●Bloody Reviews on Blues Carnival 2001
ブルースカーニバル流血レビュー。同じバンドで、こんなに意見が分かれていいのか?このバンドは大丈夫なのか?まあ、本当に流血にならなかっただけ、ましかも。ブルース好きといえども、同じようには行かないところが、奥深いところです。
東京ブルース紀行 こうじ編
端くれでも社会人になってしまうと、一日中ブルース漬けってことは久しくなくなってしまっていたが5月26日は、久しぶりにそんな一日だった。そもそも聴くためだけに東京くんだりまで出ていくっていうパワーが昔はあっただろうに。以下、ジャパン・ブルース・カーニバルとその2次会のレポート。同行したおんだまとはいろいろな点で意見の一致、不一致がありそれもまた楽しい発見だった。
上田正樹;
初めて見たがたったの30分だったのは残念。分かっちゃいたがやはり声が良く唄は味わい深い。関西ブルース(この人はソウルに近いか)の隆盛の一角を担った人だが日本人ブルースマンはこういう声の人が多い。ハスキーと言うのか、いわゆる黒人のそれとは異質である。どっちが良いとかではなく、しかし日本語ブルースにはよくなじむね。South to South時代の曲をもっとやってくれればなおよかったがまずまずの出だしか。
エリック・サーディナス;
この人と、次のサムリンに対する評価を巡って僕とおんだまは激しく対立することになる(流血ライブになるかと思ったよ)。
僕とはスライド弾き、ドブロ使いと、共通点も多いがそれだけに素直に良いねえ、とは言えない部分も多いのだ。きっと僕は音楽に対してはかなり保守的な方なんだと思う。想いは深いが見識は狭く、考え方は硬い。ジャンル分けなんてくだらない、と言いつつもこの人の試聴版のジャケットを見て「おっ」と聴いたときには「なんだ、ハードロックじゃねえか」と思っただけだった。その考えは本物を見た今でも基本的に変わらない。
背中の「伝統を敬え」という刺青はむしろ「伝統をぶち壊せ」と言っているようだった。まあ、自分はブルースオンリーのピュアリストではない、自分の音楽はブルースに近いロックだと本人も言っているのでそういう目で見ていればそれはそれで良いのかもしれないが。悪者ギタリスト風の風貌やステージアクションは単純にかっこいいとは思うがビジュアル以外にあえてドブロを使う必然性は、やはりない。無理にエレキバンドに対抗しようとアンプリファイドし、薄くつぶれてしまった音には、ドブロを愛するものにとっては惚れた女がでたらめな化粧とセンスの悪い服で台無しになってしまったような裏悲しさを覚えてしまう。
上手いか?、上手いんだと思う。手や指が早く動くことが上手いのなら。あれだけ弾き倒すんだったらむしろエレクトリックを持って開き直ればいずれJohnny Winterくらいは超えられるかもしれない。
エルモア・ジェイムスのフォロアーは沢山いるし、エルモアよりも素早く弾く奴も沢山いる。が、その殆どと、エルモアの違いはそのビートやうなりが身体の底から涌き出て来るものか、アンプのディストーションで表面的に作られただけのものかってことだ。中にはエルモアの楽譜を一生懸命練習して上手になったけどその音は一度も聞いた事がないんじゃないか、ってのさえいる。ナイトホークの陰鬱さ、たった一つの音での表現力も然り。
話がそれた。ま、それだけ個人的にはスライドには深い想いがあるってことでつい辛辣になってしまった事を許して欲しい。大御所と呼ばれる人物が次々と他界していくこの世界で29才にしてあれだけのパフォーマンスをして、こういう音楽を次代に連ねていくこの姿勢と才能は多いに評価されるべきだろう。上手いとか下手とか、はったり的なことに溺れる事なく、いい表現をしていって欲しい。(大して年寄りではないが)若い世代全てにそう望みたい。
ヒューバート・サムリン;
いわずと知れた(知れてないか)ハウリンウルフの懐刀。歳が歳だけに体力的な衰えは隠せない感があった。チョーキングはあがりきってないし、指もややろれつが回らなくなり始めたようでかつての鋭く切れこむプレイは最後のオーティス・ラッシュとのセッションで垣間見る事が出来るのみだった。技術的には明らかに最盛期を過ぎたプレイだったと思う。
しかしだ、煙が出てくるような早弾きを上手いと思うならヘビーメタルのコンサートに行けば良い。良いプレイヤーはどう弾くべきか、でなく弾かない事の重要さを理解している。間、沈黙の間が音を際立たせるのだ。言葉にすれば簡単な事だし、誰でも知ってはいるような気もするが実際には結局音の隙間を大音量で埋めてしまってはいないだろうか。アマチュアにも上手なプレイヤーは沢山いるがその意味で、本当にそれを理解し、味わいのある演奏が出来る人には滅多に会えない。
たった一つの音だけで、その表現力だけで場合によってはワンコーラスいっぱいのソロが成り立ってしまう。理屈っぽくもなく、派手でもないがそれが涌き出てくるブルースなんじゃないか。その点が、敢えて比較するならサーディナスよりサムリンの方が、と言う根拠だ。別に僕の指がおぼつかない事を正当化するものではない、念のため。
オーティス・ラッシュ;
ラッシュさんが登場してやっと俺とおんだまは和解する事が出来た。「やっぱこれやなー、でへへへへへ」なのである。唄にもギターの音にも抜群に重みがある。存在感があるのだ。何故だろう?深くて、シンプルで、重い。ラッシュについては今までの苦労というかその人生のアップダウンも少しは知っていたので余計だろうが、最初の一音で涙が、でてきた。ここまであれこれ書いてきたことが徒労に思える。議論の余地無し。
鬼ころし(番外編);
これを言わずして終らない。日比谷のあとに行った渋谷BLUE HEATでみたバンド。やっている音楽はオーソドックスなブルースだ。唄,ギター、ハープの個々の演奏もテクニック、味わいとも文句無しにかっこいい。さらにすごいと思ったのはリズム隊の2人。セクシーなのである。2人のおじさんなのだがセクシーなのだ。狭いステージなので彼らはフロントマンの背中を見ながら演奏しているにもかかわらず、ソリストの感情をオーケストラの指揮者のようにコントロールしている。とくにドラマーにとって比較的退屈と思われるこのジャンルにあって、あんなにエキサイティングなリズムの応酬はなかなか出来るものではないだろう。しかも全然奇を衒っている訳ではない。それぞれの情念のうねりが完全に同期している。リアルなブルースだった。バンドとして、理想形だ。このバンドで9年間やっていると聞いた。なるほど、誰とでもすぐ合わせられるのもブルースのよさだがここに対極的に別の良さを見た。
Blues Carnivalを語る おんだま編
おー!うりゃあ!ぎゃあ〜!このやろー!人生はやっぱブルースや、おまえ!俺が行かんと誰が行くんやて。そういえば、俺そんなにブルース好きやないのに。いやいやそんなことありません。ブルース好きやで。演奏中に寝れるからな。
このように、かなりハイテンションな私こと「超ブルースそこそこ大好き系おんだま」は、久々の野音にかなり興奮気味であった。野音でブルースカーニバルと言えば、ビールが飲める。多分10数年ぶりに来たぞ。その昔、Albert Collins、B.B. King、Albert King、Magic Slim、憂歌団、ボガンボス、シーナ&ザ・ロケッツなどを見た。その中でも忘れられないのが、シーナが言った「ブルースもロックもおんなじよ!」の一言。この一言が俺の人生を変えた?!ようはなんでもええんやて。本物のSoulがあれば。
1.上田正樹
「ほないこか。誰を呼ぶねん。おっしゃいこ。レディースアンドジェントルメン、上田正樹!!」司会のおっさん。South to southのライブアルバムと同じやんけ。上田正樹を見るのは3回目ぐらいでしょうか。ちょっと、年取ったとはいえ、まだまだむちゃくちゃかっこいいです。上田正樹といえば、高校の先輩らしい。選曲は、Joe CockerのFeelin' Alrightとか、あとは分からなかったが、どちらかというとR&B系でした(俺はそっちのほうが全然いいけど)。途中で「とったらあかん」をやってくれた。「赤いのんやら、青いのんやら、黄色のリボンは憂歌団や」。感動のたった30分。次は、じっくり見てみたい。
2.エリック・サーディナス
こいつが一番気に入った。かっこええ。顔はエアロスミスのスティーブン・タイラーをさらに不細工にしたようでかっこわるいけど。どうみてもルックスはハードロックバンドなのに、スライドでドブロギターを手にブルースを弾くなんともミスマッチな野郎だ。
しかし、俺はこいつにブルース魂を十分に感じたぞ。こんなかっこうなのに、ちゃんとブルースじゃないか。ただし、ドブロギターでは、音が十分にでていないように思えた。Stevie Ray VaughnやJohnny Winterが大好きな俺にとって、こいつにはがんばってさらに有名になってもらいたい。
3.ヒューバート・サムリン
このおっさんは気にいらんかった。なんか、音数少ないし。指ももたっとる感じで、俺のタイプやないて。歌もうまいわけやあらへんし。アメリカでは相手にされとらんやろな。昔はすごかったのかもしれんけど、今は完全にピークを超えた、なんか古典芸能といった感じでした。
こうじは、こんなおっさんのほうが好きらしい。そぶりんも、この人は品があるブルースと言っていた。まあ、本物のブルースかと言われたらそうだろうが、バックのギターの人の方がうまいやん。酔った勢いで「おっさんへたやぞ」とか文句言いまくったら、こうじに怒られた。それでも、Otis Rushとのセッションの時は、張り切って弾いてました。できるやん、おっさん。自分のステージでもっとがんばれよ。
4.オーティス・ラッシュ
このおっさんはやっぱすごいな。本物やな。文句なしやわ。All your loveなんか、やっぱ本物でした。でも、あまり歌ってくれえへんかったな。でも、実を言うと俺はこの人にはあまり思い入れがありません。レコード一枚ももってないし。All your loveしか知らんもん。ほんでも、心に響くものがあった。こうじはそうとう好きやろな。この人のレコード100枚ぐらいもっとるんか?
5.司会のおっさん
大阪弁の小さいおっさん。名前はしらんけど、歌はうまいし、おもろいし、それからなんといっても、ハープがうまい。「主催者からのお知らせブルース」も歌ってくれました。ほんで誰やねん。
6.カメリヤ・マキちゃん
真っ赤な、チャイナドレスで、335を弾いとる、マキちゃん。何者?思わず、前の方に歩いていって確認してきました。司会のおっさんのアシスタント的存在で、いい感じでした。すっかり、ファンになりました。
7.鬼ころし
渋谷まで移動し、Blue Heatに行ってみた。思ったより狭い店だったが、ここで出演中の鬼ころしを見てびっくり。本日一番ええバンドやないかと思ったよ。ギターとハーモニカのフロントの人たちは、テクニックはすごいし、歌もすごくうまい。ベースの人はいつもより余分にソロを弾かされたらしい。ドラムの人も手堅い。バンドとしてのまとまりがよかった。うちのバンドは、勢いはあるが、バンドのまとまりってどうなんでしょうね。それにしても、鬼ころしさんにはかなり刺激を受けました。やっぱ東京に来ればすごいバンドがいるもんだと驚いてまった。ハーモニカも吹いてみたくなったし。
それから、ここで俺たちはFreefunkの桜谷夫妻とご対面。メールに携帯の番号書いたら、すぐかかってきたので、まるで出会い系サイトかと思ったて。桜谷君も岐阜出身、同じ小中だ。おどろきだあ。
そして、丸一日ブルースを楽しんだあげく、こうじはチョットの酒でかなり酔っぱらって、ゲロンパ。そして、渋谷から最終電車に乗って家に帰ったとさ。最終電車だったので、こうじが「最終電車に飛び乗って、家に帰るのはもううんざり〜」と歌っていた。そんなに乗ったことあるのか、最終電車!
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