リュート・チューニングでメイジャー・シックススな曲を
ここでの内容は個人的な感想であり、
機能や効能を示すものでありません。
リュート・チューニングは、隠れたお宝チューニング。ぜひお試しを。リュート・チューニングにしてリュート風の曲を弾こうということではないのでお間違えなく。
リュートはご存知、ギターの原型となる楽器で、かのレオナルド・ダ・ビンチ(1452−1519)も愛用・演奏していた楽器である。ギターが現在の形になったのは18世紀に入ってからと言われて いるが、「動物の謝肉祭」のサンサーンス(1835−1921)がリュートを使った楽曲の編曲をしていたなど、リュートは古くて古くない楽器である。
リュートにも様々な形状・大きさのものがあり、弦の張り方も多種存在しているが、現在も現役で使われているリュートの代表格に8コース・リュートがあり、そのシンプル版が6コース ・リュートである。
ここでのリュート・チューニングはその6コース・リュートのチューニングである。ちなみに8コース・リュートは、6コース・リュートに2コースの低音弦が追加されたものである。 このリュート・チューニングはリュートでのスタンダード・チューニングを元にしている。 また、ギターでの5フレットがリュートでの開放弦の音の高さである。
※別の考え方をすれば、6コース・リュートの3コースを半音上げれば、ギターと同じコードで弾ける・・・ということ。(^^;) ギターのカポ5で1〜4弦だけを使えば、ウクレレの LOW G になる。
※コースというのは、一つの音として同時に鳴らす1本〜数本の弦の組のそれぞれを云う。通常のギターは各コースが1本の6コースであるが、12弦は各コースが2本の6コースとなっている。 複数の弦を張るとき、同じ高さの弦を張ったり、オクターブ違いの弦を張ったりする。楽器によっては1つのコースに3〜5本の弦を張るものもある。また、あるコースは1本で、あるコースは 数本という楽器もある。弦の張り方の全体として高い方から低い方に向かって1コース・2コース・・と呼ぶ。
※リュートには大別してルネサンス調弦とバロック調弦があり、ここでは前者を使っています。6コースのルネサンスリュートは1コース側から4度・4度・3度・4度・4度でチューニング。(参考:Wikipedia)。このページでは、この関係を6弦ギターに当てはめています。リュートの1コースがE、2コースがBという意味ではありません。
●チューニング
スタンダード・チューニングの3弦を半音下げるだけです。
1弦 E
2弦 B
3弦 G → 半音下げ → F#
4弦 D
5弦 A
6弦 E
スタンダードチューニングでは4弦5フレットと3弦開放を合わせていましたが、4弦4フレットと3弦開放を合わします。これにより、3弦5フレットと2弦開放が同じ高さということにもなります。
●コードポジション
スタンダードチューニングでのコードで、3弦だけを半音上に読み替えて押さえればOK。但し、コードによってはそれで押さえられないものも出てくる。
●あえてリュート・チューニングにする理由は、リュート・チューニングにして下図のコードを弾いてみると分かる。
【 参考音源 01 】 カポ5 (ピックアップで録っているので和音の繊細な違いまでは再現できていない)
コード進行でよく見かける、メイジャーでの半音ずつ下がってくるものであるが、スタンダードチューニングではA6がそれまでとは違う弦構成の押さえ方になってしまい、連続したきれいな半音下がりにはならない。もしそれがDであれば、スタンダードチューニングでも D Dmaj7 D7 D6 と連続している。
リュート・チューニングでは、Aについても同じ弦構成でのきれいな半音下がりができる。
●しかし、本当の狙いはそこではない。下図のコードを左上から Amaj7 A6 Amaj7 A6 F# F#sus4 F# F#sus4 ・・・ という感じで弾いてみてほしい。
オオッ! 何と美しい響き。 シ・・ラ・・シ・・ラ・・シ・・ラ・・シ・・ラ・・ という音が繰り返し出てきているのが分かる。
【 参考音源 02 】 カポ5 (ストローク)
【 参考音源 03 】 カポ5 (アルペジオ)
では続いて、同じことを、今度は1〜4弦のどれかを適当に開放弦にしたりしながら弾いてみてほしい。1本でも良いし、何本か同時でも良いし、その組み合わせはたくさんある。
さらには合わせ技で、1・2弦でのドレミのポジションも適度に混ぜながら弾いてみてほしい。
【 参考音源 04 】 カポ5 (ストラミング : うまく弾けていないが・・・ スタンダードチューニングではこのような感じの響きにはならない。最後のコードはA6。)
つまり、この4つのコード 「Amaj7 F# Bm E & シとラの組み合わせ ・・・」 の例を見てゆくだけでも、開放弦などを交えてのたくさんの和音が簡単に鳴らせると判るし、その響きはどれも素晴らしい。ナッシュビル・チューニングでの新鮮な響きとはまた違った、「大人のライト・ポップ」といった感じの音作りができる。
スタンダードチューニングからの変更は3弦を半音下げするのみで、元にもすぐに戻せる。ライブ・プログラムの途中で1曲、こんな感じでリュートチューニングの曲を入れると、客席からは驚きの声があがるかも。 「オオッ、凄いテク!いったいどんなコードを押さえているの」と。実はなんと言うことはない、すこぶる簡単なコードだけど、押さえ方が微妙にスタンダードと違うので、ギターフェチにも見分けられないかも。(^^;)
人に覚られないようにこっそりと半音下げを。チューニングではAあたりのコードを押さえて鳴らしておき、いきなり Amaj7 か A6 あたりから弾き始めよう。
●曲演奏音源
準備中