TSE サキソフォン・コンサート
多数のご来場を賜り、終演致しました。
アンケートにご協力下さった方も多く、好意的な感想に暖かく包まれております。
メンバー・関係者一同、心より感謝致しております。
1時間という小さなコンサートでしたが、メンバーにとっては
記念すべき一歩を踏み出すことができました。
今後もご支援くださいますよう、お願い申し上げます。
2000/10/12 ツクバ・サキソフォン・アンサンブル
C. A. ドビュッシー/中村均一 :ベルガマスク組曲より 1.プレリュード
C.A.Debbusy/K. Nakamura : I. Prelude from "Suite Bergamasque"
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ユージン・ ボザ:アンダンテとスケルツォ
E. Bozza : Andante et Scherzo (1957)
ロベール・クレリス:かくれんぼ
R. Clerisse : Cache-Cache
マイケル・ナイマン :ソングス・フォー・トニー
M. Nyman : Songs for Tony (1993)
ヴォルグガンフ・A・モーツァルト/富岡和男 : アヴェ・ヴェルム・コルプス
W. A. Mozart/K.Tomioka : Ave Verm Corpus
三浦真理 :サクソフォーン4重奏のためのティータイムの画集より 3.夢の中で
M.Miura : III. In a Dream from "Teatime Album for Saxophone Quartet"
(1989)
吉松 隆/細越一平 : プレイアデス舞曲集より フローラル・ダンス、
リーフレット・ダンス、多少華やかな円舞曲
T. Yoshimatsu/I.Hosokoshi : Floral Dance, Leaflet Dance,
Slightly Bright Waltz from "Pleiades Dances"
坂本龍一/細越一平 : 戦場のメリークリスマス
R.Sakamoto/I.Hosokoshi : Merry Christmas Mr.Lawrence
10月8日(日)13:30開場 13:45開演
筑波大学隻峰祭 ホール企画
筑波大学大学会館小ホール
たとえば、C・A・ドゥビュッシーの『プレリュード』。 ことあるごとに奏でてきたこの曲を、僕たちは今まで一度も満足に吹ききった試しがない。
この曲に取りかかってから1年が過ぎ、宴会場からきちんとしたホールまで、四季を通じて響かせてきた余韻は、
常に僕たちに落胆を与え、自らの無力さを悟らせるには十分だった。でも、いまだに、僕たちはアンサンブルというものに失望していない。
むしろ、その悦びは何者にも代えがたいものとして、日増しに大きくなっていく。
アンサンブルはスリリングだ。特にクァルテットの場合、4人の音は裸のまま白日の下に晒される。
当然のように、楽譜のひとつひとつの音に繊細な感覚が求められる。 しかしそれが逆に僕たちに、生きている存在としての音楽と、それを生み出す自分自身の責任を改めて教えてくれる。
日頃バンドの中で吹いていると、時にそのような感覚を忘れてしまっている自分に気付く。
惰性が個の埋没を囁き、全体の響きを鈍化させてしまう。「死んでしまっている」音楽のぬけがら。
アンサンブルへの欲求はそんななかで自然に沸き上がってきた。幸い、下手の横好きで、サックスを吹くのが三度の飯より好きな人間がいた。
あとは、深く息を吸い、4本の葦を震わせればよかった。
その頃からメンバーは入れ代わり、次第にレパートリーのようなものも出来はじめ、「やっぱり経験やで」という言葉に導かれて、
憑かれるように吹く機会を探した。何度も衝突し、そして寝食を共にした。
どうしてそんなにサキソフォン・アンサンブルに惹かれるのだろう? 響きにただ身を委ねるのではなく、
その響き自体を自分たちの手で生み出している、その感覚がたまらないのだと僕は思う。しかし、それ故に失望は大きい。
朧げながらに理想のかたちは見出せるのに(それすらも日々変わっていくのだが)、常にそれは霞がかるほどに遠くにあり、
まるで近づいているのかわからない。そして、決定的に、僕たちはお世辞にも楽器がうまいとはいえない。
残念ながら。
それでも、ある一瞬、自分たちにも信じられないような響きが生まれるときがある。
まるで雨上がりの虹のように、それはとても脆く儚い瞬間なのだけれど、その感覚が、僕たちを捉えて放さない。神様がくれる御褒美なのか、悪魔の蜜なのか、それはまるで媚薬のように。
だからこそ、僕たちは余韻のなかに、諦めよりも確かな何かを見出せるのだと思う。
(プログラム・ノートより) |
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TSUKUBA SAX.ENS.<saxkimmy@hotmail.com>
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