2.マウスピースをあてる角度

 トランペットと他の楽器を学ぶにおいて最も違う点は、最初に音を出す段階に大きな比重をもってくるという点です。そこですべてが決まってしまと言っても過言ではないでしょう。「鳴らす」という感覚が固定概念として出会い頭に形成されてしまうのです。僕の場合180度今と違う発想でしたから。
 本当に上手くなりたいのでのなら忍耐強く我慢し、奏法に大きな問題があるのならすべての活動を停止することです。しかしながらそこまでやれる人は非常に少なく、少しずつ時間をかけてごまかしながらというのが現状の様です。特にそれで収入を得ている人や学校に通っている人は家族や他人をも巻き込んでしまうので、その選択は大変難しいところです。しかし何もかも捨ててそれに生きようというのなら答えは簡単です。

 さて、いよいよ本題にはいります。マウスピース(トランペット)の角度ですが、以下に示すように歯(骨格)の影響が大なんですが、唇も当然関わってくるのでその辺は十分考慮して下さい。角度についての最大のポイントは「唇の血の流れを止めない」という事です。「息の流れ」も重要ですが、唇が決まらないと話になりません。

 僕が見てきた日本人の中で最も多いタイプで、唇の上下に対する圧力を考えた場合、やや下向きになるのが自然でしょう。このタイプで分厚い唇の人は中に唇が入り過ぎてしまうので、音がこもりがちになったり、コントロールが窮屈になるのを防ぐために深いカップを使っている人も多いです。僕のように下顎を突き出す(上下の歯を揃える)という方法もありますが、リスク()が大きいのでよく研究してからでも遅くはないです。

 このタイプは一般的には結構多いと思いますが、僕が見てきた中には僅かしかいません。確かにリスクが大きいと思うので、全体のバランスにもよりますが、上下に均等に圧力がかかるようにするのが無難だと思います。マウスピースの圧力で唇が後退し、開きやすくなるので、その点も注意が必要です。
 こういう歯の人の為にトランペットが造られたのだと言っても過言ではないです。白人のトランペッターに最も多いのがこの形だし、あらゆる音色、ジャンル、人種においての成功例も多いです。マウスピースを一点で支えることがないため唇への負担も少なくてすみます。下顎が多少前後に融通が利くので、音域によって楽器の先端を上下させる人が多いです。ただ有利な点が多いということは、落とし穴も多いということになりかねません。あくまで基本的な事を忘れないことです。
 以外と多いタイプで、唇を内側に巻き込みやすく、プッシュして楽器の角度(大抵上向き)をかえるとハイトーンが出やすい(唇が引っかかってマウスピースの浅い部分に息があたるため)ので高音病(自分をハイノート・ヒッターだと勘違いする病気)の人が多いです。メロディーがきれいに吹けてはじめて高音が生かせるんだと思います。ですから、できるだけプッシュしないで、息、唇を有効に使いましょう。バランス良く演奏出来る為の基本練習を大切に。
 これもdと同じような兆候が見られるんですが、角度が上向きになるので吹いているうちに上唇が完全に死んでしまいます。そうかと言って角度を下げ過ぎると下の歯が当たって下唇が駄目になってしまい、中低音が出にくくなったりピッチが高くなってしまいます。上下のバランスの良い所をはやく見つけて固定させることが先決でしょう。ポイントが狭い反面、常に唇に集中しているのでそれだけ音色に神経を使うようになるでしょう。コンプレックスは一つの才能ですから。

 *自然な状態ではなくなるので上唇の筋力が弱くなることがあります。