楽譜から音(音楽)を理解するという事


 子供はどのくらいの年齢から楽譜を完全に把握し、音を理解し弾く事が出来るか?という考察です。
以下の楽譜を見てみてください。


 こちらは、ザイツという協奏曲(早ければ幼稚園生~7歳くらいの子が弾きます)あたりに
出てくるレベルの音楽記号や音を抜粋し作ったものです。

以下、楽譜解説の部分は、昔何か楽器を弾いていた!などの保護者様以外は読み飛ばしてもらっても構いません。
 結果的にこんな難しい事を全て瞬時に誰にも教わらず、理解し演奏できる
低年齢児はいないですよね。という事を言いたいだけです(笑)


逆に、小さい子でも楽譜は教えれば読めるんじゃないの?と思っている方は下記の解説を読んでみたり
上の楽譜をピアノで弾いてみてください。大人でさえ経験者でなければ
全てを理解しどの鍵盤を押せばいいのか判断できる方は多くはないのではないでしょうか。



== 楽譜解説 ==

 ① は ファ#ソファ# と弾きます。まず、ファは臨時記号#は書いてありませんが調号により
ファ#で弾かなければいけません。 そして、プラルトリラーという記号がついているので2度上の音を弾きまた戻るという意味の記号になりますので
結果、ファ# ソ ファ# と弾くという事になります。

次の ミ ファ ですが、ミに臨時記号で#がついているので、ミ#になります。
 次のファは同じく調号により#になります。 そして、ミ#ですが、ミの半音上は(ピアノの鍵盤で言うと)黒鍵が
存在しない音のため、普通のファの音(鍵盤)を弾きます。 ピアノ鍵盤上では ファ ファ# ファ という感じを弾く事になります。
何故ミで書いてあるのにファを弾くの?と思うかもしれませんが、音楽理論的にこういった書き方を普通にします。

② は再びミで、今度は#がついていませんが、臨時記号は1小節間有効という規則があるので、
再びミは#で弾きます。=ファの鍵盤を弾く


 ③は全音符に対して1/8の長さをさらに1/3にした長さ・リズムで レ ド# シ と弾きます。
ドは再び調号により臨時記号はありませんが ドは#させて弾かなければいけません。


 ④ まず低い方のミの音ですが、今までミの音は臨時記号が有効になり#になっていましたが、
今度は音高が違う為、臨時記号は適応されず、普通のミになります。
次の、ファの音はナチュラルがついているため、普通のファを弾きます。次のミの音ですが、
今度は音の高さが以前の臨時記号と同高になっているので臨時記号の有効範囲理論により、今度はミ#となります。

結果、普通のミ、ファ、ミ#=普通のファ と弾きます。
後半の2音は楽譜にはファミ・・と書いてありますが鍵盤上では、ファファと全く同じ音を弾きます。


⑤は前小節の臨時記号の適応範囲外になり、さらに調号は1段有効ですので、調号の効果の方が働き、
今度は普通のファではなくファ#で弾きます。

⑥は最初の①と似た記号ですが縦線が入っていますので モルデント というまったく別の意味の名前・記号になり、
 今度は2度下の音を経由させ弾くので レド#レ となります。 ちなみにドは調号が有効になりますのでド#で弾かなければいけません。


⑦ は 全音符に対して 1/8 の長さの音にプラス 1/4の長さをさらに3分割した1つをつなげた長さの音でレを弾きます。
これを瞬時に理解し音に変換できるのは、かなり楽譜に慣れないと正直難しいのでは。。と思います

が、人間とは不思議なもので、音で弾かれた(聞いた)ものを真似するのであれば、さほど難しくありません。
こういった複雑なリズムを演奏する時は(まだこれらのものを理解難しい年齢の時などは)音の情報が非常に役に立ったりします。
適時、年齢や状況によりそれらもサポートで使っていくのは悪くないでしょう。



== 終わり ==

 結局上記で言いたかった事は、楽譜ってシステムが思っている以上に難しいですよね??という事です。
経験則上、これらのシステムをある程度理解できるのは、例外を除き早くとも10歳を超えないと無理だと思います。
人によっては、中学生くらいになっても理解しているのは一部でまだ難しい。。という子もたくさん居ます。

ただ、ドレミ。。と読むだけの事であれば、ある程度の法則を覚え、数えれば済む話なので、
それはさほど難しくはありません。が、実際の曲にはリズムがありますし(基本的にはそれなりに複雑な分数を
基本知識としてあるものとしてリズムは書かれています)それ以外にも調号や臨時記号、その他の項目が
使われている事が非常に多く、全てを理解するのは低年齢児には非常に難しいと思われます。

ドレミって数えられるんだから、あとは自分でよんで勝手に練習しろ。。というのが非常に難しいという事を
まずは理解いただければと思います。


これらの事から、ある程度のレベルの曲を楽譜のみから1人で練習しろ(練習出来る)のは
ごく例外を除き、早くても10歳くらい、平常でも中学1年生くらいにならないと特にすべてを正しく。。
というのは難しい事であろう。。と星野は思っています。
(中学一年生の数学の問題で100点をとれる小学2年生。。居ないわけではないですが、ごくごく少数ですよね。。
それなりに高度なレベルの曲の楽譜を自分で読んで弾け!というのはVnがドレミを目視出来ない楽器なのも影響し、
非常に困難な事だと思っています)

という事で、これらの年齢まで(最低でも10歳くらいまで)は、どうしても誰かのサポートが多少なりともなければ
練習が難しいという事になると思います。そして、10歳を超えたからといって、突然その年齢から
楽譜から弾けるようになるわけでもない事も理解しておきましょう。
@それまでに楽譜と楽器の仕組みをコツコツと勉強(練習)していれば出来るようになる人が出るという事です。

熱心な親御さんは自分も一緒に勉強していき、サポートを。。という方もいらっしゃいますが、
それはかなりの負担である事も事実でしょう。

ので、それらがなくても、こちらのHPでは出来るだけ理解をはやめるための専用楽譜の作成と、
音等でサポートさせていけたらと思っていますので、最低限、練習する曲のサポート音源を隣で流してあげる、
今どんな練習が必要なのか。。を把握してあげて、一緒に練習を見守ってあげていただければと思います。


最後に。
楽譜は難しいといいましたが、最初から子供には理解の難しいもの。。とあきらめてしまうのも
同じくダメだと思っています。

耳や指番号などから結構な曲が弾けるようになっている状況であればあるほど、面倒な楽譜から
弾くのって大変。。やるのやだ。。と経験則上なります。
(耳や指番号から弾けばもっと簡単にすぐ弾けるのに!と。)

星野は、これを演奏技術と読譜力の乖離と呼んでいますが、こちらが離れれば離れる程、あらためて
楽譜から弾くようにしようと思うと(いつかはしなければいけないものですが)非常に労力がかかります。

全体練習の項目の LV4 を超えたところくらいから、少し曲は曲として今までの方法で進めていってもいいですが、
同時に、楽譜のみからVnを弾くという技術・知識を別で必ず進めていき、出来るだけ早期に
実際に演奏している曲に読譜の力を追いつかせる事も意識していきましょう。
(早ければ5歳くらいから簡単なものを楽譜で弾くようにしていけば、10歳前後から知識が曲・演奏に追いつき、
あとは基本的に自分のみの力で進めていけるようになる子が出ます。ただし後述しますが、どんなに
簡単なものであっても楽譜を読みながら弾くには、最低限必要な技術というのがあるので、まずはどんな方法でも
いいので、一定レベルに弓・指が動き多少の曲が弾けるレベルにまではならないと、ここの準備・スタートにも到達できません)

読譜の方に重きをおいて進めるやり方、技術優先のやり方。。色々ありますが、
基本的にはどちらも過ぎるのはよくなく、中庸を持ちバランスよく育てていくのが最適と考えています。






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