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ギターコード・ボキャブラリー

ここでの内容は個人的な感想であり、

機能や効能を示すものでありません。


ローコード ・コア・シフト形

 シンプルなローコードをコア(芯・核)として、実用的な数多くのハイコードを取得・身に付ける方法を説明していきます。 これは特別なことではなく、ハイコードを身につけている人の頭の中ではごく普通の出来事です。ここでは「ローコード・コア・シフト形」と呼んでいますが、定番の名称はないかもしれません。ごく当たり前の出来事なので。

 

 ちなみに、コード名を調べる時には、最近は

http://www.all-guitar-chords.com/chord_name.php

を利用しています。但し、ここは maj7 系のが出てこないことがあるので、その場合は他のサイトと併用して・・・。

 

 

 さて、 言わずと知れた、ローコードをハイフレットにシフトしていくやり方ですが、ただ闇雲にコードをシフトしても、なかなか覚えられず身につきません。まずは体系的に整理し 、その後で実践用に個別に整理し、実践の中で頭に入れていきます。

 

 簡単なものから、

・マイナー・コード

・メイジャー・コード

・セブンス・コード

・その他のコード

と大きく4つに分け、それぞれで理解していきます。

 

◆マイナーコード◆

 

 ローコードでのマイナー・コードは、Am Dm Em の3つです。

 

 先に、Dm に注目(黒丸はルート音)。

 

 

 左図が普通の Dm ですが、構成和音を入れ替えると中央図にできます。ハイコードで1〜4弦を Dm 型で押さえる時の形です。普通の Dm を人差し指・中指・小指の3本で押さえ、薬指を足した形。さらに低い方の補助のベース音Fを加えると右図になります。人差し指でバーをし、5弦は人差し指でミュートします。右図を良く見ると Amaj7 の形にそっくりで、Amaj7 を半音上げした 、B♭maj7 です。違いは5弦を弾くか弾かないか。

 

 Dmには中央の図の形があることを覚えておきます。

 

 次に、Em のポジションを見てみます。

 

Em のポジション

 

 

 上図のコードポジションをグループ化し、赤枠で囲むと、下図のような3つのグループができます。12フレットで 一巡しますから、右側の12フレットのグループは一番左のグループと同じです。

 

      Em のポジション

 

 よく見ると、左から、

開放弦のグループ ・・・ Em形

3フレットのグループ ・・・ Dm形

7フレットのグループ ・・・ Am形

の形であることが分かります。もちろん、手が大きな人だと、2フレットを人差し指でバーしてのローコードの Dm を押さえる形を加えてもOK。

 

 もし求めるのが Dm であれば3フレット目から、Am であるなら7フレット目から考えていけば、それらのハイコードが取得できることになります。

 

Dm

 

Am

 

 Em に戻って、隣り合う4本の弦でのグループに分ければ、

 

 

のような4つなど、たくさん出てきますが、これらは使う機会があるときにその都度覚えていけば いいでしょう。

 

 Em Dm Am 以外のマイナーのハイコードを取得する場合、例えばよく使うマイナーコードである Fm は Em が半音上がったものですから、Em のポジション図を1フレットずつ上げていけば取得できます。以下、他のマイナーコードも同様です。

 

◆メイジャー・コード◆

 

 ローコードには A C D E G の5つがあります。

 

 A D E の3つについてハイフレットへのシフトを見て行きます。

 

A

 

 

D

 

E

 

 Aの型グループ、Cの型グループ、Eの型グループの3つが主なグループになり、その他に もDの形、Gの形のグループ(漢字のワ冠のような形のもの)も見つかります。

 

 手が大きい人だと、人差し指でバーをしてのローコードの D あるいは G の形のものも押さえることができるかもしれませんが、最初は1〜4弦だけに限定して使っていくのがいいかと思います。

 

 A D E 以外のメイジャーコードのハイコードは、上記の図をフレットシフトして取得します。

 

◆セブンス・コード◆

 

 メジャーのローコードは A7 B7 C7 D7 E7 G7 の6種類もあります。

 

 メイジャー・コードでは C と D は同じ仲間のグループに属していましたが、C7 D7 は左手のポジション上、別々のグループになります。

 

 セブンス・コードは前述のようにメイジャーの3重和音に短7thの和音が加わった4重和音なので、メイジャー・コードにさらにポジションが加わります。(セブンスの音がどこにあるのかは、ルート音の全音下ですから簡単に見つかります。)

 

         A7のポジション

      ●ルート音、○ルート以外の構成音、□7th

 

 A7のポジションを書き出すと上図のようになりますが、こうなるとグループ構成はたくさんありすぎて、分別するのが大変です。

 

 主には、

A7の型グループ

B7の型グループ(上図の11・12フレットで、2弦はミュートする)

C7の型グループ

D7の型グループ

E7の型グループ

G7の型グループ(2・3フレットの1〜4弦)

の6種類が見つかります。

 

 ※ メイジャーコードでの7thコードは、メイジャーコードに7th(短7)の音が加わったものです。ですからもし7thの音を強調する必要がなければ、7thを除いた、普通のメイジャーコードで済ますこともできます。maj7も同様。

 

 ※ マイナーコードの7thも同様に、7thを強調する必要がなければ、普通のマイナーコードで済ますことができます。maj7も同様。

 

◆その他のコード◆

 

 その他のコードについては、これまでと同様にして探せば、主となる型グループは見つかるということで、ここでの説明は省略します。

 

◆実践◆

 

童謡唱歌の『ふるさと』を例にしてみます。

 

作詞:高野辰之 作曲:岡野貞一

C   G       C    C7
兎 追いし かの山

F     C       G    C

小鮒 釣りし かの川
G     C     F      C
夢は 今も めぐりて

Em     Am     F / G    C

忘れ がたき ふ るさ と

 

仮にコード進行が上のようであるとします。『ふるさと』の演奏ではスリーコードでのC・F・G7だけを使ったものが一般的かもしれませんが。

 

歌詞そして旋律は、1クールが起承転結型になっているようにみえます。その説明は省略し、1と2フレーズは穏やかに、3フレーズで盛り上げ、4フレーズで哀愁を含んだ変化でゆるやかに終わるのが、演奏としてよさそうです。

 

コード進行としてこれを行うには、1と2フレーズはローコードで、3フレーズはハイコードで、4フレーズはハイコードとローコードを交えて、という具合にやります。

 

3フレーズ目。

Gのローコード・コア・シフト形のハイコードには、3フレットバーのE、5フレットバーのD、7フレットバーのCがあります。

 

それらを仮に

G(3-E)

G(5-D) -- あまり使わないが・・

G(7-C)

と書くこととします。

 

同様にCでは

C(3-A)

C(5-G) -- あまり使わないが・・

C(8-E)

 

Fだと

F(3-D) -- あまり使わないが・・

F(5-C)

 

これを左手が楽な範囲で

 

G(3-E)   C(3-A)   F(5-C)   C(8-E)
夢は    今も    めぐり   て

 

と選んでみました。

 

同じように4フレーズ目も

 

Em(7-Am)   Am(5-Em)   F(5-C) / G(3-E)  C

忘れ      がたき    ふ る    さ     と

 

としてみました。

 

まとめると

 

C   G       C    C7
兎 追いし かの山

F     C       G    C

小鮒 釣りし かの川

G(3-E)   C(3-A)   F(5-C)   C(8-E)
夢は    今も    めぐり   て

Em(7-Am)   Am(5-Em)   F(5-C) / G(3-E)  C

忘れ      がたき    ふ る    さ     と

 

 

こうした感じで何曲かやって行く内に次第にCは(3-A)、Fは(5-C)といったことが身についてくる。

 

ただ、こうした表記は書くスペースをたくさん必要とするので、ある程度身に付いた時点で、私の場合、

 

C   G       C    C7
兎 追いし かの山

 

F     C       G    C

小鮒 釣りし かの川

 

3G    3C    5F      8C
夢は 今も めぐり  て

 

7Em   5Am     5F / 3G   C

忘れ がたき  ふる さ  と

 

というように、バーのフレット位置(・・拡張して、押さえる一番下のフレット位置)の数字を、コード名の前に上付きで記すようにしている。(数字が付いていないのはローコード。)

これにより、同じCでも、ローコードのCなのか、あるいはどのハイコードのCなのか区別が付く。

 

◆逆引きハイコード◆

 

 ここでは任意のコードのハイコードを見つけることをやります。

 

『おぼろ月夜』

作詞:高野辰之、作曲:岡野貞一


    G          G        Em              G
菜の花 畠(ばたけ)に   入日(いりひ) 薄  れ
  G       Em         C               G 
見渡す 山の端(は)   霞(かすみ)  深 し
  C       Em      Bm          D7
春風 そよ吹く  空を  見れ ば
  G       Em       C / D7   G
夕月 かかり て  匂い 淡  し

 

仮に上のようなコード進行にしてみました。

 

そして、これを2台のギターで弾くとして、1台目はローコードのまま、もう1台はハイコードだけ使うこととしてみます。(別のやり方として、2台目はフレットの高い位置でカポをつけ、使用コードのキーを変えてローコードを弾くというやり方もあります。)

 

 

 さて、まずはGのハイコードを探すことをやってみます。

Gのルート音を指盤で示すと下図のようになります。1〜3弦は今は考えません。

 

ローコードでのメジャーのコードは前に書いたように、A C D E G がありました。

 

           

 

この中で、

6弦にルート音があるもの ・・・ E G

5弦にルート音があるもの ・・・ A C

4弦にルート音があるもの ・・・ D

なので、

 

6弦3フレットをルートとするものには

G(3-E) と ローコードのG

5弦10フレットをルートとするものには

(7-C) と (10-A)

4弦5フレットをルートとするものは

(5-D)

と、見つかります。

 

この内のどれを使うかは、コード進行での他のハイコードとの関係で押さえやすいものとか、1台目のローコードのギターと響きがよいものなど、いろいろ選択肢がありますが、私の場合まず最初に使ってみるのが(7-C)です・・・経験的に。

 

 バーをしてのDとGは訓練を重ねないと押さえるのが難しく、(10-A)はハイコード過ぎてこれもまた押さえるのが難しいということがありますが、1台目がローコードを弾けばそちらでベース音が入るので、2台目の方はベース音を除外して、例えば1〜4弦だけを弾くというやり方ができます。コードによっては2〜5弦あるいは3〜6弦など。

 

 2台で弾く場合、1台目がローコードで伴奏を、2台目がリードをということもよくありますが、リードの旋律を弾いていない時はこうした感じでハイコードの1部(1〜3弦、1〜4弦、2〜5弦など)をピッキングしていることが多いものです。

 

 

 同様にして、Emを考えた場合、ルート音の配置は

 

 

のようになり、マイナーのローコードは Am Dm Em の3つで、

6弦にルート音があるもの ・・・ Em

5弦にルート音があるもの ・・・ Am

4弦にルート音があるもの ・・・ Dm

であり、先のGと同様に

 

Em  (2-Dm)  (7-Am)

 

あるいはDmを変形したもの

 

 

を使って、(3-Dm) が見つかります。

 

 他のコードも同じようにして見つけていけばOK。

 

◆まとめ◆

 

やり方をまとめると、

1.そのコードでのルート音を探す。

2.それがメイジャーならメイジャーのローコードを、それがマイナーならマイナーのローコードを、そのルート音の位置 (ルート音が同じ弦のもの)に当てはめていく。

3.6弦全てを使って弾く(6弦全てを押さえる)のではなく、6弦のうちの一部を使って弾くやり方もある。その場合、指4本で押さえられるなら無理してバーをする形で押さえなくともよい。

 

 ベースを弾く人はおよそ、何弦何フレットがどの音である、CであるとかGであると覚えています。ギターのうまい人も、ベース音を入れる関係からか、4〜6弦について何フレットは何の音というのを覚えているようです。

 

 中級者だと誰でも、これこれのローコードのルート音は何弦の何フレットというのが無意識に身についていると思いますが、それにプラスして4〜6弦の開放から 10フレットあたりまで何弦何フレットが何の音というのが頭に入っていれば、メイジャー、マイナーの一般的なハイコードは即座に分かる、ということになります。

 

 

4弦にルート音があるもの ・・・ Dm

4弦にルート音があるもの ・・・ D

 

5弦にルート音があるもの ・・・ Am

5弦にルート音があるもの ・・・ A C

 

6弦にルート音があるもの ・・・ Em

6弦にルート音があるもの ・・・ E G

 

例えば、5〜8フレットあたりでハイコードを弾こうと思った時、そのコード進行が

C  Am   F  G

であれば、

C(3-A) C(8-E),  Am(5-Em),  F(5-C),  G(5-D) G(7-C)

がすぐに見つかります。