演奏会によせて
常任指揮 及川 豊 

  「ギョーザとラーメン、夕食はどっちがいい?」
  「どっちでもいい。」
 昔から僕はそんな子供でした。本当に、どちらを作ってもらってもよかったのです。二つとも自分の好物だったのですから。
  しかし、作る側の人間は限られた時間の中で食材を選び、調理法を決め、味を調える。様々なレシピも存在するが、一番最後に頼りにするのは自分の舌のみ。
  バッハとシュッツという、とびきりのご馳走を、皆様のお口に合うように料理できるかわかりませんが、栄養たっぷりで、この会場にいらっしゃる方々すべてが、ますます健やかになるように、心をこめて演奏いたします。
 母の手料理のように。

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