+++ 指板オイル等についての考察 +++

一般に楽器店等で売られている楽器用オイルは数種類有りますが、
主にクリーニングに使われるのは2種類有ります。

1:指板の汚れ落しなどに使われるレモンオイル
レモンオイル レモンオイル2
主だった所では、フェルナンデスブランドなどが有名でしょう。
各社色んな触れ込みや、成分などを工夫しているようですが、私はフェルナンデスの物を愛用しています。
レモンオイルは、粘度が低く揮発性も高く残留物が比較的少ないので,指板クリーニング以外に金属パーツのクリーニングにも使えます。
揮発性が高いのでそぽの分保湿性は低いと思います。(詳しいデータをお持ちの方お知らせください)
ラッカーの楽器のクリーニングには塗膜の種類によっては使える物と使えない物が有ると考えられます。
ラッカーの楽器の塗膜には使わない方が賢明でしょう。もし使うなら目立たない所で試してから使いましょう。
但し、通常のポリッシュ同様、クラックが入った塗膜には厳禁です。 海外では家具の手入れに使われたりしているようです。

2:指板を保湿する為のオレンジオイル
オレンジオイル オレンジオイル2
こちらもフェルナンデスブランドの物を良く見かけますが、私は左のHOWARDの物を愛用しています。
オレンジオイルは、粘度が高く揮発性がそれほど高くないので、保湿性に優れていると言えます。
しかし揮発性が低くクリーニングには向いていません。楽器の場合、指板以外の部分に使う事はまず無いでしょう。
以前、管楽器のリペアマンがクラリネットの管体の修理、手入れに部分的に使っていらっしゃいました。

3:実際の使用法と手順
実際にこれらのオイルを指板に使用する方法ですが、下記は私の手順としての記述します。
いろんな考え方をする人も居ますし、指板の状態なども考慮して使い方は臨機応変です。

★準備する物★
ウエス マスキングテープ大小(臨機応変)歯ブラシ ティッシュペーパー 爪楊枝 綿棒

●●ローズ・エボニー指板の場合の手順●●
1:指板以外を簡単にマスキングします。
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2:レモンオイルを適度にティッシュに含ませて、指板に散布します。
 ↓
3:汚れている部分を重点的に歯ブラシを使って汚れを掻き出す。
 (この時、かなり歯ブラシによってオイルが飛び散るので注意)
 ↓
4:汚れを全部掻き出してフレット脇などもチェックする。
 ↓
5:ティッシュで表面のオイルと汚れを出来るだけ拭き取る。
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6:オレンジオイルを保湿の為散布する。
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7:4、5分放置の後、余分なオイルを拭き取る。
 ↓
8:汚れの残りをチェックして問題が無ければ完成。

●●メイプルなどの塗装指板の場合の手順●●
1:指板以外を簡単にマスキングします。
(指板塗装が剥れて生地が出ている場合は、その部分も出来るだけ覆うようにする)
 ↓
2:レモンオイルを適度にティッシュに含ませて、指板に散布します。
 ↓
3:汚れている部分を重点的に綿棒、フレット脇を爪楊枝を使って汚れを掻き出す。
 ↓
4:汚れの残りをチェックしてよければ、オイルの油分を全て拭き取って完成

4:オイルフィニッシュの手入れ
●●オイルフィニッシュとは・・●●
オイルフィニッシュとは亜麻仁油やウレタン樹脂などを生地に染み込ませて塗膜を得る方法です
生地に浸透して硬化した塗料は塗膜を作ることなく、(作る事も可能ですが)生地そのままの仕上がりになります。
木目、生地を生かした風合いの為、楽器ではエキゾチックウッドを使用した楽器に主に使われています。
このフィニッシュの利点は、生地と変わらない手触りの為、非常にナチュラルで高級感を得る事が出来ると言えるでしょう。
ただ、この塗装の欠点は、非常に汚れがつきやすい事が挙げられます。
汚れたら、汚れた部分をサンドペーパーなどで研磨して落とす事になります。
これは、そう何回も行える事ではありません。(そのうち形とか変わっちゃいますしね)
この塗装は、汚れて当たり前!これも風格!と思って諦めましょう・・・
ただ、楽器としてのコンディションを保つ為には普段の手入れはやはり必要で、それをする為のワックスという物があります。
カルナバワックス2 カルナバワックス
これです。椰子の樹脂を利用して作ったカルナバワックスという物ですがで多少高価ですが、 利用価値の高いワックスといえます。
少し大きめの画材屋さんやホームセンターなどで購入可能です。
  • カルナバワックスの成分等詳しくはこちらで


  • ●●手入れの方法●●
    この種類の塗装の楽器は、弾いた後、乾拭きするということが非常に重要になってきます。(これはどんな楽器にも言える事ですが)
    この塗装はどんなに気を付けていても使っているうちには、いずれは汚れてしまうのです。
    これから記述するのは、汚れや油脂が染み付いて黒ずんでしまうのを少しですが遅らせて手入れをする方法です。
    1:汚れがたまってしまった部分にレモンオイルを塗り、汚れを軟化させます。
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    2:浮いてきた汚れを、きれいに拭き取ります。
    (賛否は分かれるでしょうが、ホワイトガソリンなどで汚れを浮かす方法も「有り」だと思います)
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    3:拭き取る際の注意ですが、力を入れて汚れを深追いしない事が重要です。
    (深追いすると、かえって汚れを生地に刷り込むことになります)
     ↓
    4:カルナバワックスをきれいな布に適量取り、生地に刷り込んでいく様に散布する。
     ↓
    5:4,5分放置の後、余分なワックスをきれいな布で拭き取る。
     ↓
    6:問題が無ければ完成

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