1.人間モドキ 対 人間モドキモドキ
モドキは今日一日、一人だった。
寂しがりやのモドキにとって今日は、きつい一日だった。
そして夜、寂しさのあまりテルキに電話しようと、受話器を取った。
すると、だれかが話しかけて来た。もちろんダイヤルは回していない。
「オレは人間モドキモドキや、お前は今、寂しい、休みたい、眠たい、やりたい、腹へった、ビール飲みたい、帰りたい、とちゃうか?みんなわかってんねんでェ〜、プー!」
人間モドキモドキは、えげつない大阪弁で、最後に屁までこいて、モドキの心の中を全部、言い当ててしまった。
モドキにはめずらしく、一瞬言葉を失ってしまった。
その沈黙につけこんで人間モドキモドキは
「どうや、ズボシやろ、ズボシでっしゃろ、うめボシ、ケツ毛、プー!!」
「ハッ!!」モドキは気がついた。最後のしょうもないシャレと、ケツ毛とプーでわかった(プーは、モドキの口グセだった)。これは人間モドキ自身、そう、モドキ自身の声だったのだ。そうとわかったモドキは落ち着いて言った。
「オレは、この欲求を満足さすために頑張ってるんやんけ!! ワレ!! 頭を二つにワレ!!」
すると人間モドキモドキは受話器の向こうで二つにワレてしまった。
そして、後には「プーーー」という音が残った。
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