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採譜は楽しい

ここでの内容は個人的な感想であり、

機能や効能を示すものでありません。


ギターを始めた高校生の頃、ボチボチと「完全コピー版」なる譜面が出回り始めてはいたが、およそ信用できないものだった。

あとで知ったところによると多くは音大の学生がアルバイトで採譜したものとのこと。音大生の採譜であるから譜面としての完成度は高いが、場所によっては他の楽器の音と混じって音がうまく聞き取れなかったり、ギターという楽器をよく知らずに聞き取ったためか、音が違っているということがしばしば。

その後、ギターのプロが採譜したのか、TAB譜も含めてまず完全といえるものも出てくるようになったが。

 

ギター弾きは誰もが同じと思うが、レコード盤を聞いての採譜が欠かせなかった。近くにギターを教えてくれる人・教室があった恵まれた人は、より早く・多くを学べたと思うが、それでも自己採譜は欠かせなかったのではと思う。

 

私もかなり採譜をやったが、あとになってわかったのは、その多くが違うポジションとかフォームで弾いていたということ。

演奏しているアーティストの正確なカポ位置・キーが分かれば、採譜はもっと正確に近づいていたかと思うが、それを知る手立てが私にはなかった。ギター雑誌などに記載されたコード譜は曲のキーを使ってのもので、実際のギター演奏でのキーとは 異なるものが多数。

あるいは外国の有名なフォーク曲では変則チューニングで弾いていたものも少なくなく、S&Gの最近の譜面でもスタンダードチューニングで採譜した完全コピーではないTAB譜が出回っている。

 

最近また、採譜するのが面白くなってきた。ギター・ソロの採譜である。

 

「花」/岸部眞明オリジナル

「風の詩」/押尾コータローオリジナル

「きよしこの夜」/岡崎倫典アレンジ

「ふるさと」/岡崎倫典アレンジ

 

これらの曲に共通しているのは、曲のテンポがゆったりしていること。

 

YouTubeで左手・右手の動きが見られるので、音だけの採譜とは違う、よりアーティストの演奏に近いものを採譜できる。

TAB譜だけで学ぶよりも、映像を見て学ぶ方が、実際、演奏が楽になるということが多い。何もアーティストは無理して難しい弾き方をしている訳ではなく、それなりに押さえやすい左手のポジションを使って演奏している。TAB譜には左手のポジションとかフォームが記されていることはまずないから、TAB譜だけを追っていると、妙に小難しいポジションになってしまうことも少なくない。

 

曲の内容にもよるが、リズム系のギター・インストでないポップスの場合には、多くはコードを中心に演奏が組み立てられている。

ギターのチューニング、カポのポジション、演奏のキーが分かり、そしてコードが分かれば、かなり採譜はやりやすくなる。

YouTubeの演奏ではコード以外は分かるので、コードを意識しながら採譜すると、採譜が早い。

 

YouTubeでの採譜では、1小節ずつあるいは1フレーズずつ、まずは音を聞き、左手のフォーム(フォームが明確でなければ指のポジション)を眺め、そして右手でピッキングする弦を確認し、自分で同じように弾いてみて、正しく採譜されたらTAB譜に書き込む、という手順になる。

 

フィンガースタイルでの演奏では、ギターコードを丸々押さえることは少なく、コードの演奏に必要なポジションだけをフォームとして押さえることが多い。

それとは逆に音としては弾かないポジションを押さえるということもある。弦の振動でコードにない音が雑音として鳴るのを防ぐ意味で軽くミュートしたり、ピッキングはしないが和音が裏鳴りしているような響きを出すために左手だけ押さえるということもある。

これらはYouTubeの映像ならではの採譜である。

 

TAB譜用印刷シート(JPG)

 

左手フォーム用印刷シート(DOCファイル)