カセット・テープからCD-Rへとメディアを移行して続いてきた選曲・編集シリーズ、時代の変化に伴い今回はとうとうMP3プレーヤー(iPod)のプレイリストという形になり、曲数・時間もCD10枚分くらいになった。で、今回のテーマは、懐かしの流行歌(主に歌謡曲、ただし演歌を除く)。全200曲+1、トータル11時間54分!
ついこないだまでクラシック偏重と思ってたら...行くとこまで行ってしまった(笑)。これは iPod の影響が強い。やはり iPod はクラシック向きではなく、短い曲(洋楽オールディーズとか)を詰め込んだジュークボックスとしての使用が適していると思う。ポップ・ソングが次々と出てくる方が楽しいからね。だからプログレもあまり入れてないしジャズも少ない。最近ではディスコものをガシガシ入れて聴いていた。そうして下世話な音を気持ち良く感じる下地が出来てきたのかもしれない。洋楽オールディーズを一通り入れたら今度は日本のも入れてみようという気になり、オムニバス盤を数種類借りてきた。そしたらハマった(笑)。昔は聴いてるのが恥ずかしくてバカにしたりしてたのが、久しぶりに聴いてみると懐かしくて涙が出そうになる。やっぱりぼくはポップ・ソングが好きなんだよな〜と改めて確信した。
そこで思いついたアイディアが、(ある程度以上の世代なら)誰でも知ってる有名な曲を200曲集め(もちろん好きな曲重視で)、年代順に並べたプレイリストを作る。さらにそれを1枚のMP3CDにブチ込む、というもの。なんとも壮大かつ無謀に思え、実現するか不安だったが、1〜2週間で完成した。曲数稼ぎも兼ねてテレビ番組の主題歌やCMソングを散りばめたり、長い曲はできるだけ短縮ヴァージョンを使った。なければ作った! [edit] とあるのがそれ。イントロをカットしたりして。例えば、「ラムのラブソング」(うる星やつら主題歌【No.150】)は2番をカットして放送時と同じ構成にした。雑多な曲の確保には、年ごとのヒット曲が詰まった「青春歌年鑑」というシリーズにかなりお世話になったことを記しておく。
【No./曲名/時間/アーティスト名/アルバム名/年】
始めは幼少の頃リアルタイムで聴いていた子供向けの曲をいくつか。【No.2】オラは死んじまったダ♪。【No.3】手塚アニメ「悟空の大冒険」エンディングテーマ。このシングル盤はお気に入りで繰り返し聴いていた。胸がキュンとなる。【No.4】も手塚アニメ。今聴くとフランス・ギャルとの類似性が感じ取れる。エンディングテーマの「幸せをはこぶメルモ」も優しさに溢れた超名曲&名唱(囁き声にゾクゾク)。【No.9】誰もいない海♪。【No.10】さよならと書いた手紙♪。【No.14】これイイ!この世界に入り込んでしまうとどん底に落ち込む危険性もあるんだが…。作曲・早川義夫。【No.14〜15】は歌詞の繋がり具合が妙にスムーズで恐ろしいほど(笑)。【No.16】間奏の弦が格調高い。【No.18】大滝詠一による三ツ矢サイダーのCMソングは「スター誕生」の合間に流れていたそうだ(覚えてない)。【No.19】あなたを待つのテニスコート♪。【No.24】感動の名曲・名唱。こんな曲をひとつでも残せたら幸せだろう。たとえその後すっかり消え去ってしまっても。【No.32】テレビ(スター誕生?)での圧倒的な歌唱が印象に残っている。【No.34】ぎーらぎーら太陽が♪。【No.39】(写真)こんな曲があったなんてすっかり忘れてたのに30年ぶりに聴いて懐かしさが募ってきた。独特の不思議な曲調は都倉俊一作曲。何度も聴いてしまった。これは今回の歌謡曲探索における最大の収穫のひとつだ。
【No.40・46・53】といった語りモノやコミカル・ソングはガキに受けた。歌詞が面白ければ音楽はどうでもよかった。【No.45】子供ながら妙に色気を感じたものだ。お姉さま的な雰囲気に憧れたのかも。【No.50】ねーあなーたここにきーて♪。これも懐かしいな〜。【No.56】これっきりこれっきり♪。【No.61】が達郎の声を聴いた最初かもしれない。「CM全集」で発見したときは嬉しかった。【No.63】は子供向けソングとしては異例のメガ・ヒットを記録。【No.55】ピンク・レディー衝撃のデビュー、そして怒濤の快進撃!一連のコンセプチュアルな歌詞と過激な振り付けはガキどもを魅了した(ぼくはミーちゃんが好きでした (^^;)。【No.79】は大滝詠一が「Let's Ondo Again」でパロディ化(「河原の石川五右衛門」当初未発表)、【No.80】はYMOが極初期のライヴでカヴァーしてる(@紀伊国屋ホール)。振幅の激しさ・声色変える演劇的要素(しかも刑事もの)・サピの高揚感など諸々の要素が一曲に凝縮された「ウォンテッド」が最高傑作ではないか。ここが頂点だったようで、この後はややマンネリ化が見られ、阿久悠/都倉俊一コンピを離れてアメリカ進出した辺りからは人気も一気に下降して行く。余談だが、後期シングルで高橋ユキヒロが曲提供してたのを最近知って驚いた。
【No.82】アニメのテーマ曲がジャズ風インストなのは画期的だった。しかもカッコいい。小学校でも大人気。そして【No.83】の大人っぽさにトキメキ。【No.86】の素晴らしさを再発見。高品質なAORとして今でも通用しそう。【No.87】とんでとんでとんでとんでとんでとんでとんでとんでとんで♪。【No.88】70年代のアイドル時代がここで終わった感がある。【No.90】新感覚バンドの登場。【No.94】我が中学では掃除の時間に「YMO 1st(US版)」B面を毎日流していた。おかげで耳タコ。これはズタズタに短縮されたイギリス版シングル・ヴァージョン。【No.95】坂本龍一がアレンジでレコード大賞受賞。【No.97】大好きだったドラマ「俺たちは天使だ!」の主題歌。【No.98】歌うは現在ハワイアン歌手のサンディー。【No.101】偉大なる一発ヒット。【No.104】実はこの時期さだまさしにハマってました(恥ずかしい過去)。【No.105】エーゲ海に捧ぐ。【No.111】名作「カリオストロの城」から。【No.112】シングル・ヴァージョンは未CD化(アレンジがドナ・サマー "I Remember Yesterday" のパクリだったから?)。【No.113】(写真)なんとリー・リトナーと婚約したそーな! 【No.115】ヴィレッジ・ピープル のカヴァー、Y・M・C・A。全校集会で振り付けやらされた思い出が…。【No.120】これが一世を風靡した幸福な時代。エンディングが早めにフェイド・アウトするイギリス版シングル・ヴァージョンで。(YMO OVER SEAS COLLECTIONから)
【No.124】「A面で恋をして(の中間部)」+「Pap-Pi-Doo-Bi-Doo-Ba物語」。【No.125・130】こんなにイイ曲だっけか。色物のフリして実は高度に音楽的だったのだ。【No.125】のイントロは Roxy Music "More Than This" みたい。(サザンの方が先)【No.114・138・142】松山千春は男子に人気があった。ぼくはそうでもなかったが、曲の良さは認めるにやぶさかでない。【No.132】嫌いだった。【No.134】そこんとこヨロシク。ツッパリってのが流行ってたよね〜。なめ猫なんてのもあったけど、あれはヒドかったね〜。【No.135】のイントロは Rod Stewart「アイム・セクシー」に似てる。【No.136】(写真)セルフ・パロディ気味の作編曲は細野晴臣。YMOがお茶の間にも浸透していた証。【No.137】オフコースは好きじゃなかったが、この曲だけは気になっていた。【No.139】作詞作曲・近田春夫、編曲・鈴木慶一。これこそ時代の徒花。現在では通用しないネタ(笑)【No.140】作曲・ベートーベン。【No.144】水割りを下さい♪。【No.146】ウォンチュー♪。【No.147】アルバムも含め大ブームになった。でも今思えば高橋ユキヒロ「サラヴァ」に雰囲気・歌い方が似てる。【No.159・160】ゴーマンな歌詞がトンデモない。何樣のつもりだよっ! でも憎めないんだよな〜。
【No.161】グリコ・アーモンドチョコレートCMソング。この人にもアイドルの時代があったのだ。【No.163】「サルビアの花」と同様のシチュエーションだが、あっちは重い情念の噴出(泣きながら追いかけて転げながら走り続け...)だったのに対して、こっちはあまりにも軽薄(くたばっちまえアーメン)、これは時代性の違いだろうか。【No.170】(写真)「野性の証明」「翔んだカップル(これヨカッタ...)」「ねらわれた学園」に続く主演作の主題歌(別名:夢の途中)。人気・カワイさの絶頂期。この後、玉川大学志望の男子学生が増えるという珍現象が…。【No.172】YMOが歌謡界に打って出たのには戸惑いがあった。なんたって「テクノデリック」の後がこれだもの。その落差たるや…。【No.175】胸を離れない♪。これぞ青春。珠玉の名曲。合掌。【No.176】好きよ、でもね、たぶん、きっと♪。【No.178】CMでアニメのペンギンが歌って話題に。もともとシングルB面曲。【No.183】欽ちゃんファミリー。【No.184】スピード感のあるロックンロール讃歌。いい曲だ。【No.187】歌ってる三人は別にしてこの曲は今でも笑える。【No.197】モータウンのパクリだっていいじゃないか。いい曲はいいのだ。【No.199】ビリー・ジョエルのパクリだっていいじゃないか。いい曲はいいのだ。【No.200】松本隆/山下達郎による往年の歌謡曲へのオマージュ。今や衰退してしまった“歌謡曲”の復興を願って。【No.201】最後はボーナス・トラック。タモリが世に出るきっかけになったと言われる大ネタ、四カ国語マージャン。和田アキ子、せんだみつお、デストロイヤー(笑)らと「うわさのチャンネル」に出てた頃のタモリ(サングラスじゃなくてアイパッチ)は格別だった。
<総括>
以上200曲のうち最も多くの曲を作ったのは大瀧詠一(夢で逢えたら、君は天然色、風立ちぬ、A面で恋をして、冬のリヴィエラ、探偵物語、Tシャツに口紅、うなずきマーチ、熱き心に、怪盗ルビイ+CMソング7曲)だが、これじゃあまりにも個人的趣味だから脇へ置いといて、実際に歌謡界で数多くのヒット作を残しているのは筒美京平ではないだろうか(17才、さらば恋人、また逢う日まで、男の子 女の子、赤い風船、よろしく哀愁、ロマンス、木綿のハンカチーフ、東京ララバイ、魅せられて、ギンギラギンにさりげなく、Romanticが止まらない)。作詞家では松本隆(ポケットいっぱいの秘密、木綿のハンカチーフ、東京ララバイ、ハイスクールララバイ、君は天然色、風立ちぬ、赤いスイートピー、赤道小町ドキッ、冬のリヴィエラ、探偵物語、Tシャツに口紅、SWEET MEMORIES、Romanticが止まらない、硝子の少年)、または阿久悠(また逢う日まで、恋のダイヤル6700、ひまわり娘、学園天国、ロマンス、ペッパー警部、S・O・S、カルメン '77、青春時代、渚のシンドバッド、ウォンテッド、UFO、もしもピアノが弾けたなら)。彼らのような職業作家がバラエティに富んだ優れた楽曲(雑多な要素を取り込んだ曲・趣向を凝らした深い歌詞)を次々と大量生産していた。まさにプロの仕事。翻ってみるに、現在のJ-Pop界は素人が多すぎる(単調な曲が多い)ように思えるが、気のせいだろうか。歌い方にしても、今どきの歌手にはやたらと声を張り上げる人が多くてウンザリする。一昔前の歌手の人たちって今の人と歌い方が全然違う。地声を生かした自然な発声で緩急自在、しかも色気がある。「歌そのもの」としての魅力があるのだ。歌謡曲をこんなに愛おしく感じるようになるなんて、あの頃は思いもしなかった…。世代間の断絶が深まり、興味の対象も細分化している現在、世代を超えて愛される「歌」が次々と生まれるなんてことはもうないのだろうか…。
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