。YouTubeで研究した限りでは岡崎倫典さんの手は極端に大きいということはなく、著名なアコースティックのギタリストの中では標準サイズか、気持ち小さ目かと思う。まあー、それでも標準的な日本人男性並みの手の大きさはあるように見える。
「麻衣」も「春からの招待状」も「BaysideResort」も、手の小さな人には(普通にやっていては)指が届かないところがあり、それで断念する人も少なからずいるようだ。
私も最初はそのクチだったが、今は3曲に限っては弾けるようになっている。他の曲はどうだか分からないがこの3曲については、それぞれ工夫することで小さな手でも演奏は可能である。
ちなみに私の場合、左手の指をグッと開き、人差し指と小指の両端までの長さが14.5cmである。物理的にはこれ以上の距離にあるポジションは押さえられないということになる。
◆ 1cm程度なら簡単に広げることができる。クラシックギターのように左足にギターを置き、クラシックギターの姿勢でギターを抱える。スティール弦のアコースティックギターの場合は水平に近く構えるのが普通かと思うが30〜45°程度傾ければ尚よい。あるいはいくらか体をネックに巻きつけるような感じで構えるか。
このような姿勢をとれば、左手の手首はまっすぐに伸び、指を少し広げることができる。
正確には、普通の姿勢でギターを構えると手首が曲がってしまい、十分に指先が開かないところを、構えを変えて手首を伸ばすことで、本来のように広げることができるということである。
私の場合、普通に構えた時には人差し指から小指の両端までの長さは13.5〜14cm程度である。
◆ これで届かない場合は、同じ音でもTABとは違う弦・ポジションがないかを探してみる。「麻衣」場合、指が届かないところが2箇所あったが、別のポジションで同じ音が見つかり、それで弾いている。TAB譜通りではないが、五線譜には忠実である。譜面だと20小節目、22小節目、32小節目である。
そこを弾くことによって演奏が難しくなったが、音が出せなければ話にならないので、ともかく訓練に次ぐ訓練で乗り切るしかない。
ゴルフでよく聞く言葉に「届かなければ入らない」というのがあるが、ギターの場合、「指が届かなければ音が出せない(演奏できない)」ということになろうかと思う。しかしギターがゴルフと違うのは、ゴルフが「届きさえすれば入るというものではない」のに対して、ギターの場合「届けば練習を積むことで弾けるようになる」ということ。慣れない左手の形・ポジションであっても、曲がりなりにもそれを押さえることができれば、練習を重ねることで演奏に耐えられる程度にはスムーズに押さえることができるようになる。
◆ 「春からの招待状」の場合は、代用のポジションが見つからなかった。音的にはあるにはあるが、益々間隔が広がり押さえられなくなるポジションだった。
そこで、ネックの指板の上で指を広げるということをやった。例えばある個所がフォーム的に人差し指と薬指で押さえる場合であるとして、人差し指が届かない時は、先に薬指で押さえて置き、そこを固定して手を移動する。すると左手自身では広げられない距離も、薬指をネックに引っ掛けたような状態になり、幾らか人差し指の先を遠くに伸ばすことができる。
たまたま、この曲の場合はそうした2ステップのやり方で指を押し広げての押さえでも、五線譜通りに演奏できる曲であったということもある。
2ステップを踏む余裕がない曲の場合なら、より短時間に2ステップを1ステップのように押さえられるようにする訓練をしこたまこなさないといけない。が、それでもともかく、こうした方法で押さえられるようになれば、演奏できる可能性は残る。
◆ 「BaysideResort」の場合、15小節目のところが難関だった。より具体的には14小節の終わりから15小節3拍目までの一連の動作がうまくできない、指が届かない。
しかしYouTubeで岡崎倫典さんのこの部分の左手の運びを何度も繰り返し見て、自分のそれまでの指使いとは異なっていることに気がついた。
単にTAB譜だけで見れば、14小節の前半のフォームは、
で押さえるのがごく普通かと思う。しかし倫典さんは
と押さえていた。
実際にやってみないと分からないことだが、これにより14小節の終わりから15小節3拍目までの一連の動作がスムーズにできるようになる。15小節3拍目は、先の「BaysideResort」の方法で、6弦4Fを薬指で押さえてそのまま薬指を固定し、手を移動して人差し指・中指をグッとネックの方に寄せれば指が届くようになる。2ステップで押さえる。
もう1ヶ所、28小節目の3拍半から4拍のところ。小指と薬指で1・2弦の7フレットを押さえ、人差し指で6弦の4フレットを押さえるのだが、人差し指が届かない、4フレットまで開かない。
ここを弾くときは幾分、上半身をネックに巻きつけるような感じで胸をネック側に寄せ、手首を少しなりと伸ばしてやると多少は開きやすくなる。それと先に書いた2ステップで。
「BaysideResort」の場合、ここを乗り切れば、他は小さな手でも楽に押さえられる所ばかりである。だが、曲全体を通して右手・左手が複雑怪奇なので、ともかく自分の演奏の進行に従い、次々と勝手に手が動くようになるまで練習を積むしかない。しかしそれができるようになると、苦しみからは解放される。
ちなみに、この曲は1拍目・3拍目とベース音を交互に変えて演奏する曲である。フォークなどでもコードを押さえ、ベース音を交互に変えて弾くスタイルがあるが、この曲の当初の練習に当たっては、その感覚は忘れ去った方がよい。それを重視するとうまく弾けず、練習が進まない。ベースを交互に弾いていることを忘れ、ここはこのポジションでこう弾く、そこはそのポジションで・・・というように、その場所場所でのポジション・ピッキングを覚えることだけに専念する。全体を通して楽に弾けるようになった時点であらためて、リズムを刻むようにベース音を強調していったらいいかと思う。
譜面Aの注釈の場所、「左手小指で押さえる」は最初、小指1本では難しく、中指・薬指・小指で押さえていたが、音のつながりが乱れ勝ちだったので思い切って小指1本にトライ。はじめの内は指が痛くて押さえられなかったが、数日のうちに少しずつ指が慣れてきて、一週間目で無理なく押さえられるようになった。
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花/岸部眞明 |
アコギインストなど音楽事情にうといもので、この曲も知らなかったが、YouTubeでふと耳にして「これいいな〜」と検索してみるとたくさんの人がカバーをアップしていた。それらを順に聞いて行く内に自分のレパートリーにも加えたいなと。
ネットで調べると海外のサイトでそれらしいTAB譜が見つかったが、YouTubeのいろんな人の演奏とか、岸部さんのホームページに置いてあるCD版の「花」を聞いて研究し、 それらを元に手書きのTAB譜を起こして練習開始。
譜面の暗記は2日ほどで済み、これは楽勝モードかと思いきや、通しでやっとこさ弾けるようになるのに2週間はかかった。それから1週間ほど練習を積んでYouTubeにアップ。
この曲の難しさは何と言っても、メロディーとバッキングとのメリハリをきっちり付けること。大げさなくらいにメリハリをつけないと、メロディーが生きてこない。これまでも自分の中ではインストでは割とメロディーのメリハリを付けてきたように思っているが、その程度ではちょっと生ぬるかった。それが弾けるようになるのにかなり練習した。
それと苦労したのは、2弦2フレット・6弦5フレットを押えるコードフォーム。これが随所に出てくるが、曲の中での役割が(繰り返しを除いて)それぞれで違っていて、場面場面での展開を要求される。それを曲の中で自然に流れるように体得するのに時間がかかった。
ビデオ撮影となると緊張してしまい、この曲でもまた何ヶ所か抜けが生じてしまったが、全体としては自分が思うような演奏ができたので、それをYouTubeにアップした。
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風の詩/押尾コータロー |
この曲もYouTubeでふと耳にし、「花」と同様、たくさんの人がカバーをアップしていたので、それを見て行くうちに自分のレパートリーに加えたいということに。
TAB譜は「花」と同様に海外のサイトでそれらしいものを発見したが、そのままではとてもTAB譜としては読めないものだったので、YouTubeにアップされ ていたいろんな人の演奏ビデオを見て聞いて、そしてポジションを探って、手書きのTAB譜を起こした。
この曲には押尾コータローさん自身による演奏の要点を解説したビデオが(某ユーザーから)YouTubeにアップされており、それも参考にして練習。
曲の前半部分のメロディーは(人差し指の)アポヤンドで弾いているという押尾さん自身の解説、これまでスチール弦のアコギではアポヤンドはやっていなかったので、なかなか練習にもならず苦労した。
しかし一度アポヤンドで弾いていると知ってしまうと、アルアイデではどうもメロディーが物足りなく感じて、この曲を弾くとすれば自分もアポヤンドでと決めて、練習に励んだ。
毎度の如く、通しでなんとか弾けるようになると、嬉しくなってつい練習不足のまま演奏を撮影。それをYouTubeにアップした。何ヶ所か、手書きTAB通りには弾けていないところがあるが、それもご愛嬌。演奏もまた、一期一会の作品である。
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