世界基準のバランス感覚、HIGH and MIGHTY COLORの魅力

REPORT レポート  
ランキング解説
最新アルバム『傲音プログレッシヴ』がオリコン初登場7位!
世界基準のバランス感覚、ヘビーロックとポップを融合させたHIGH and MIGHTY COLORの魅力
 2006年4月5日に発売されたHIGH and MIGHTY COLORのセカンドアルバム『傲音プログレッシヴ』が、4月5日付けのオリコン・デイリーチャートで初登場7位と好スタートを切った。ロングセラーを記録したメジャーデビュー・シングル『PRIDE』から、まだ1年と3か月に満たないにもかかわらず大きな人気を集める、HIGH and MIGHTY COLOR(以降、ハイカラ)の魅力を探ってみた。

前身は、メタリカのコピーバンドだった
 まず、ハイカラの前身バンドに当たる“アンチノブナガ”について触れておこう。メタリカのコピーバンドから始まったアンチノブナガは、アメリカを中心に盛り上がるヘビーロック、あるいは地元・沖縄のラウド系バンドの流れをくむものだったらしい。そして2003年、マーキーの加入を機にHIGH and MIGHTY COLORと名前を変えたバンドは、本来持っていたメロディアスさとポップ性を前面に打ち出し、プロデューサーには打ち込みを得意とするHALを起用し、バンドサウンドとデジタルの融合を進めた。

 2005年1月26日に発売されたメジャーデビュー・シングル『PRIDE』は、アニメ「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」のオープニングテーマに抜てきされ、オリコン初登場2位を獲得したうえに、新人としては異例の30万枚というセールスを記録する。7弦ツインギター+リズム隊が織りなすサウンドは、ヘビーロックとポップを絶妙にブレンドしたもので、そこにデジタル・サウンドを導入することによって楽曲の世界観はよりドラマティックなものになった。『PRIDE』のほかに『OVER』『RUN☆RUN☆RUN』『Days』の3枚のシングルを収めたファーストアルバム『G∞VER』でその世界観は結実したものになり、オリコンチャートで初登場8位を記録している。

イノセントな女性ボーカルとヘビーロックの両立
 ハイカラの“売り”である男女ツインボーカルにも注目すると、ハイテンションなラップからデス声(編集部注 / デスメタルなどのジャンルで使われる、獣のようにうなり叫ぶ歌唱法)までというユウスケの変幻自在なボーカルは、バンドのアグレッシブさに拍車をかけ、時にはあどけなさの残るボーカルでマーキーを後押しすることもある。そして、ヘビーなサウンドのなかで可れんかつ凛(りん)とたたずんでいる彼女は、さしずめ荒野に咲く一輪の花といった感じで、イノセントな女性ボーカル+ヘビーロック・バンドという組み合わせは、『ブリング・ミー・トゥ・ライフ』(『フォールン』収録曲)の大ヒットで世界的な成功を収めたエヴァネッセンスをほうふつとさせるものがある。最近はマーキーがファッション誌の表紙を飾るなど、ロックバンドのボーカリストのイメージを打ち破るビジュアルとファッションは女の子からも熱く支持され、ライブ会場には彼女のスタイルをまねたファンが数多く見受けられる。

 2006年1月、オリコン初登場2位を記録したシングル『一輪の花』がそうだったように、『傲音プログレッシヴ』でマーキーの歌の存在感が占める割合はますます大きくなったといえるだろう。ちょっぴりセクシーなナンバーもあれば、乙女モード全開のポップ・チューンもいくつかある。それでいてメンバーそれぞれの主張もぬかりなく、メロディを大前提としたうえでロック・バンドとしてもさらなる進化を遂げている。世界のメインストリーム(主流)をひた走るスリップノットやリンキン・パークをはじめとする先人たちから、ヘビーロックとポップ性を高い次元で両立させることを知らず知らずのうちに教わった彼らは、3月にアルバム『G∞VER』で全米デビューずみ。すでに世界基準のバランス感覚を持ち合わせているのである。


(文 / 岡部昭彦)
HIGH and MIGHTY COLOR
 
HIGH and MIGHTY COLOR
マーキー(ボーカル)
最新作紹介
傲音プログレッシヴ 傲音プログレッシヴ

オリコン初登場2位を記録したシングル『一輪の花』を含む、計14曲収録のセカンドアルバム。「GO ON」「轟音(ごうおん)」「傲慢(ごうまん)な音」という意味の「傲音(ごうおん)」と、「プログレッシヴ(突き進む)」をあわせたタイトル通り、ヘビーで疾走感ある1枚。

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