土日祝日、年末年始、お盆が休みであること
つまり、普通の人が休む時、働かなくていいこと
下りの電車通勤であること
ヒゲを伸ばしていてもいいこと
たった、このみっつだった、、、
仕事の内容など、何でもよかった
もう
仕事で夢は追えない
仕事で生きがいは得られない
そう考える程、社会での10年は厳しく、ボクは無能な負け犬だった、、。
景気も下降線を辿り、より好みできる年齢でもなかたし、特別の経験や技術もなかった
企業人としてのチャームポイントもなかったし
組織の中で上手くやってゆく自信もなかった
あったのは、工業大学、機械工学科卒の履歴だけ、、、
しかも親に全て学費、生活費を出してもらい
ろくに勉強もぜず、バンドばかりにうつつを抜かし、夜は酒を飲み、彼女と遊んでた
ボクにあるのは、実社会の経験じゃぁなく
机上の空論、誰にも認められない孤独な、、、持論
程なく、運良く、みっつの条件を満たす希望の仕事はわりと早く見つかった
ボクは、飛びつきたかったが、、、ひとつだけ欠点があった
止めるつもりの会社より、少し給料が低い
家族にとっても大きな問題だったが、組織人にはあまり適さないこんなボクを雇い入れる
みっつの条件を満たす企業は、そんに多くある筈はない
何でもいいから決めて、早く楽になりたかったのもホンネの弱虫だ >_<
1989年から1999年までの10年間に、ボクは誰も聴かないアルバムを15枚作った
ほぼ1年に2枚、20曲のペースで、、、
そしてのボクの代表曲の約9割はカセットという記憶媒体の中に収まった
＜デジタル文明との遭遇＞
1998年のある日、大学の先輩から1枚のハガキが届いた
卒業して始めてのOB会の開催の知らせだった（20年以上の歳月が流れていた）
あまり乗り気ではなかったが、同じバンドでもやった先輩M氏に誘われ
出席に○をつけ、郵便ポストに放り込んだ
そういや、そのハガキには見慣れる言葉が書いてあった
メールアドレスがある方はこちらに記入してください
その時ボクは、その言葉の意味すらわからなかった、、、メール？アド？れす？って？
OB会は盛大に催され、久しぶりのヤツ等との再会や、10数年後の後輩達との出会いは、楽しかった
そして、会場には見たことのない機械のようなものがあった
あとになって知ったが、それがノートパソコン
あんな小さな機械が、遥か昔の友人や見知らぬ誰かとボクをつないでくれたり
世界中の誰かと話せることを、数年後に知ることになった
パソコンって、仕事で使うものだと思ってたから、、。
＜おとうⅠ・Ⅲ＞
世の中でウィンドウズやインターネットって言葉がよく聞かれるようになって
そろそろ、時代に乗り遅れぬうちにボクもその波に乗らなくちゃ、、、
そう思っていたが、それがどんなもので、何ができるのか、全くわからなかった
ただ何となく「そろそろパソコン使わにゃならん…」そう、漠然と思ってた
OB会から1年経った頃だろうか、クラブで同期で会長だった、“おとうⅠ・Ⅲ”に電話した
会社の帰り、西船橋の寂れた飲み屋で、ボクら中年は静かに再会した
彼は、一足早くOB会で話題になっていたPCを買ったらしい
そしてあのOB会を主催したH先輩が、ホームページを運営してることを聞いた
ホームページ？全てが始めて聞く単語ばかり
さらに驚いたことに、そのHPってやつから、曲をダウンロードして聞ける？らしい
ダウンロード？PCで音楽が聴ける？日本の何処かの町の先輩の？20年前の部室の録音の？
話しは聞いたが、よく意味が理解できなかった、いや外国語を聞いてるような気分だった
＜偶然＞
偶然、時を同じくして、会社の異動でPCをよく使う部署に回った、始めてさわるマッキントッシュというその化け物
迷っていたボクは、その１ヶ月の後の5月、雨の秋葉原でウインドウズノートPCを買った
とにかくノート型で１４インチの液晶モニタがついてることが最低条件だった
何もかも始めてづくしのそのPCとの格闘、、、
取り敢えず、１週間でメールをつなぎ、、、
数10回目の誕生日、8月16日にホームページとやらを立ち上げる目標を立てた
遠くに住む旧友に、誰にも聴かれず葬られる筈だった
ボクの脳の中だけにある曲を聴いてもらう目的で、、、 ＾_＾
約3ヶ月間の格闘の末、ようやくつたないHPは完成した
タイトルは“SOLID STATES” 自分のアルバムタイトルにもなっている
アコースティックギターの表板によくつかわれる木の種類
ソリッドスプルース、ソリッドステイトスプルース
そんなとこからとった、、、
取り敢えずデビュー曲 “夏に何の意味が…” はアップロードできた
但し、PRは全くしていない
誰も、ボクのHPの存在を知らない
カウンターもつけていない
てかそこまではまだできなかった
こうして、誰にも聴かれなかった歌達は、誰も知らないHP上に載っかった、筈だ
CDは “IN STORE NOW” って言葉が流行りのようだ
ボクの場合は “ON LINE”
電話線を伝われば、僕の心の中や、それを形にした文や曲が見聴きできる
ボクの心の中だけにあった架空の唄達は
電話線を伝わって貴方の心にダウンロードされる
そんな時代が、やってきたのだ
そして、これからいったいどうなるんだろう、、、つづく ＾_＾
I present you some songs and storys with my soul．
２００３．４．２５