2001/12/31公開
〜 単なる国歌のアレンジに終わらない独創的音世界 〜
arrange & MIDI :Hiro Kotake / Micky WAJIN
今回の題材は、日本人なら誰もが知っている国歌「君が代」。世間であれこれ取沙汰される楽曲だけに、タイトルを見ただけでひいてしまう方もおられるかも知れない。しかし、世論や歌詞の内容をさておいて、純粋に楽曲として楽しむとするなら、「君が代」は実に優雅で柔らかく美しい作品ではないだろうか? 日本人の繊細な感性が凝縮されたメロディだと思う。
Hiro氏の、この曲に関する見解は、彼のサイトのコラムページに掲載されているので、ぜひ御一読を。歌詞とメロディの絡みに対する疑問等、あれこれ興味深い。ともあれ、この作品への取組みは、Hiro氏の国歌分析から始まったのだった。
♪ ♪ ♪ レシピ ♪ ♪ ♪
【MIDIデータ授与】
合作目的ではなくHiro氏が以前から作っておかれた「君が代」アレンジのMIDIデータを、例のごとくメール添付でWAJINが受け取る。これが、冒頭のピアノソロ→琴と笛の即興演奏の後に続く、ゆったり美しい部分だ。旋律の柔らかい持ち味を最大限に活かしたアレンジだと思う。
【わやくちゃにして返す】
受け取ったHiro氏アレンジに、WAJINがまず琴と笛の即興演奏をイントロとしてくっつけてみた。毎度の事ながら好き勝手に(適当とも言う)弾いている。
ハタと思い付いて、Cのジャズブルースのコードに乗せて「君が代」のメロディを弾いてみた。これがナカナカ良かったので、少しコードの順番を並べ変え、なんとなくMIDIを作って追加しておいた。さらに毎度の事ながら変態の血が騒ぎだし、エスニックで5拍子なアレンジのものも追加してみた。
そうやって、純和風即興演奏、Hiro氏アレンジ、変態アレンジ、ピアノソロを並べて聴いてみると、どうにもこうにも全く脈絡というものが感じられない。これではほとんど精神分裂症だ。病気だ。ううむ、弱った弱った!「ま、いっか。Hiro氏がなんとかして下さるやも知れん。」そう考え、そのやっかいなシロモノをそのままHiro氏にお返しした。私がHiro氏の立場なら、金輪際WAJINとの合作は御免こうむるだろう。
【ドクトルHiroのオペ】
勝手な自己流療法で手のほどこしようもない程病状が悪化した患者をWAJINからよこして来られてお困りであろうドクトルHiro。
しかし、彼は、さながらブラックジャックであった!最後に入っていたピアノソロの冒頭部分をコピーして曲頭に追加し、ピアノをアレンジ全体の水先案内人に見立ててみる。
なるほど!これで確かに頭とお尻はつじつまが合う!さらに、ドクトル御自身のアレンジ部分をグレードアップ。rit.が入ったあたりなど、とても色っぽくなった!美容整形外科か?
【変態振興委員会会長WAJINの御乱行】
全体の流れが見えるようになり、お色気も加わって帰ってきた病人MIDI。かなり麗しい。うえっへっへ。いじくり甲斐があるというものだ。
中途半端で放ってあった5拍子部分を勢い良く完成させ、案内人ピアノの登場シーンをさらに追加。うん、いい感じ♪そして、どんどこ音色を差し換えていく。
Hiro氏アレンジのメロディでは、我が家のシンセ音源では女王様格のカーツウェルを起用。さすが女王様、お色気たっぷり〜。(ちょっと違う女王様かいな?(汗))WAJINアレンジ5拍子部分のメロはE-MU社のエスニック系音色だ。何の音ともつかない変態色。他にも、エフェクトやら何やら目一杯いじってあるが、詳細は割愛。深めのリバーヴで、もう気分はピンク色。うっとり〜〜〜♪調子に乗って、アナログシンセで作ったノイズだの、効果音集のCDに入っていた自然界の音(滝だの川だの)も入れてみた。特に意味はない。あれこれ演出してムードを盛り上げたかっただけ。ぼったくりジャズバーの天井にあるミラーボールみたいなもんです。
【もう一度美容整形】
一旦こちらでレコーディングしてMP3化したものをHiro氏にお渡しし、最終仕上げをしていただいた。Hiro氏とWAJINの個性と技が生きる、とても面白い「君が代」になったと思う。原作者に聴いてみていただけないのが残念だ。