下りの汽車で降り立つ駅は
南の風と潮の香り
乾いた駅の古いベンチ
思わせぶりのすももがひとつ

 相変わらずのふだん着のままで
 失礼しますと町が言う

昔なじみはすれちがうごと
向こうの街はどうかと聞く
聞かれるたびにうつむきかげんの
背すじ伸ばしててれ笑い

 恥ずかしがる肩の後から
 何しにきたかと夕立が言う

夏が盛りのこの町は
青い顔と緑のからだ
めぐる季節がまた過ぎて
想い出になる頃また来ます

 甘える想いはお互いさまよ
 元気でやりなと母が言う
 元気でやりなと母が言う

 僕の田舎(いなか)は鹿児島県阿久根市で、
今でもこの曲を歌うたびに“失礼してます”
と謝り半分頭を下げます。そしてまだ僕の故
郷(まち)は“元気ですか”と声を掛けます。
僕の故郷(まち)よ、僕は今も元気です。