コラム Let It B研 第4回


「ジョージの隠れた魅力」

先日、部員同士で話していると、ビートルズで一番真面目なのは誰か?という話題になった。
その時は、おそらくジョージだ、ということに落ち着いた。
真面目だからこそインドにもあれほど傾倒してしまったのだろうし、なかなか自身の才能を発揮出来なかったのだろう。
そのジョージの真面目さは彼の隠れた魅力のひとつであると思う。
もっとも、ジョージの一番の魅力は、その真面目さを含んだ彼の人間くささだと個人的には感じている。
ジョンとポールの二大巨頭の狭間で最も大変な立場だったのかな、などと勝手な心配をしてしまうような類の人間くささだ。

例えば、映画「ハード・デイズ・ナイト」で、オープニングのシーンでマジでずっこけている。
しかも後ろから追いかけてくるファンにまで遠慮されて足をゆるめられてしまっている。
同映画内の「If I Fell(恋におちたら)」のシーンで、ギターを弾きながらアンプにもたれかかるものの、またずっこけてしまう。
しかもこれまた、マジで、だ。
そんなジョージを愛さずにはいられない。

その映画の撮影で知り合ったパティ・ボイドと恋におち、めでたくゴールイン。
しかし、ホワイトアルバムのレコーディングなどを通じて、パティは親友のエリック・クラプトンとデキてしまう。
あんまりな話だ。
だって我々の立場に無理矢理置換するなら、TIBLAの真っ最中に、自分の恋人が他大学の学生とライブそっちのけでいちゃついているようなもんでしょう?全然違いますか。
ところで、パティがいたから「Layla」という名作が創られたのだし、ジョージ、クラプトン共に彼女を想って書かれた曲は他にも多い。
実は、パティはロック界における陰の立役者ではないのか。
妄想です。話を元に戻します。
その後パティと離婚。
彼女はクラプトンと後年になって結婚した。
その結婚式に駆けつけて祝辞を述べたジョージ。
「ありがとう」とパティとエリック。

…え、ジョージさん?

この件に関して世間では、「男と男の友情は素晴らしいぜ!」といった森田健作的理論が一般化されている気がしなくもない。
もちろん美しい友情もあっただろうが、一人の女性を巡って大のミュージシャン二人がここまでハマってしまったという点において、ドラマを感じる。
だからこそ二人を語る際には絶対外せないエピソードなのだ。

クラプトンに至っては薬物中毒やアル中になってしまうほどで、「神」と呼ばれしギタリストも好きな女の前ではただの男なんだな…と、筆者ごときでも同情してしまう。
それに劣らず、結婚式で「おめでとう」と言ってしまうジョージも間抜けなほど健気でいじらしい。
おそらく祝福出来たのはクラプトンの本気っぷりを見てしまったからかもしれない。
親友に嫁さんを取られて、それでも「ちくしょー」と言えない情けなさと親友への優しい気遣いが彼の人間味を強く感じさせる。
ずば抜けた天才ぶりからかジョンやポールにはあまり感じられず、かといってリンゴほどほんわかしていない、いち男としての人間くささだ。
それが彼の曲に表れている。
それこそがジョージの魅力であると思う。

そんなジョージは2001年11月29日、58歳の若さで亡くなってしまった。あまりにも若すぎる。
ちょうどその頃、クラプトンは来日ツアー中で、日本武道館で公演の最中だった。
当日ライブを観に行っていた部員の話では、クラプトンはジョージの死を知っていたはずだが、普段通りに共作「Badge」を歌い上げたそうだ。
心中察して余りある。
ジョンと共にどうか安らかに眠って下さい。

ちなみに、別の日のライブがNHKのBSで録画放送されましたが、そこでは「ジョージに捧げます」と言っていました。
「コンサート・フォー・ジョージ」も必見です。
合宿までの宿題?

2006.08.09 36期IT係


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