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2002年9月26日19時開演(18時30分開場)
3回目のコンサートをしようと言い出したのはいつのことだったか。
予想通りいつものメンバーが集まってしまった。
大学での4年間の締め括りとして、無謀にもソロに挑戦することにした。
しかもミヨーの『スカラムーシュ』。
TSEの始まりは、ファミレスでの何気ない雑談。
この曲はプロのサックス四重奏団、トルヴェール・クァルテットのために編曲された、ミュージカル作曲家、アンドリュー・ロイド・ウェバーの作品を集めた作品である。
ウェザー・リポートは1970、マイルス・デイヴィスのバンドにいたジョー・ザヴィヌルとウェイン・ショーターの2人を中心に「新たな即興音楽の創造」を掲げて結成されたグループである。
中期以降はベースのジャコ・パストリアスが参加し、三頭によるテクニカルでグルーヴィなサウンドが次々とヒットを収めていく。
彼らのサウンドはファンタジックにしてスリリングであり、その音楽のカテゴリーもいわゆる「フージョン」というよりは、即興と音響を重視した「プログレ」と言ったほうが近い気がするのは私だけだろうか。
魚、星、宝石、夢、鳥、虹、天使をそれぞれ題材にした7つの楽章からなるピアノ四重奏曲『アリルシャ』。
今回取り上げる『融けてゆく夢』はその間奏曲にあたり、夢の融けゆくアンバランスな感覚が、上下に揺れるメロディーの波の中で回帰される幻想的小品である。
ピアノが静かに和音を連打するなかを、ただただ美しい旋律が淡々と紡がれてゆく。
本来はヴァイオリンとピアノで演奏されるこの作品であるが、本日はサクソフォンとピアノの編成でお送りする。
旋律の波間をただよう弦の、しなやかな響き。
この美しさを、サクソフォンの持つ優雅で多声性で歌うことができたらと思う。
コンポーザーにして広範囲の音楽に精通した理論家、そして自身のバンドの指揮者と、多方面で活躍するマイケル・ナイマンの名を作曲家として知らしめたのは『英国式庭園殺人事件』や『ピアノ・レッスン』に依るところが大きい。
彼の作風は一聴するとミニマルの手法に基づいているように見えるが、そこにはモンテヴェルディからシェーンベルクまでの西洋伝統音楽の系譜や、ジョン・ケージから20世紀のアヴァンギャルドの流れ、そして最近では民族的な旋法の導入など、時間・空間を超えた様々なシステムが用いられ、このイギリスの作曲家の存在を独特なものにしている。
いわゆる「クラシック」音楽的文脈における「現代音楽」と「コンテンポラリー(同時代)音楽」の隔たり。一見しても矛盾を孕んだこの文章のままの状況へのカウンターパンチ。それが『アトム・ハーツ・クラブ・クァルテット』である。吉松隆はこのユニークな作品についてこう語っている。
吉松は、実質的なデビュー作『朱鷺に寄せる哀歌』以降、いわゆる「現代音楽」の非音楽的な傾向に反発しながら、「クラシック」音楽シーンに、5つの交響曲をはじめ様々な作品を発表している。しかし、ちょうど武満徹がシャンソンへの嗜好を抱き続けたのと同様に、1953年に生まれた吉松の同時代の音楽はプログレッシヴ・ロックであり、フリージャズであったのは当然のことであり、アルゼンチン・タンゴの革命児アストル・ピアソラについて、「同時代に生きている最大の作曲家」と述べていた事にも頷ける。
つくば市立図書館アルスホール(0298-56-4311) 入場無料
[演奏曲目]
[Program]
スカラムーシュ(D.ミヨー)
Scaramouche
/河野伸裕(Alt.) 前川奈津美(Pf.)
セレナード・ヴァリエ(R.クレリス)
/杉森公一(Bar.) 前川奈津美(Pf.)
私の愛したロイドウェッバー(A.ロイドウェバー/宮川彬良)
/Quartet + 前川奈津美(Pf.)
バードランド(J.ザヴィヌル)
/Quartet + 前川奈津美(Pf.)
融けてゆく夢(吉松隆)
/佐藤智哉(Alt.) 山本拓郎(Pf.)
精霊のうた(M.ナイマン)
/小笠原明子 鷲岡みさと 北村理佳(Chorus)
細越一平(Sop./Ten.) 前川奈津美(Pf.)
アトム・ハーツ・クラブ・クァルテット(吉松隆)
/Quartet
《アンコール》多少華やかな円舞曲(吉松隆)
/Quartet + Pf.
「コンサートホールから街角まで」をテーマに幅広く演奏活動を行ってきたツクバ・サキソフォン・アンサンブル(TSE)。
3回目の自主公演となる今回は、クァルテットと独奏を織りまぜての演奏会になります。奏者の個性を活かした独奏では、
サキソフォンの運動性・機能性を余す事なく盛り込んだ『スカラムーシュ』、
フランスのエスプリを隠し味に、軽妙な小品『セレナード・ヴァリエ』、
現代日本の作曲家吉松が「ただ美しい旋律を書きたかった」という『融けてゆく夢』、
映画『ピアノレッスン』の作曲家としても有名なマイケル・ナイマンが、
シェークスピアの詩に霊感を得た『精霊のうた』を。
クァルテットでは、『エビータ』や『ジーザスクライスト・スーパースター』といった有名ミュージカルを作曲したアンドリュ−・ロイド・ウェバーのメドレーと、
一斉を風靡したフュージョングループ、ウェザーリポートのナンバー『バードランド』。
「クラシック」の垣根を超えて、私たちが聴いてきた音楽、そして今、「誰かに」伝えたい音楽ばかりです。
□曲目詳細(プログラム・ノート)
スカラムーシュ
この曲は元々ピアノ2台連弾のために作曲されたが、その後作曲者本人によりサックスとオーケストラ版、サックスとピアノ版、とアレンジされている。
曲は第1楽章 Vif、第2楽章 Modere、第3楽章 Brazileira, Movement de Samba の3楽章から構成されており、急−緩−急の典型的なソナタ形式をとっている。
第1楽章は非常にユーモラスなメロディーが次々と現れて、ミヨーの持つ遊び心一杯のエスプリをふんだんに散りばめた、難曲である。
第2楽章はゆったりとした優しげな旋律がサックスとピアノの掛け合いで冒頭に奏され、若干の動きを持った中間部を挟んで、曲の後半に冒頭の旋律が再現される。
旋律はピアノによって、あたかもコラージュ(貼り絵)のように表されている。
3楽章は標題にもあるように、サンバ風の曲調である。
非常に快活な元気の良い曲で、ここでもミヨーの親しみやすい感を受けるが、ミヨー独特の希有な和音の構成、またそれによるパッセージなども随所に見られる。
曲を通してソロと同様、もしくはそれ以上にピアノに比重が置かれており、もしかするとソロよりピアノのほうが難しいのではないだろうか・・・。いやサックスも十分難しい。(河野伸裕)
その内容はあまり定かではないけれど、思いつきに過ぎなかったのは間違いない。
「構想5秒(+ボクの実働4時間)で」という記録がホームページに残っている。
とりあえずホームページを立ち上げようってことになり、まだ天久保にあった細越の部屋に、ノートパソコンを持ち込んで1ページ目をつくった、2000年7月24日が、TSEの出発点だったのかもしれない。
いつの間にか3年目。ウェブサイトのカウント数も、7700を数えている。
ファミレスであの時交わした会話では、ミレニアムまでに10000カウント!って言ってたっけ。
2年遅れで8000まで行ってないってことは、あと2000増えるまでがんばれって、ことか。
本日の前半に演奏する、『セレナード・ヴァリエ』は、バリトンサックスのソロ。
アンサンブルとして独立してから、多くの曲を演奏してきたけれどいつも伴奏ばかりなので、珍しいことです。
練習をしていると他の3人がこの譜面を覗いてきて、それぞれ嫌がらせのように吹きはじめるのが癪に障るのだが、ソロを吹けるのもめったにないことだから目をつむります。
フランスの印象派の影響下にある、美しく、かわいらしい小品です。おたのしみに。
(杉森公一)
ロイド・ウェバーは「キャッツ」、「オペラ座の怪人」、「エビータ」、「ジーザス・クライスト・スーパースター」等のヒットでも知られ、常に新しい音楽を取り入れ、その異才を十二分に発揮している。
「ジーザス〜」作曲当時の70年代初期、ロイド・ウェバーは若干22才(!)。
メジャーになりつつあったプログレッシヴ・ロックの影響を強く受けていたと思われる。
今回演奏するメドレーは、そういった作品の中でも、親しみやすい曲を集めたもので、ロイド・ウェバーのヒットメーカーとしてのキャラクターが充分に楽しんでもらえるはずである。
サックスのクァルテットとピアノによる演奏は意外にも(?)今回が初めてだったが、どうやらいい感じにまとまってきた。
個人的には「ジーザス〜」の曲が非常に好みなのだが・・・。
いずれのミュージカルも激しくオススメ。一見の価値あり。(河野伸裕)
今回は彼らの代表的なナンバー『バードランド』を取り上げる。(佐藤智哉)
ただモテたくて始めたサックスだけど、もう今となってはサックスなしの生活なんて考えられない。です。
最後に、今回ピアノ伴奏をこころよく引き受けてくれた山本拓郎(たっくん)に感謝。(佐藤智哉)
Ariel Songs(精霊のうた)は、シェークスピアの詩にインスピレーションを得たもので、もとはソプラノとピアノのために書かれた。
これを、ナイマンのバンド(彼の作品を演奏するために組まれた、小オーケストラにサクソフォン・クァルテットを入れたようなユニークな編成)に在籍するサクソフォン奏者ジョン・ハールがソプラノとサクソフォン、ピアノという編成で演奏しており恐らくは作曲者自身も了解済みであろう、、、ということを拡大解釈し、今回は女声合唱とサクソフォン、ピアノという編成で演奏する。
この曲の持つ透明な空気を、女声合唱によって更に感じて頂けるのではないかと思う。
『精霊のうた』は4曲から成る。そのどれもが静かな美しさをたたえて趣深い。
なお、今回演奏するにあたり、合唱は筑波大学混声合唱団から小笠原明子さん、鷲岡みさとさん、北村理佳さん、ピアノはPantaleonの前川奈津美さんにお願いしました。
急な話だったにも関わらず快諾頂いたことに、この場を借りて感謝!です。
僕自身改めて、人の声の美しさを実感することができました。(細越一平)
この曲、フル・ネームを「ドクター・タルカスズ・アトム・ハーツ・クラブ・クァルテット」(直訳すれば「タルカス博士の原子心倶楽部四重奏曲」)という。
これはもちろん、クラシックからロックンロールまでの人類すべてを混合させたビートルズの傑作アルバム「サージェント・ペッパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」(直訳すると「ペッパー軍曹の傷心倶楽部楽団」)のもじり。これに70年代プログレッシヴ・ロックの名作であるエマーソン&レイク・パーマーの「タルカス」とピンク・フロイドの「原子母(アトム・ハート・マザー)」、そしてイエスの「こわれもの」を加え、それをさらに手塚治虫の「鉄腕アトム」の十万馬力でシェイクしたのが、この作品である。
全体は4つの楽章からなり、第1楽章は変拍子が全開のプログレ風アレグロ。第2楽章はちょっとイヤラシめのバラード風アンダンテ。第3楽章はつま先立ちでこそこそ逃げるコキュ(間男)のスケルツォ。そして第4楽章はスラップスティック(ドタバタ)風ブギウギ。
では、我々にとって「同時代の音楽」とはいったいなんだろう? 「クラシック」音楽の世界の人間から生み出される「現代音楽」への関心が失われて久しい。ならば聴衆は何処へ行ったのか? ある者はロックに揺さぶられ、ある者はジャズに酔い、アンビエントに包まれる者もいれば民俗音楽に嗜好を満たす者もいる。そういった音楽の多様化の中で、先に述べたような狭義の「現代音楽」は、およそ「同時代の音楽」とはいえまい。
吉松ははじめ、この曲を弦楽四重奏のために書いた(初演は1997年夏、モルゴーア・クァルテットによる)。『アトム・ハーツ・クラブ・クァルテット』というおよそクラシックから程遠い音楽を、弦楽四重奏という最もクラシックなフォーマットに投入したところに、「現代音楽」の反逆児吉松の真骨頂がある。この乱恥気騒ぎの余韻にあるのは、失われた「現代」への嘆きだろうか、それとも透明な(音楽にも似た)希望への叫びだろうか。(細越一平)
ポスター
フライヤー
[会場案内] 東京駅八重洲南口から高速バス「つくばセンター行き」(1時間) JR土浦駅西口から関鉄バス「筑波大学中央行き」(30分) いずれも「つくばセンター」にて下車、北方面に徒歩3分 詳しくは、つくば市立図書館ホームページをご覧ください。 車でお越しの方は、センター周辺の駐車場(中央第1・第2)をご利用ください。 |
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