永遠という名の嘘
この世の中に永遠などあり得ない
楽しいだけでは、生きられない
現実に目をそむけては、いられない
皆わかっている筈なのだ
それでも毎週山へ行き、雪と戯れる
<わかっていた答え>
若いヤツらと同じように凸凹の斜面を駆け下りるなんて無理だ
独身のヤツらと同じように、毎週スキーをするなんて無茶だ
自分が置かれている状況を考えたなら、こんな生活を続けるのは無謀だ
氷点下の駐車場の車の中で眠るなんて、自分でいい気になっていただけだ、、、
よ〜く考えてみると、こんな冬は永遠には続けられはしない
またひとつ年をとったし、抱えてる問題も重たい、やはり、何事にも終焉はくるのだ
仲間達とシーズンに何回かスキーに行き、温泉につかってBEERを飲む
そんなのんびりしたスタイルが、今のボクの年齢や境遇にはお似合いなんだろう・・・
毎週独りで車を走らせ、自分よりは遥かに自由な境遇の仲間達と遊ぶ
それは、楽しい、本当に楽しい
そんな夢に陶酔して、いい気分になっていたのかも知れない
そんな自分に酔っていただけなのかも知れない、、。
<いつもと変わらぬ風景>
2003年...自分で決めた3年目の冬
取り敢えず、ホームゲレンデのオープン日の朝、ボクは車を北西へ向かわせた
まだ雪は少なく、僅かに1本のコースがオープンしているだけなのだが…
ホームは思っていた以上の懐かしい顔ぶれで溢れていた
今年は暖冬で雪が遅く、オープン予定は1週間延びた
やはり、皆この日を待ちわびていたのだろう
その懐かしい顔ぶれは、変わらず何処かしらテレ笑いを浮かべてるかのようだった
春から、約8ヶ月の月日が流れ、ボク自身色んなことがあったけど
その笑顔は、先週の日曜に「じゃぁまた来週!」っと言って別れた時のままだった
まるで、ここだけ時が止まっているかのようだった
いやそんな事はない
彼等だって、胸の中にいくつかの問題を抱えているに違いない
辛いのはボクだけじゃぁないのは当然だ
ただ、皆そんなことここへは持ってこない、それは街においてくる、そうだろう・・・
お陰で、楽しい2日間だった
冷たい空気が頬をなで、心の中のわだかまりをかき消すかのようだった
目の前のコブを見つめると、いつも無心になれた
ただそこを上手く滑ることができれば、他には何も必要なかった
金や、人間関係や、年齢や、上下関係や、全てのわずらわしいものなど何もなかった
そこを滑れるヤツが、この世で1番のヒーローなのだ
誰よりも早く美しく滑れるヤツが、ここでが1番なのだ
ただそれだけなのだ、、。
しかし、夜はつらく永いものだった
夕暮れは早く、すぐに闇が襲ってきた
何故か今年は暖かく、笑いのこぼれるリビングが恋しかった、、。
その夜ボクは、いくつもの悪夢にうなされた
先シーズンまで、スキーに来ている時はスキーのことしか考えなかったのに
今年は全く違う、言わば俗世間の生活や、ドロドロした現実が気にかかっていた
そんなものを拭い去るためにも、ここに逃避してきた筈だったのに
そんなノー天気な日々が、いつまでも続くわけはなかったのだ
目の前にはどーしようもない現実の壁が立ち塞がり
滑っていない時、ターンしていない時は、どうしても心を空っぽにできなかった
幸いにも友人が増えたので、リフトに独りで乗る事は少なかった
誰かと話している時は、常にスキーの情報だけが頭に入ってきた
しかし夜は孤独だった…
あっと言う間に日常を思い出させる悪魔が迫ってきた
誰一人いない氷点下の駐車場は、絶えがたい自分との戦いの場所だった
ある意味では、スキーの上達より険しい戦いだった
<永遠という名の嘘>
人はどうしてこんなに悲しいんだろう
いったいボクは、これからどうしたらいいんだろう
もう戻れないとわかっている過去へ、戻りたい衝動が胸をよぎる
ボクは、間違っているのだろうか?
ただのエゴイストなのだろうか?
単なる利己主義者なのだろうか?
楽しくスキーをしに、遊びにきている筈なのに
遥か200k先の現実の世界を引きずっている
やはり潮時なのだろう
いつまでも、彼等と楽しく滑ってはいられないだろう
いや、そんな彼等とて同じ
いつまでも、いつまでも滑る続けることはできないだろう
やがて時が、人の心を移ろわせ、ここには誰もいなくなるかも知れない
シャトレーゼスキーリゾートすら、いつま存続できるか未知数なのだ
そんな思いを噛み締めながら、3年目のシーズンを精一杯過ごそう
明日はどうなるか、誰にもわからない
数年後、数10年後…
きっと、必ず、今を笑える日が来るに違いない、そう信じて
永遠など、この世にはあり得ないのだから
気が付けば街はクリスマス一色に染まっていた、、、つづく
2003.12.23
| TOP|MENU|ON-LINE
MUSIC|おまけトーク|BBS|LINK|
|自己紹介|全曲暴露|相性診断♀|相性診断♂|多重録音|唯我独尊|直情径行|交遊見聞 |