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10日、サックスだけのコンサートが、無事(?)終わった。 演奏の出来はさておき、とりあえずはコンサートを開けた、ということを素直に喜び たいと思う。
大学の吹奏楽団をもうすぐ引退する僕達にとって、常に気にかけていることが2つあっ た。ひとつはもうほぼ解決済み。もうひとつは、サックスだけのコンサートを開く、 というものだった。
僕らがいつも在籍している団では、どうしてもアンサンブルをする環境というものが 整っていない。バンドだから当然といえばそれまでだが、真剣にアンサンブルをしな いで、バンドが上達するとは、僕には思えない。往年の指揮者、ジョージ・セルがいっ た言葉だが、「オーケストラは小さなアンサンブルの集合である」。人間だって、最 小単位の細胞が集まってひとつの体を作っている。それと同様だと思う。
だからこそ、無理にでも、そういった発表の場を作って演奏する必要があった。でな ければ、バンドにとっても、個人にとっても、これほど不幸せなことはない。
アンサンブルの喜び、、、。それは何者にも代えがたいものがある。自分の出した音 がストレートに音楽に反映され、それはまるで生き物のように表情を変える。僕達は、 まるで魔物のようなそれに憑かれ、魅惑され、時に幻滅する。そんな、アクティヴな 音楽というものを、アンサンブルを通じて後輩にも伝えたかったし、体感させたかっ た。勿論、自分達にも。
本番の数日前、アヴェ・ヴェルム・コルプスを合わせていて、不覚にも僕は泣き出し てしまった。別に、失敗をしたのではなかった。純粋に、音楽ができる喜びに、泣い た。涙が止まらなかった。
不安があったのは確かだった。練習量の不足、1週間前になってもあがらない編曲 (申し訳ない!)、自分の指のこと、精神的なもの、、、。いつの間にか、そんなこ んなで頭が一杯になっていた。そんなときに、4本のサックスの響きが染みいってき た。
本当に、素敵な仲間に恵まれた、心からそう思う。大袈裟ではなく、皆がいなければ 僕はここまで来れなかったと思うし、こんなに幸せな想いをすることはなかったと思 う。今回のコンサートは、はじめの一歩に過ぎない。それこそプレリュード(あぁ、なん てベタな、、、)。正直、終わってしまってほっとした反面、言い様のない漠然とし た寂しさがあった。もうこれで終わりなのかな、という。そう言うと、クァルテット のテナー吹きに言われた。「アンサンブルコンサートなんて、何回でも開けるやんけ」 。
確かに。感謝を込めて。当日来て下さった方に、支えてくれたみんなに、これからも一緒に吹 き続けるであろう仲間に。
そして、音楽に。