YMO Live
YMO live

未発表曲入2枚組ベスト盤が出たり、どっとリマスター再発されたりして、盛り上がっている(か?)YMO。便乗する訳ではないが「公的抑圧 (Public Pressure)」をはじめとして、YMOのライヴについての一考察。

今は亡きアルファからはライヴ盤も乱立気味に多数出されたが、最初に世に出たのが「公的抑圧」だった。YMO絶頂期(早くもあれから20年...)チャートで1位になるなど売れまくったアルバムである。個人的にYMOはライヴ向きではないと思ってたし、渡辺香津美のギターがカットされてる不完全なものはいらない、と当時は買わずにいた。後年、ギターが復元された2枚組「フェイカーホリック (Faker Holic)」が出たこともあって、もはや不要盤との認識だったのだが、大村憲司さんが亡くなられた後、彼(又は渡辺香津美)が参加したYMOのライヴ盤を聞き直す機会があり、その際、「公的抑圧」と「フェイカーホリック」とはどう違うのか、というのが気になりだし、発売からほぼ20年後、ついに購入に至った。

Public PressureYMO Public Pressure YMO Faker HolicFaker Holic

コロムビアからの「抑圧」により、香津美のギターをまるごと消去し、教授のシンセで代用しているということで、聴く前の悪感情はあったもののこれが意外とイケる。さすが教授、見事にギターの穴をカバーしてる。音数の多い香津美とは対照的な吟味されたフレーズ(音色も良い)。"Rydeen" を聴き比べてみると良く分かる。この差し替えのおかげで当時あれだけ売れたのかも。ギターが排除されてシンセが全面に出たことによってそれまで引きずっていたフュージョン色が払拭され、テクノポップとして一般にもわかりやすい形で広まった、と。

"Cosmic Surfin'" はライヴではスタジオ版と大幅にアレンジが違い、別の曲のように聞こえる。"Solid State Survivor" は「公的抑圧」ではエンディングに印象的なシンセのフレーズが聞けるのだが、「フェイカーホリック」には入っていない。

クレジットによれば「公的抑圧」収録曲のギター入ヴァージョンが聞ける盤は
・Venue の4曲→「Faker Holic」disc 1
・Bottom Line の3曲→「Faker Holic」disc 2
・Greak Theater の1曲→「Live at Greak Theater 1979」
最後に入ってる変なMCは東京でのもの。

ほぼ「フェイカーホリック」と元は同じはずなのだが、ウェブを見てみると、「フェイカーホリック」が単純に無修正版である、とは言い切れないらしい。YMOのライヴCDには数々の「フェイク」があるってこと? マニアではないぼくのようなものにはよくわかりませんが...

ついでに、その他のライヴ盤を以下にまとめてみる。

渡辺香津美参加:

Live at Kinokuniya-Hall 1978

YMO Kinokuniya-Hall 1978 極初期の1978年12月10日、紀伊国屋ホールで行われた「アルファ・フュージョン・フェスティバル」でのライヴ。ピンク・レディーの "Wanted" のカヴァーが聴きもの。
YMO Greak Theater 1979

Live at Greak Theater 1979

1979年8月、LAでの初の海外公演。「公的抑圧」"Cosmic Surfin'" の頭に入ってるのと同じMCがここにも。


大村憲司参加:
YMO World Tour 1980

●YMO World Tour 1980 (2CD or 3LP)

1980年10〜11月のロンドン、パリ、LA公演から。"Maps" (「春がいっぱい」所収)では大村憲司がヴォーカルをとる。"All You Need Is Love"、バッハのインヴェンションのカヴァーあり。LPにのみ“磁性紀−開け心”(フジカセットのCM曲)収録。(写真はLP)

Live at Budokan 1980

1980年12月27日、日本武道館での凱旋ライヴ。テレビで放映されビデオも出てるが、どれも同一音源とのこと。曲間がいちいちフェイドアウトするという雑な作りが顰蹙を買った。

YMO Winter Live 1981

上記の他に、BGM〜テクノデリック期のWinter Live 1981、散会ライヴAfter Service」「Complete Serviceなど。これらの音源を改めて聴き直し、ライヴにもそれなりの良さがあるなあ、と再認識した次第。



おまけレヴュー
YMO 大村憲司 春がいっぱい

●大村憲司「春がいっぱい

1980年録音で、YMOが全面的に参加している。当時のYMOに近い感じの("Nice Age" やユキヒロの「音楽殺人」に近い)ニュー・ウェーヴ風ヴォーカル曲とインストが半々。タイトル曲のオリジナルはシャドウズ。YMOのツアーで歌っていた "Maps" 収録。ジョージ・ハリスン(&ロン・ウッド)の "Far East Man"(好きな曲だ)のカヴァーあり。"Inaudible"“磁性紀−開け心”の元曲か?。お気に入りは "The Prince Of Shaba" (シバの女王のもじりでシャバの王子?)。ユキヒロの "水泳教室の美人教師" のような明るい歌謡曲風ギター・インストに胸キュン(死語)。
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