ギターインストのアレンジ 3
アコギ・インスト・ソロ
ここでの内容は個人的な感想であり、
機能や効能を示すものでありません。
ドヴォルザークの『家路〜新世界より〜』のインスト・アレンジをやってみた。 クラシック版のギター・アレンジではなく、誰もになじみのある童謡唱歌・ポップスの方の『家路』の部分である。
ネットで検索するとギター・ソロ・アレンジでの楽譜が見つかるので、『家路』をギター・ソロで弾いてみたい、という場合にはプロのギタリストがアレンジしているのを購入するのが良いかと思う。
アレンジに当たって、まずは小中学校で習い・歌った『家路』がアレンジのベースにあることとし、YouTubeでアップされているものを聴いて周った。メロディーについては、できるだけクラシック版でのものを踏襲してみようと思ったから。
前回のアレンジ2と同様、まずはメロディーの採譜から始めた。
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で、その前に、採譜やアレンジには、ギターのTAB譜が書けるソフトを利用するのが便利。 メロディーとか様々なパートを書いて、そのミックス音源を聞いて、書き間違いや、ここはこうした方がいいなという検討がやりやすい。自分で弾いているときには気が付かなかった ことに気付くことも多々ある。
有名どころでは Guitar Pro という有料ではあるが評価の高いソフトがある。試用版もあり試してみることもできるが、私のパソコンでは原因不明でインストールできなかった。もし使い勝手とか必要機能が自分に合っているようであれば、有料であっても購入対象とするソフトではないかと思う。
次点として、無料の Power Tab Editor があげられるかと思う。これは Guitar Pro の充実した機能と比べれば劣るとは思うが、今回のようなギター・ソロ・アレンジ検討目的であれば、充分利用できる機能が備わっている。何より動作が軽いのがよい。
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※ メロディーの重要ポイントを赤枠で囲んだ。ここは曲の出だしのタータタンというリズムではなく、タータータンである。 ※ PoweTab の印刷で Acrobat Distiller を指定して pdf を出力、これをスクリーン・キャプチャーし編集している。
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ギターコードは、フォーク調でのGとDとCだけという、いわゆるスリー・コードと呼ばれているシンプルなもので仮に書いている。
(T・W・X7でできたコード)。(DはD7でもOK)。
スタンダードチューニングでのDコードのベース音は4フレット開放という高い音になる。今回のようなG・Dが中心の曲の場合、ドロップDチューニングを使うのがよい。
下図はドロップDでのDコードの配置を示している。赤はローコード、緑は 2フレットCの形でのハイコードでのポジションを示している。青はルート音Dの長5度で、第2ルート音。
Dコード
下図はドロップDでのGコードの配置を示している。赤はローコード、緑は3フレットEの形でのハイコードでのポジションを示している。この時、Gのベース音は6弦5フレットに来るので、Gのコードフォームに は工夫が必要であるが、Gのローコードは2〜4弦が開放なので、これが活用できる。
Gコード
これら赤と緑・青を適宜組み合わせて、ベース音などを押えていく。
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さて、ベース音から加えて行くが、オーケストラ演奏の『家路』を聴くと、先に書いたスリーコードの単純なベース音ではないことが分かる。 さりとてオーケストラの音から単一のベースラインを拾い出すのはなかなかできることではない。 そこで、オーケストラの演奏に合わせて、自分でギターを弾き、それらしいベース音を探るということをする。
そして、1〜8小節まででのベースラインを次のように拾った。
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※ 赤枠で囲んだ6・7小節が、単純コードからの変更である。
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この部分のギターコード名は、全体に和音部分を加えるなどの装飾をほどこしたあと、ポジションが固まった時点で最後に 書き直す。
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和音部分は、メロディー・ベース音を弾くのに邪魔にならないように入れていく。 その第一候補は、メロディー・ベース音のスキマに入れていくということ。 4分の4拍子なので、裏拍子を数えると、1小節に8ヶ所、音を入れる場所がある。
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※ これは単純コードでの和音をそれらしく置いたもの。 |
この時点では、ベースラインと和音とで違和感がある。 |
※ ベースラインとメロディーに合わせて和音を変えた。
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3つのパートに分けたものを1つのパートにミックスすればギター・ソロ用のTAB譜が完成していくわけだが、残念なことに、Power Tab
では1つの五線譜上には異なる音の長さの音符を同じ拍子の位置に縦に配置できない。 高音部と低音部というように分ければ、それらは一つの五線譜上で縦に配置はできるが、ただし低音部は4〜6弦にしか配置できない。
3パートをミックスすると次のようになる。(ミックスは手書き)。
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TAB譜としてはこれで事足りると思うが、もしこの譜面でMIDIを鳴らした場合には、メロディーラインで音が充分伸びないことになる。
音を必要分伸ばすには、タイを使って音を連結してやる必要がある。
ただ、この面倒な操作をすることで、メロディーラインと和音とのダブりに気が付くことがある。上図で赤枠で囲んだ部分。
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※ タイでメロディーラインの音を伸ばしたもの。
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MIDI演奏の場合だと個々の音に強弱をつけて周るのは大変な作業となるが、実際のギター演奏ではメロディーの音が伸びているところに和音がダブる場合には、その和音を弱音で弾くとメロディーが伸びた感じと和音のピッキング(ピッキング・アタック音)との両方を表現することができ、それほど違和感がない場合 が多い。
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こうした具合で以降の譜面を作製して行き、出来上がったら何度も聴き直し、音の調子が悪いところはこまめに修正していく作業を繰り返す。
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YouTubeにMIDIで演奏したものをアップしている。 これはギター演奏を念頭に仕上げているので、上記のメロディーと和音とのダブりにはそれほど気を使っていない。
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