歌について3 まぁすったもんだあって、ある専門学校のミュージシャン学科ヴォーカ ルコースに進学する事になったのさ。それほど大きい学校じゃなくて、み んな仲が良くてほんわかした学校だったね。でも僕は今ほど社交的じゃな くてさ。友達と呼べるような人は3,4人くらいしかいなかった(笑)。 それでも、最初の方…最後の方まで高い声が出るボーカルとして動物園 の動物みたいな感じで、悪い意味じゃなく重宝されてた気がする。今思え ば、もっと真面目に授業受けていればなぁって思うよ(汗)。 ここではもちろん、音楽的な理論はもちろん、音楽の歴史とかの授業も あったし、ドラム科、ベース科、ギター科、ヴォーカル科が集まって演奏 の練習をする、アンサンブルっていう授業もあった。でも、やっぱり僕に とって一番有意義だったのはヴォーカルの実技授業だったよ。ここで先生 が教えてくれた事って、スゴクためになった。…って気づいたのは卒業間 近になってからだったけどね(笑)。 この手の専門学校って、夏休みが終わると生徒が激減するんだ。ビック リしたよ。みんな、自分が求めていたものと違うっていう理由で学校をや めていってしまうんだ。…僕も、これはなんか違うなって感じてたんだけ ど、中退できる勇気なんかないわけで(笑)。でも、みんなやめていってし まったおかげで、6,7人で受けるハズのヴォーカル実技授業をひとりで 受ける事ができたりして、その辺はお得だったかも(笑)。 この学校での2年間で僕のヴォーカルのスタイルは70%くらい確立され たと思う。それは、卒業間近にUPしたこの音源を聞けば分かるんじゃな いかな(笑)。入学当時の歌唱に比べたら、ちょっとは成長してるんじゃな いかと思うんだ。…どうだろう(笑)? 入学当時、凄く有頂天になっていた僕は、日本で僕に勝るヴォーカリス トはそんなにいないとさえ思っていた。…実際に思っていたのだから、腹 がよじれるほど愚かな考えだよね。そんなんあるわけねぇだろっつーの! 学校内でバンドとか組んで自分の歌っている音源を聞いて、悦に浸ってい る自分。今思うと、ホント恥ずかしい…(笑)。 でも、ある時ふと思ったんだ。もし、自分の歌が店頭に並んだらどうな るんだろうって。僕の敬愛するストラトヴァリウスやハロウィンとかと、 同じ棚に自分の歌が入ったCDがあったらどうだろうって。そう思った時 僕は、「ありえない」と思った。だって、そういう棚に自分の歌の入った CDを入れるには、ハロウィンぐらいの歌を歌わないといけないって事じ ゃん?頭の中で僕は、僕の歌と、マイケルキスクの歌を並べた。…本当に ありえない!このとき、「ありえない」と思えてよかった。 ひょっとして、自分は、自分で思っているだけで、本当は凄い下手くそ で、愚かで自信過剰な歌唄いなんじゃないか。本当に上手かったら――。 結局、井の中の蛙だったんだ。この事に、ちょっとでも気づけただけで も、学校へ行った甲斐があったと思うんだ。 こういう考え方になってから、だんだんと見える世界が変わってきた気 がする。いろんな音楽をほんのちょっとずつ受け入れられるようになった しね。当時はそれこそ、メロスピの早い曲しか聞けなかったからさ(汗)。 …ひょっとしたら、本人がそう思っているだけで、他の人達にはそう見え ないのかもしれないけど。テープレコーダーを使うまで自分の歌の酷さに 気づかなかったのと同じようにね。ひょっとしたら5年後の僕は今の僕を 腹がよじれる程恥ずかしがっているかもしれない。 ――ちょっと話しがズレちゃったね(笑)。ええと…専門学校に通い始め てからは、僕はますますマイケルキスクの歌唱に惚れこむようになった。 ハロウィンのカラオケCDを買ってからというもの、キスクに挑戦する日 々が続いてた。どうしても歌えなくて、挫折しかけたときもあった。悩ん で、苦しんで、でもやっぱり好きで歌い続けていたよ。途中、ラプソディ のファビオリオーネのオペラティックな歌声に惚れこんだ時期もあった。 キスクの歌い方は自分には合わない!と思ってオラフヘイヤーに浮気した 時もあった。でも、結局はキスクみたいに歌いたいって思って…。何度も 浮気と復縁を繰り返してたね(笑)。 学校卒業してから、なんとか親を説得してフリーターになった僕は、本 格的にバンド活動をしようと動き始める。インペリテリのコピーバンド、 メロディックメタルバンドのユニヴァース、ブラインドガーディアンのコ ピーバンドのマジェスティ、ホライ○ン等、いろんなバンドで活動してい たんだ。結局ユニヴァースに落ち着いて、活動していたんだけど、方向性 の違いでユニヴァースを脱退することに。その頃、僕は歌自体をやめよう かと悩んでいた。学校を卒業した直後はものすごく声がよくでていたのに その頃は全然出なくて、精神的に参っていたんだ。 当時、声が出なくなったのは年齢のせいとか喉を痛めたせいとか思って いたんだよね。ホントはそうじゃなくて、喉や腹を含む体の使い方が間違 っていたからだったんだ。それに気づくのに、約1年半かかった。間違っ た体の使い方のまま歌っていたせいで、その体の使い方で固定されてしま ってそこから戻すのが凄く大変だったんだ。学校卒業してすぐインペリテ リのコピーバンドをやってたんだけど、その頃は無意識に、とてもいい体 の使い方をしていて…。その頃の音源は今でもよく聞くけど、ホントいい 感じなんだ。でも、無意識だったからさ。それよりも良くなる歌い方を探 して、間違えた体の使い方にしちゃったとき、元に戻す事ができなくなっ てしまったんだね。昔歌えていた歌が、歌えなくなった。その時の絶望感 って、ホントにすさまじかった。これ以上、自分が納得できない歌を歌い 続けるんなら、辞めた方がいいと思っていたんだよね。 ここを見てくれている人達なら知っていると思われる、セブンシーズに 僕が加入してからも、スランプは続いていたんだ。でも、だんだんと調子 を取り戻して、今年の3月くらいには、インペリテリをコピーしてた時と 同じくらいの調子で歌えるようになったかなぁって感じる☆ ホント、今まで我慢してきてよかった。調子戻らなかったらマスタマの コピーなんてぜってー断ってたしね(笑)。調子戻っても歌えてないけどさ (汗)。…今だから言えるけど、今年のはじめ頃、本当に七海を辞めようと 思っていたのさ。これ以上僕がこのバンドにいても、このバンド上にいけ ないって。そんな風に思ってひとりで塞ぎこんでしまうほど悩んでいたん だよね。僕よりももっとかっこよくて上手い人ならいくらでもいるワケで さ…。そういう人達にヴォーカルをやってもらった方がメンバーも喜ぶと 思っていたんだよ。実際に、メンバーからも、先輩からもいつも俺の歌に ついてお叱りを受けていたからさ。 でも、こう思うのって、僕のひとりよがりなのかなあって。バンドやっ ている人って、みんなこういう悩みを抱えているんじゃないかなって…そ う思った時、「俺みてぇなボーカルでもバンドに居ていいんだ」って広い 意味でそう思えて。ぶっちゃけ、むしろ、「好きなんだから続ければいい や!」みたいな良い意味で投げやりな風に考えちゃって(笑)。そうして今 にいたるわけだけど…。また話しが脱線しちゃったね(汗)。 ええと…セブンシーズに入ってからの僕の歌…。そうだなあ…最近では 日本語を歌うことに昔ほど抵抗はなくなってきたかも。歳を重ねるごとに 聞く音楽の嗜好も変化してきて、去年なんかはカントリーミュージックと ユーロビートを聞く毎日が続いていたし、今年に入ってからはなぜか知ら ないけどField Of Viewをよく聞いている。歌い方も、だんだんだけど変 わってきて…ないかな(笑)。でも、だんだんと理想の歌声の形が変わって きているのは確か。昔も今も変わらない。理想の歌声に近づけるために、 今日も僕は歌の研究を続けるんだ。少しでも前に進む為に、今日も「歌を 考える」のさっ。 ホムペリニューアル記念で3本立て続けにUPしたコラムだけど、次回の UPまでは多分ちょっと間が空くと思う。まったり更新する予定だょ。。 もっと感情の事とか歌詞の事とか語りたいことがあったんだけど、とり あえずこれで一端打ち切り。他の話しはまた別の機会に…。 |