SAMLA MAMMAS MANNA

Samla Mammas Manna
左から(推定): Lars Krantz (b), Coste Apetrea (g), Lars Hollmer (key,accordion,vo), Hans (Hasse) Bruniusson (ds)

スウェーデンのウプサラで1969年結成。グループ名は「お母さんのマナ(お菓子の名前)を集める」という意味。メンバーと名前を微妙に変えながら1980年代半ばまで活動。Fred Frith(元 Henry Cow)のソロ・アルバムGravity片面分に参加(もう片面分は The Muffins)。Chris Cutler(同じく元 Henry Cow)の提唱する R.I.O. (Rock In Opposition = 反体制派ロック) の一員でもあった。90年代に初期のメンバーで復活しライヴ活動を行い、1999年再結成アルバム「Kaka」を発表。2000年12月には中心人物 Lars Hollmer が単身初来日。 →Lars Hollmer Live Report

民族音楽や童謡のように哀愁のある豊かなメロディ、スピード感があり目まぐるしく変化するリズム、テクニカルでありつつユーモアたっぷりな楽しさ。フリーな即興部分はバカっぽく、ザッパ/マザーズみたいなところもある。その唯一無二の音楽性は、現在 Lars Hollmer のソロ・アルバム群に継承されている。

2002年9月にはサムラとして初来日を果たす。
来日メンバー:Lars Hollmer (key), Coste Apetrea (g), Lars Krantz (b) + 吉田達也 (ds)。
サムラ関西公演共同主催者である F.M.N. Sound Factory のホームページはこちら
充実の Lars Hollmer Special Memorial Page も必見。

Lars Hollmer は2008年に死去。


Samla Mammas Manna (Silence SRS 4604, 1971) amazon.co.jpへ

Samla Mammas Manna
Side A:
Circus Apparatha / Pausus / Vidgat Lage / Slade Till Satori / Schekina / Uvertyr Till Snall Hast
Side B:
Flickan I Skogen / Manna Jamma / At-One-Ment / Fittravisan / Skrik Fran Embassy - live / E' Pop Tai
(記念すべき)ファーストアルバム。ライヴ録音も含む。"Slade Till Satori" は再結成作「Kaka」で再演している。この時点ではギタリストが加入しておらず、コンガ等パーカッションで Henrik "Bebben" Oberg がこの一作のみに参加。
割とまともな(?)ジャズロックをやってたりもするが、可愛いエレピがメインのひねくれたインスト・ナンバーが主であり、既にサムラ独自のスタイルは出来上がりつつある。
1曲目 "Circus Apparatha"「Maltid」のCDに収録されていた以外は長らく入手困難だったが、2001年末にポーナス・トラック付きでようやくCD化された。
(注:人名や曲名の文字で、Aの上に二つ点などの特殊文字は全て普通のアルファベットで表記しています。御了承下さい)


Maltid (Silence SRSCD 3604, 1973) amazon.co.jpへ

Samla Mammas Manna Maltid
アウトテイク2曲とファーストの1曲目を加えて1991年にCD化されたセカンド。ギターの Coste Apetrea(スペイン人らしい)が加わり、ここに4人のメンバー構成が固まる。複雑なコンポジションにおバカなコーラスが絡んだりする、他に類を見ないサムラ・サウンドが確立。
アルバム・タイトルは「食事時 (Meal Time)」という意味。

Klossa Knapitatet (Silence SRS 4627, 1974) amazon.co.jpへ

Samla Mammas Manna Klossa Knapitatet
愉快軽快痛快! サムラを代表する作品と言ってもいい完成度を誇るサード・アルバム。初心者はまずこのアルバムから聴くことをおすすめする。初期メンバーによる作品(Sの時代)はこれが最後となる。
邦題は異様なジャケットの絵から「踊る鳥人間」となってるが、原題は「資本主義を潰せ!」という意味らしい。

Gregory Allan Fitzpatrick - Snorungarnas Symfoni (MNW CD70, 1976) amazon.co.jpへ

Samla Mammas Manna Gregory Allan Fitzpatrick Snorungarnas Symfoni
邦題「北欧組曲」。原題は「鼻たれ小僧の交響曲」の意。キーボード奏者(ここでは弾いていない)Gregory Allan Fitzpatrick が作曲・アレンジした四楽章からなるシンフォニックな作品を、サムラのメンバー(+サックス&トランペット)がかっちり譜面通り演奏したもの。アドリブが少なく(皆無?)素頓狂なユーモアも薄い。が、これはこれで良く出来ていて楽しめる。普通のプログレ・ファンにはこの方が受け入れやすいかも。

Zamla Mannaz Manna - For Aldre Nybegynnare / Schlagens Mystik (Silence SRS 4640, 1978) amazon.co.jpへ

Zamla Mammas Manna For Aldre Nybegynnare Schlagens Mystik
ギターが Coste Apetrea から Eino Haapala に、バンド名のSがZに変わった後の、変態的怪作2枚組。邦題「初老の新来者の為に/親しみ易いメロディの神秘」(たぶん直訳)。
「親しみ〜」は前半が童謡もどきの歌もの小曲集。おセンチになったり陽気になったり急に吠えたり、妙な怪しさが充満している。後半はサムラらしからぬ(?)ストレートでわかりやすいロック的リフ&テーマからなるシリアスなインスト大曲 "Odet" (The Fate)。
「初老〜」は各地でライヴ録音されたフリー・インプロを集めたもの。メンバー交替直後のライヴでは、曲を一切やらずインプロに徹していたらしい。キング・クリムゾン(ウェットン〜ブルフォード時代)やヘンリー・カウ(2枚組「Concerts」)を思わせる厳しさもあるが、真面目なのかふざけてるのかわからんユーモアも健在。最初と最後に針飛びあり。

Zamla Mammaz Manna - Familespricker (Silence SRS 4662, 1980) amazon.co.jpへ

Zamla Mammas Manna Familespricker
邦題「家庭のひび割れ」。サムラ究極の大傑作。笑っちゃうほどの超絶技巧、ハイ・テンションで息もつかせぬ勢いで攻めまくる。特に "Five Single Combats" ~ "Ventilation Calculation" ~ "The Forge" と怒涛の如く続く頭3曲が圧巻!
ドラムが Hans Bruniusson から Vilgot Hansson に交替しているが、アルバムでは二人共クレジットされている。

Von Zamla - Zamlaranamma (Resource rescd 511, 1982) amazon.co.jpへ

Von Zamla Zamlaranamma
ZMM から残った Hollmer (key) と Haapala (g) が、Arbert Marcoeur のバンドから Denis Brely (basoon,oboe,etc.) と Ian Garret (b,g,etc.) 二人のフランス人を一時的に“借りて”作った、Von Zamla としての1枚目。
今までにない管が加わり、Brely 以外の3人がパーカッション掛け持ちでドラマーは不在、という楽器編成の変化だけでなく、曲の作り方も変わってきてるようで、前作とはかなり雰囲気が違う。Hollmer が後に結成する Looping Home Orchestra に近い感じで、執拗なリフの繰り返しが多く即興部分は少ない。以前ほどの目まぐるしさ/ハチャメチャさも残念ながら見られない(ジャケットは脱力ものだが)LHO に比べて VZ は曲自体の魅力(哀愁味)が乏しいような気がする。
CDにはボーナス曲含む(らしい)。

Von Zamla - No Make Up! (Krax 3, 1984) amazon.co.jpへ

Von Zamla No Make Up
Side A:
Forge Etude / Soon Series / Fur Munju/Indojazz / Gilmit
Side B:
Hopeful / Endango / Piece Of Antsong / Voice Improvisation / After Smrt / Cancion De Bi-Mi-Mela
HollmerHaapala 以外のメンバーを一新した2枚目。未CD化。 Michel Berckmans (basoon,oboe、元 Univers Zero, Julverne, Aqsak Maboul、ベルギー人)、Hans Louhelainen (key、フィンランド人)、Wolfgang Salomon (b、ドイツ人)、Marten Tiselius (ds、国籍不明) の4人が加わり6人編成に(1曲のみトランペット参加)。ドラムが入ったものの、軽くパーカッション的使われ方で"Endango" ではドラム・マシンのような音がする)、前作の延長線上にある濃密なチェンバー・サウンド。ますますシリアスになった。
1曲目 "Forge Etude" は「家庭のひび割れ」収録 "The Forge" のリメイク。"Piece Of Antsong", "Voice Improvisation" の2曲はそれぞれフランス(Charlesville)とドイツ(Hildesheim)でのライヴ・インプロ。

Von Zamla - 1983 (Cuneiform Rune 121/Arcangelo ARC-2121, 1999) amazon.co.jpへ

Von Zamla 1983
「No Make Up!」の直前、Bremen(ラジオ用)と Hildesheim の2ヶ所で録音されたライヴ。1999年サムラの再結成作とほぼ同時に突然という感じで発掘された。「Zamlaranamma」の曲がメインだが、ライヴならではの押し出しの強さ/躍動感があって、今聴くなら既発スタジオ盤より断然こっちだ。録音も優良。バスーンとギター(or キーボード)のユニゾンが強烈。
ボーナス・トラック(日本盤のみ?)で名曲 "Odet"(短縮版)が聴けるのも嬉しい。

Kaka (Arcangelo ARC-3005, 1999) amazon.co.jpへ

Samla Mammas Manna Kaka
Sのサムラのメンバー(Hollmer, Apetrea, Krantz, Bruniusson)で再結成し、久々に作った大充実作。ライヴの即興(相変わらずのボケっぷり。英語ナレーションによる状況説明付)と緻密にアレンジされたスタジオ録音(名曲揃い!)がほぼ交互に現れる。ファンならずとも楽しめること請け合い。音色がハードかつクリアで気持ち良い。フラメンコのようなラテン風味や、フェリーニ/ニーノ・ロータ的なところもある。聴き込んでいるうちに、サムラ(というか Hollmer)にはプロコフィエフやストラヴィンスキーなど近代ロシアの作曲家の影響もあるのかな、とちらっと感じた。(シロート考え)
日本盤のみボーナス1曲追加。これも名曲。

Hasse Bruniusson - MannaMinne (Alternativ ALP-14, 1983)

Hasse Bruniusson MannaMinne サムラのドラマーのソロ。彼はフラワー・キングスのメンバーでもある(パーカッション担当)。そのためか Roine Stolt が参加(プロデュースも)している。80年代デジタル・サウンド、ニューウェーヴ風ヴォーカル曲にズッコケるが、メロディは少しサムラ的でホッとする。ドラムがブルフォードっぽい "Fritt Efter Fripp" などという曲がある。未CD化(だと思う)。

Hasse Bruniusson - Flying Food Circus (Burlesco BUR 001, 2002) amazon.co.jpへ

Hasse Bruniusson Flying Food Circus
前作に引き続き Roine Stolt、さらに Mats & Morgan の Mats Oberg が参加し、カラフルな音色で、即興よりアンサンブルに重きを置いたタイトな演奏を聴かせる、(たぶん)セカンド・ソロ。「Kaka」の延長でありつつ、ザッパの影響も強く感じさせるのはザッパ・フリーク Mats Oberg が活躍してるせいだろうか。過去のサムラの曲がちょっと顔を出す所もあったりして、親しみやすいメロディが多く、楽しいアルバムに仕上がっている。
何らかの事情で他のサムラ・メンバーとは離れてしまったようだが、アルバム・タイトル (Hasse Bruniusson Proudly Presents Flying Food Circus) やジャケットが示すように、サムラの精神を引き継いでいくのは自分だという強気な姿勢が伺える。

Lars Hollmer Solo Albums

The Siberian Circus (Resource rscd 502, 1993) amazon.co.jpへ

Lars Hollmer Siberian Circus
大推薦盤。81年から88年までに発表した5枚のソロ・アルバムから珠玉の23曲を収録(1st〜5th からそれぞれ5・5・3・4・6曲)。88年の5人編成 Looping Home Orchestra (LHO) による「Vendeltid」以外は、アコーディオン(これが主役)、キーボード、打楽器、歌などを一人で多重録音したものがほとんど。幼時期の記憶が蘇ってくるような、真っ直ぐに胸に届くメロディが満ち溢れている。マニアのみならず幅広い音楽ファンに聴いてほしい。
子供の声をリズム楽器代わりにループさせる "Onk Kch Onk Kch" など可愛い曲が多い。ぼくが特に好きなのは LHO の曲。おもちゃ箱サウンドにダイナミックな力強さが加わって魅力倍増。サーカス的メロディを繰り返し徐々にスピードアップしていく "Karusellmusik"(少し狂気を感じる)や、哀愁爆発 "Vendeltid"(涙が出そうに感動的)など名曲揃い。

XII Sibiriska cyklar & Vill du hora mer (Resource rscd 512, 1994) amazon.co.jpへ

Lars Hollmer XII Sibiriska cyklar Vill du hora mer
ソロ 1st「XII Sibiriska cyklar」(1981年)と 2nd「Vill du hora mer」(1982年)をまとめた2in1CD。

Tonoga, Fran Natt Idag, Vendeltid (Resource rscd 517/518, 1998) amazon.co.jpへ

Lars Hollmer Tonoga Fran Natt Idag Vendeltid
ソロ 3rd「Fran Natt Idag」(1983年)、4th「Tonoga」(1985年)、LHO による 5th「Vendeltid」(1988年)の3枚に、アルバム未収録の7曲を追加して2枚のCDにまとめたもの。

Looping Home Orchestra "Live 1992-1993" (Victo cd 024, 1993) amazon.co.jpへ

Lars Hollmer Looping Home Orchestra Live
推薦盤。カナダ、スウェーデン、ドイツでのライヴ。
Lars Hollmer (key,vo), Olle Sundin (key,perc), Lars Krantz (b,etc.), Eino Haapala (g), Jean Derome (fl,sax), Fred Frith (g,vln)
"Quick Step" のエンディングに Fred Frith の無伴奏ギター・ソロあり。

Vandelmassa (AYAA cdt 1093, 1993) amazon.co.jpへ

Lars Hollmer Vandelmassa
ホームメイド・スタジオ Chickenhouse で72〜93年の間に録音された未発表曲(デモ音源?)集。曲によって ZMM のメンバーなどがゲスト参加。「親しみ〜」の "Arstidsvisan" や、LHO ライヴ盤収録 "Teatime" の原形が聴ける。

Andetag (Krax 10/Arcangelo ARC-3002, 1997) amazon.co.jpへ

Lars Hollmer Andetag
LHO に近い音で、これまでになくアルバム全体に統一感がある。流れもスムーズ。哀愁のメロディは相変わらず("Now" は名曲!)だが、以前ほどハチャメチャではなく落ち着いた雰囲気なのがちょっと物足りない。

SOLA Lars Hollmer's Global home Project (KRAX12+1/TUTI-0002, 2002) amazon.co.jpへ

SOLA Lars Hollmer Global home Project
2度の来日の際に共演している日本人メンバーとの待望のスタジオ新録音。内容は期待通りの素晴らしさ。それ以上言うこと無し。とにかく聴いて下さい。
ボーナス・トラックとして、2000年12月6日・吉祥寺マンダラ2でのライヴ演奏を一曲 ("Hoppas Att Det Gar") 収録。(全編出してくれ〜!)→Lars Hollmer Live Report

メンバー:Lars Hollmer(key), 吉田達也 (ds), 大熊ワタル (cl), 清水一登 (key), 向島ゆり子 (vln), 坂本弘道 (cello), 伏見蛍 (g)

Other Albums

Ramlosa Kvallar - Nights Without Frames (Resource, 1978)
Gregory Allan Fitzpatrick - Bildcirkus (Mistlur, 1978)
Lars Hollmer - Utsikter (Krax/Arcangelo, 2000)
Lars Hollmer - Autokomp A(nd) More (Krax/Infinite, 2001)
Samla Mammas Manna - Dear Mamma (Krax/Tutinoko, 2002)
Lars Hollmer & Yuriko Mukoujima Duo - Live and More (Krax/Tutinoko, 2003)
Lars Hollmer - Viandra (Krax/Arcangelo, 2007)
Fanfare Pourpour & Lars Hollmer - Karusell Musik (Krax/Monsieur Fauteux, 2007)
Lars Hollmer - With Floury Hand (sketches) (Cuneiform, 2012)
Samla Mammas Manna & Ron Geesin - Live 1975 (Belle Antique, 2013)

last updated: 2017.1.21

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