フィクション小説
99.03.04 update

クローンバンク

 西暦2030年。生体間移植も、脳死移植も医療の手段として成熟した今、人々を震撼させる医療手段が政府より公示された。

 それは、出産時、産まれた子のへその緒から、"クローンバンク"にてその子のクローンをつくり将来の保険とするものであった。

 クローンバンクとは人口受精卵を遺伝子操作によりクローンをつくり、知能を発達させず、また人格を持たせず肉体だけを本人と同時に成長させ、いついかなる時でも本人が必要とする骨髄、臓器、四肢、皮膚等を提供すると言うものだ。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
 はたしてこのクローンは人か否か?
議論の対象となるであろう事柄だが、現代医学の倫理を忘れた方向性をみなさんはどう考えるだろか。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
 アンダーグランドの臓器移植の遍歴を解説しよう。
 100余年前、国家の重鎮が臓器を必要とした時、医療の裏組織に必要な臓器を依頼した。
その組織は、健康で若く戸籍上行方不明になっても問題ない人物を拉致、抹殺し臓器を取り出し亡骸は処分した。

このようなことができない者は、お金さえあれば貧困な地域の人の角膜や、肝臓等をお金で買って手術した。

 次世代では植物状態の人の命をも買ったりした。
 遺伝子操作の技術が向上した現代では人の命を買うこともなくなった。

 このような経緯で現在にいたる。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

 では、そのクローンバンクを説明しよう。

●健康な成人女性の卵子を取り出し授精卵をつくる。それを遺伝子組換えによりクローンをつくる。

●脳の発達は、体を成長させる機能だけを残しその他を破壊する。

●授乳、運動は機械的にあたえる。

●その後成長し幼児期からは運動、食事等通常の人と同様に与える。

●目も見え、音も聞こえ声を出すこともできるが、思考能力はない。

いわゆる人間のパーツもぎ取り屋である。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
つづく
HOME