ライブでのPAセッティング
ここでの内容は個人的な感想であり、
効果や効能を示すものでありません。
《ギター弾き語りでのマイクと譜面の位置》 | ||
ライブ初心者の頃に一番困ったのがマイクに隠れて譜面がよく見えないこと。譜面など暗記していれば問題ないことだが、フォーク系では譜面を見ながらの演奏が割と普通の出来事である。
椅子に座りギターを抱え、そしてギターのマイク位置をセットし、ボーカルのマイク位置をセット。すると譜面台を置く場所がなくなっていたりする。ステージが狭かったり、大人数での演奏で一人当たりのスペースが小さい場合、こうしたことはよく起きる。
ギター弾き語りの場合、歌いながら左手のフレット位置を確認しながら演奏する。だからやや左を向いてもマイクが外れないようにするのが良い。譜面台についても、弾き語りではそうした左を向く傾向があるから、正面か、やや左にセットしてもいいかもしれない。
ギターのマイクはサウンドホールを外し、12〜17フレットあたりに向けるのが普通。ギターの抱え方は人それぞれで、ボディーを右わき腹あたりに置く人もいれば、サウンドホールをへそからやや右側に、あるいはクラシックギタースタイルでもっと左に寄せる人もいる。演奏中にギターの位置が変わらなければいいが、興に乗ってくると位置が動いてくる。その時、マイクの正面にサウンドホールがくると音が割れたりハウリングを起こす。だからそうした演奏クセを知った上でギターのマイクはセットしなくてはならない。 |
|
|
私に合うのは、
1.椅子に腰掛けて座る位置を決める。
2.ボーカルマイク。ブームは図のように左から、普通ボーカルマイク用のマイクスタンドは背の高いブーム型を使うので、上からになる。ボーカルを取らずにギターだけに専念する時もあり、その場合は前かがみになるので、その時にもマイクが頭に当たらない程度にマイクを離しておく。
3.譜面台。マイクとブームの影にならない正面から左斜め下の方向に譜面台を置く。ギターのフィンガーボードと譜面とを交互に見やすいように、およそネックの正面に近い側に。ある程度体から離さないとギター演奏やギターマイクの邪魔になる。
4.ギター用マイクスタンド。ギターのマイクは一般には背の低い、ブーム型のマイクスタンドを使う。直立部はなるべく低くして、できるだけ斜め下側からブームを伸ばす。演奏中のギターの位置移動(難しいコードなど、ギターを抱え込むようにしてフィンガーボードを押さえる時、体が左前に倒れる)を考え、一番左に動いた時に17フレット正面あたりにマイクが来るようにセット。
である。
正面斜め左から見ると、こんな感じ。 ギター用のマイクスタンドには、カメラ用の三脚の先にマイクホルダーを取り付けた自作マイクスタンドを使っている。マイクスタンドは他にも持っているが、背の低いショートブームのスタンドは持っていないので、こんな仕儀になっている。(^^) しかしマイクスタンドを使うと演奏のどこかがスタンドの影で見えなくなるが、この手の三脚スタンドだと影が少ないので、演奏の様子がよりよく見える。
この方向からだと演奏しているギター全体が見える。譜面台を下げれば正面の客席側からもギター演奏が見えるようになる。 ボーカルマイクのホルダは写真では上からになっているが、下からにするともう少し譜面が見易くなる。
・・・それとショートブームのマイクスタンド、標準より短いということで三脚の足の長さも少し短め。しかしこれが良くなく、安定が実に悪い。マイクとか、マイクケーブルの重さを考えていない。自分の位置に合わせて多少位置を移動することがよくあるが、ちょっと引き寄せようとするとすぐに転んでしまう。それで標準のスタンドに数の余裕があればギター用にもショートは使わないようにしている。見た目はショートの方がカッコいいが、実用的には標準のスタンド。
(追記) 椅子に腰掛けての演奏の場合、自作の三脚マイクスタンドが一番使い勝手が良かった。全体が軽いので、ギターを弾く姿勢で腰掛けたまま、マイクホルダをつかんで楽々位置移動ができ、マイクの高さ・方向などの調整も簡単。 電器店でビデオカメラ用の安い三脚、楽器店で全ラバーのマイクホルダ、そしてホームセンターで5/8インチのボルト(ネジ切りした棒材)。ホームセンターに置いてあるのはミリネジがほとんどだが、基礎用ボルトの中にはインチネジのものもある。マイクホルダを持ち込んでネジが合うか確認して購入する。 |
||
立ちでやる時には、ボーカルのマイクスタンドは真正面にセットし、ブームをいっぱい伸ばす。 譜面台は自分の右手に他の演奏者がいる場合はマイクスタンドの左手前に、逆の場合は右手前にという感じ。他の演奏者の様子を見るときには譜面台の側にちょっと回りこむように体を動かせばよい。 |
||
《ギターのチューニング》 | ||
以前はBOSSのTU-12をよく使っていた。反応が早く、ベースの4弦開放といった低音にもよく反応するから。
今はKORGのAW-1を使っている。これは低音(6弦ギターの5・6弦開放)の反応がすこぶるにぶく、買ってすぐの頃は使わずTU-12を使っていた。 その後、5・6弦でも12フレットのハーモニックスだと反応が早いことが分かり、それから使い始めた。
チューニングする場合、私は右手の人差し指で弦の12フレットを軽く押さえ、その手の親指で弦を弾くというハーモニックスの出し方の方を使っている。こうすると左手が空くので、ハーモニックスを出しながらペグを回すことができ、チューニングの時間が大幅に短くなる。
この場合、ハーモニックスの音はかなり小さくてもヘッドに付けたチューナーはよく反応するから、ほとんど音を出さなくてもチューニングできる。
チューニングの時間が短く、ほとんど音を出さなくても良いということで、1曲毎にささっとチューニングの具合を確かめることができる。 |
|
|
《PAの音がよく聞こえない》 | ||
ライブを始めた頃の次なる大きな悩みは、自分のボーカル、ギターの音がどうPAで鳴っているのか、わからないということだった。 自分では大きく鳴っているようで、生録したものを聞くとほとんど出ていないということがよくあった。あるいは自分のギターの音がほとんど聞こえないということも。
元々はギターの生音を聞きながらほとんどネックは見ないという弾き方だったが、これを教訓にギターのフレットマークを見てのポジション暗記での弾き方に変えて行った。しかし、なにぶん暗いライブハウスのこと、自分のギターのネックが暗くて見えない位置に陣取らなければならない時もある。それはもう悲劇であった。
そういう時、どうすれば良いか。私の答えはひとつ、そういうところで演奏しないこと。あるいは照明の当たる位置で演奏できる構成でやること。これしかない。 |
||
《マルチケーブル》 | ||
現在までのところ、PA・ミキシングがうまくいったことはない。その最たる理由がミキサーの配置にあることはよくわかっているが・・・。
ミキサーは客席側の中央あたりに置くのがベスト。客席側での音をそのままモニターしながらミキシングできる。小さな会場だと横とか後ろでもまずまずモニターできるが、少し広くなるともう駄目。
マルチケーブルを購入すれば解決するのだが、また値段もそう高いものではないのだけどなかなか・・・ケーブルには回らない。ケーブルを買うのなら、もっと他にほしいものがたくさんあるような気がして。
そこで今考えているのが、マルチケーブルの関係品をリサイクルショップとか中古オークションで買って、それらを一度ばらし、再度自分のPAに合うものに作り直そうかなと。仕上がりの見栄えなど全く気にしない性質だから、少々不恰好になっても全くOK。 |
||
ミキサー ビブラート系のエフェクトはパス! | ||
標準的なミキサーには何種類かのリバーブが内臓されているが、ライブなどでビブラート系が混じっているのを使われていると、私の場合、実に困る。
多くの人は倍音豊かなギターの音色を好む。これは言い換えれば、ある意味ノイズ系の音である。音の波形をみれば、ピアノとかバイオリンといった正弦波系とは異なり、倍音豊かなギターのはノイズ系の波形になっている。
ノイズ系の場合、すでに歪んでいるので、そこにビブラート(音程を上下に揺さぶる)系のエフェクトをかけると音に広がりが出て実に良い。ボーカルにしてもノイズ系の声の人には割と合う。
しかし、正弦波系の音色、これが単音の場合はまだ大丈夫だが、和音を奏でた場合、例えばアルペジオでは、実に困ったことが起こる。和音を弾いている途中で音程が揺さぶられるから、和音の音程が狂っているように聞こえる。ノイズ系の音色だとそうしたことはあまり聞き取れないが、正弦波系だと、もろに出てくる。
これまでライブで何度かそうした経験があり、チューニングが狂っているのだろうと曲が終わってチューナーで確認すると、(チューニングが狂っていることもままあるが)、チューニングは合っている。マイクを通さず生音で確かめると合っている。演奏中にチューナを見て確かめても音程は正しく出ている。しかしPAからの和音は狂っているように聞こえるということがあった。
ライブハウスではリバーブは固定されているから(演奏者毎に合わせて切り替えるということはしないという意味)、これはもうどうしようもない。そうしたライブハウスで正弦波系の楽器を演奏する人(自分)が悪いのだ、ということにしかならない。(^^;) |
||
マイクのミキサー接続はXLRでないと駄目? | ||
相変わらず安物のマイクを使っているのだが、先日、そのマイクをミキサーにつないだところ、ノイズが多くて使い物にならなかった。そのマイクはマイクケーブルとの接続はXLRなのだが、ミキサーとの接続は2Pのホーンプラグなので、ミキサーのラインインに挿し、ゲインで入力調整をしていた。
それで別途3Pのマイクと、XLRオス・メスのマイクケーブルを追加購入。そしてミキサーと接続したところ、マイクが安物・・・という点は除き、ノイズに関しては良好な状態を得られた。
ところが、試しにこれまでの2Pのマイクに、新しく買ったXLRオス・メスのマイクケーブルを使ってミキサーに接続したところ、それまでのノイズが嘘のように消えた。
3Pのバランス型は、ケーブルが拾うノイズを除去するとミキサーの取説には書いてあった。 それから考えると、元から2Pのマイクに3PのXLRのマイクケーブルを経由したところで、ノイズは減らないはずなのに。
・・・で、調べてみるとどうも、「アンバランスだと機器がアースライン(コールド)に接続してしまい、アースを通してノイズが回る」とのこと。
2Pのマイクをオーディオのマイク/ライン入力に接続しても、さほどノイズはかぶらなかったが、ミキサーなどの楽器系の場合は、仕様が違うようだ。
まあそれでも、2Pのアンバラン型のマイクであっても、キャノンであればXLRオス・メスのマイクケーブルを買い足して、ミキサー接続して使えることが分かったわけで、さっそくマイクケーブルを注文した。 |
||
ヘッドフォン・アンプ | ||
たまたま、数曲にかぎってはまぐれでボーカルと演奏のバランスが良かったということはあったが、総じてこれまでライブのミキシングがうまく行ったことがない。(^^;) 一番良いのは客席側でスピーカーをモニターしながら調整するということだろうかと思うが・・・。
試し買いだから、安いものの中からと、 ・BEHRINGERAMP800MiniAMP を候補とし、値段と機能を考えれば、音的にはAMP800も似たものだろうと、最終的には一番安かったHA400を購入。
周りではスピーカー(メインまたはモニター)あるいは生演奏の音が響いている状態だから、ともかく耳が痛いほどの大音量が出てくれないと困るが、それは大丈夫だった。
また低・中・高音の再生比率が元の音源と違うようだったらミキシングに反映できないのでどうなのかと思っていたが、それも概ね良好だった。高ハイファイということではないけれど値段に期待していた数倍の再現性はあった。音楽鑑賞とか生録環境では音質に不足を感じるだろうが、そもそも何らかのノイズがあるSRの中での、演奏音源のモニターであるから、これで充分という感じ。 |
||
スピーカーの配置(メイン×2 モニター×2) | ||
聴衆が数十人〜百数十人程度の会場で、各組の演奏者が5〜6人までの場合での、メインが2セット、モニターが2セットという組み合わせの場合での経験談。
会場の大きさとか、場の音響の程度にもよるとは思うけれど、右の絵のような配置でおよそうまくいった。
メインスピーカはスピーカースタンドを付けて両サイドに配置し、モニターも床置きではなくスピーカースタンドを付けて両サイドに配置。
メインスピーカーは普通、演奏者の真横から客席側に置く。モニターはメインスピーカーの後ろ側に下げて演奏者の横から聞えるようにする(演奏者が並ぶ線上は避ける)か、メインより少し前に出して、演奏者の横に近い斜め前方から聞えるようにする。
人は正面を向いている時、真横・正面の水平面あるいはこれに近い位置からの音源はよく聞えるけれど、上下・後ろは聞えにくい。よくモニターを演奏者のすぐ前の床に置いているのを見かけるが、かなりパワーのあるモニターでないと聞えにくい。モニターがよく聞えるのは耳の高さの正面から真横の間の方向ということになる。
モニターはどの演奏者にもよく聞えないといけないから、各演奏者からどういう距離に置くかは重要。例えばモニターが演奏者に近い場合、モニターに近い端の人にはうるさく中側の人には聞えにくいということになるので、適度に距離をとらなくてはいけない。 端の人と中央側の人の距離を1とした場合、端の人から最低で3倍、できれば5倍くらい離してモニターをおきたい。3〜4人の場合で演奏者の間隔が1.5mとすると、最低で4.5m、できれば7.5m離すと言うことになる。
それが難しい場合はモニターをもっと高くする。周りの演奏はおよそ耳の高さよりも下から聞えるので、斜め上からだとそれらと区別ができ多少は聴きやすくなる。 |
||
《ミキサー AUX入出力》 | ||
メインのPAに「YAMAHAStagepass300」を使うようになっても、ボーカルマイクの入力には「BEHRINGER MX802A アナログミキサー」を使っている。ベーリンガのMAINOUTをStagepassの5CHに接続して使用。
理由は、Stagepass内蔵のリバーブはリバーブの種類の中では一番標準的なものが採用されていて、それはそれなりに最低限使えなくもないが、さりとて・・・。 そこで昔買った「YAMAHAR100」というリバーブプロセッサーをベーリンガに接続してリバーブを得ている。このベーリンガーのミキサーにはFXが内蔵されていないということもあるが、経験上、こうした簡易ミキサーに内蔵してあるFXは、良い物が無い。ベーリンガーにしてもYAMAHAのミキサーにしても。 やはり専用のリバーブプロセッサーには劣る。「YAMAHAR100」は高い物ではないので、この程度の機能は標準でミキサーのFXに取り込んでおいてほしいものである。
これまでやらかした大失敗の一つに、このリバーブプロセッサーの接続先を間違えていた、ということがある。 ベーリンガのミキサーにはFXユニットの接続先が、AUX1とAUX2の2つある。そこで今までAUX1の方に接続していたが、これが間違いだった。 あとから仕様書を確認するとAUX1はプレフィーダー、AUX2はポストフィーダーとなっている。マイクとかライン入力のレベルコントローラに対して、それより前の音源を使うのがプレで、レベルコントロールされた後の音源を使うのがポスト。 直感的には、ポストフィーダーでリバーブをかけるものと分かっているが、何を思い込みしていたのか、これまで使っていたのがプレフィーダー回路の方であった。
どういう不具合が出るかというと、レベルコントロールをゼロに絞っても、プレフィーダーを使っているとそちらの方のレベルでマイクとかラインの入力音が流れてしまうこと。ハウリングとか音割れしていても、このことを勘違いして思い込んでいたので、どう調整してもうまくリバーブをかけられなかった。 |
|
|
《ハウリング》 | ||
室内では特にハウリングが起きやすい。セッティングする時間に余裕が無い時に調整に大いにあせったことがあった。どう調整してもピーピー・ワンワンとハウリングが止まらず、ハウリングを停めるには聞こえるか聞こえないかくらいにまで出力を下げるしかない。しかしそれではPAが無いのと同じ。
せっぱつまり、思い切ってイコライザ(HighとLow)をゼロにまで下げてみるとピタリとハウリングが止み、出力も十分に聞こえるほどに上げることができた。 この状態でもボーカルとかアコギのマイクで拾った音はそれなりには聞こえる。ハウリングに埋もれるよりはまし。
どうしても必要と思われる程度に出力を上げ、その後でイコライザをゼロから徐々に上げてハウリングが起きる手前で停める、というのも一つの調整のやり方かと思う。 |
||
《ミキサーが鳴らない》 | ||
あるとき、ケーブル類を繋ぎながら出力の具合を確かめている時に、一瞬ブツッという音がしたような気がして、それから全く音が出なくなった。
断線のあるケーブルを繋いでしまったからかと、1本ずつ繋いでいたケーブル外して様子をみて行ったが全く音が出ず。
最後には最小限の音だしができる状態にまでシンプルにしても駄目。
ついにミキサーが壊れてしまったかと、大いに焦った。
そして電源オフ。
まあ、ものの試しと再度電源を入れると、また順調に音が出始めた。
何らかの保護回路が働いて、音が出なくなっていたのかもしれない。どうにもこうにも音が出ないという時には、電源を一度オフにしてみるのがよさそう。 |